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2004年2月25日に小野島大の監修による日本人アーティストによる“ニューウェーブ”のトリビュート盤
『FINE TIME〜A TRIBUTE TO NEW WAVE』(公式サイト)が発売。参加アーティストは・・・

 BUFFALO DAUGHTER
 クラムボン
 CONVEX LEVEL
 EYE
 半野喜弘
 HAIR STYLISTICS
 石野卓球
 LIMITED EXPRESS(HAS GONE?)
 LOSALIOS
 MO'SOME TONEBENDER
 岡村靖幸
 POLYSICS
 ROVO
 saicobab
 SPANGLE CALL LILLI LINE
 SUPERCAR
 WORLD'S END GIRLFRIEND


と日本の音楽シーンを代表するような豪華な布陣。
1曲づつレビューしようと思ったんだけど、どうせならオリジナルのニューウェーブも一緒に紹介しちゃえ!
ってことでいつもとはちょっと違う感じのレビューにしてみました。トリビュート盤のレビューはこちら
DISC1
01 YOUNG MARBLE GIANTS
『CAKEWALKING』


収録アルバム
『COLOSSAL YOUTH』

BUFFALO DAUGHTER
紅一点のアリソン・スタットンのへたうたボーカルにミニマルなギター、人間味のあるチープなオルガン、スカスカポコポコなリズムボックス。ミニマルでちょっぴりヘンテコなサウンドとメランコリクなメロディがたまらないヤング・マーブル・ジャイアンツが80年にラフ・トレードから発売した唯一の作品『COLOSSAL YOUTH』はポストパンク〜ニューウェイブ〜ギターポップの架け橋となる名盤。ここでカバーされた『CAKEWALKING』も『COLOSSAL YOUTH』に収録されてます。

BUFFALO DAUGHTERによるカバーは原曲のミニマルさとメランコリックなメロディはそのままにインプロ的な前奏やノイズ&ヘンテコ電子音をいっぱい加えてBUFFALO DAUGHTER流に料理。ニューウェーブっぽさも残しつつ、ちゃんと自分たちの色も加えてるところにニューウェーブへの愛を感じられる。意外性みたいなものはあまりないけどね。
02 D.A.F.
『GEHEIMNIS』


収録アルバム
『なし』
画像は
『DIE KLEINEN UND DIE BOSEN』

石野卓球
通称、D.A.F.ことDeutsche Amerikanische Freundschaft(独米友好条約)は80年代のドイツで活躍したバンド。初期はメンバーも4人でアヴァンギャルドなパンク・サウンドをやってたんだけど、後にロバート・ゴールとガビ・デガドーロペスの2人組になりテクノ色を強めたサウンドに変化。個人的には80年発表のパンク〜テクノの移り変わりの中間にある作品『DIE KLEINEN UND DIE BOSEN』がお薦めです。

石野卓球がカバーしたこの曲は82年にリリースされた12インチの曲みたいでアルバムにはたぶん未収録。4つ打ちでくるかと思ってたんだけどニューウェーブ・テイストのポップな歌物レゲエ・カバーでちょっと意外な感じ。
03 PREFAB SPROUT
『APPETITE』


収録アルバム
『STEEVE McQEEN』

SPANGLE CALL LILLI LINE
PREFAB SPROUTは77年にイギリスで結成されたバンド。この人たちはニューウェーブというよりエヴァーグリーンなギターポップを鳴らしてた。基本はアコースティックで透き通るようなメロディと紅一点のウェンディ・スミスによる美しいコーラスワークが印象的な歌物が多いんだけど、転調を多用してたり実験的な要素も兼ね備えてるのが彼らの魅力。ここでカバーされた『APPETITE』は名プロデューサーのトーマス・ドルビーがプロデュースを手掛けてヒットした『STEEVE McQEEN』収録曲。この作品はアメリカで発売される際にSTEEVE McQEENという題名が認められずに、アメリカでは『TWO WHEELS GOOD』という題名でリリースされたのも有名な話。

ポップで実験的な要素を持ってるという部分では、この曲をカバーしたSPANGLE CALL LILLI LINEは適役かな。ミニマルでシカゴ音響派以降の演奏に透き通るような女性ボーカル。SPANGLE CALL LILLI LINEの新曲って聞いても誰も疑わないくらいくらい自分たちのものにしています。個人的にはもうちょっと遊んで欲しかったけど、素晴らしい出来。
04 THE BUGGLES
『VIDEO KILLED THE RADIO STAR』


収録アルバム
THE ACE OF PLASTIC

CONVEX LEVEL
THE BUGGLESは後にフランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッドやタトゥーなどを手がけたプロデューサーのトレヴァー・ホーンと、後期イエスに在籍したジェフリー・ダウンズによるユニット。彼らは2枚の作品を残してるんだけど、79年にリリースされた『THE AGE OF PLASTIC』に収録されてる『VIDEO KILLED THE RADIO STAR』は全英で1位を獲得し、日本でも『ラジオスターの悲劇』という邦題でヒット。テクノポップ〜ニューウェーブを代表する曲です。彼らのサウンドは甘いテクノポップにプログレ的な要素も持ち込んだもので今、聴いても十分新鮮かつ魅力的。音楽史に残る名曲と言っても決して大げさじゃないと思う。

ここでもカバーされた『VIDEO KILLED THE RADIO STAR』はこれまでにも数多くのアーティストにカバーされてきているけど、ただテンポをあげてパンクっぽくしただけだったり、テクノポップな部分を抽出したようなキュートなカバーだったり、個人的には原曲を超えるカバーを聴いたことがない。ここでのCONVEX LEVELによるカバーもただギターロックにしただけって感じで原曲の良さも活かされていなければ面白みもない。
05 RIP, RIG & PANIC
『BEAT THE BEAST』


収録アルバム
『なし』
画像は
『I AM COLD』(未CD化)


LIMITED EXPRESS (HAS GONE?)
RIP, RIG & PANICは、ポップ・グループのギャレス&ブルースなどによるブリストルの5人組。フリージャズとファンクを高次元で融合させたアヴァンギャルドなサウンドが最高・・・なんだけどCD化してません。CD化してたものもあるみたいなんだけど今は廃盤。僕はアナログで『I AM COLD』っていう作品を持ってるんだけど全編ちょっとやばいくらいにかっこいい。CD化を激しく希望。(さっき調べてみたら2004年3月15日にはベストアルバム『KNEE DEEP IN HITS』のCDが再発されるみたいです。)

LIMITED EXPRESS (HAS GONE?)はRIP, RIG & PANICの『BEAT THE BEAST』っていう曲をカバー。原曲は知らないんだけど彼ららしくキュートでコケティッシュ(死語?)でアヴァンポップなカバー。はじけた女性ボーカルがいい感じ。
06 SOFT CELL
『MEMORABILIA』


収録アルバム
NON-STOP ECSTATIC DANCING

POLYSICS
SOFT CELLは、ポストパンクからニュー・ロマンティックへの架け橋となった2人組のエレポップ・ユニット。『TAINTED LOVE』っていうヒット曲が有名。その曲も収録された彼らの2枚目のアルバム『NON-STOP ECSTATIC DANCING』は耽美的な世界の中でグルーヴィーでダンサブルなサウンドが展開されていて、なかなかカッコ良い。アルバムの1曲目を飾るのが、ここでカバーされた『MEMORABILIA』。

原曲はパーカッシブなビートが印象的だったんだけどPOLYSICSは4つ打ちのビートでよりダンサブルに料理。原曲にはなかったディストーション・ギターもいいスパイスになってるし、ラプチャーなんかに通じるような感じでカッコ良かった。さすが長いことニューウェーブ的なサウンドをやってきただけのことはあるね。ニューウェーブへの愛もひしひし感じられる。
07 TALKING HEADS
『BURNING DOWN THE HOUSE』


収録アルバム
SPEAKING IN TONGUES

岡村靖幸
TALKING HEADSは無機質なニューウェーブにソウルやファンク、アフリカンビートを取り入れて独自のサウンドを鳴らしていたバンド。トム・ヨークも好きだというブライアン・イーノのプロデュース作『REMAIN IN LIGHT』は80年代を代表するような作品。(レビューはこちら)。ここでカバーされた『BURNING DOWN THE HOUSE』は後にリリースされた『SPEAKING IN TONGUES』に収録。この作品はイーノのプロデュースから離れ、セルフプロデュースによるものなんだけど、イーノがプロデュースしてた作品に比べると少しアクの抜けたポップなサウンドになった印象。個人的にはこの作品と、それ以降の作品はあんまり好きじゃない。

岡村靖幸のカバーは割と原曲に忠実な感じなんだけどファンク度が格段にアップ。最近の岡村靖幸らしくストイックな感じ。
08 PIGBAG
『PAPA'S GOT A BRAND NEW PIGBAG』


収録アルバム
DR.HECKLE AND MR.JIVE
(日本盤のボーナストラック)

LOSALIOS
PIGBAGは80年に結成、元ポップグループのサイモン・アンダーウッドも在籍したファンク・ニューウェーブ・バンド。スカスカなポストパンク的ビートに絡むソウルフルな女性コーラスやファンキーなホーンが絡み合う。ここでカバーされた『PAPA'S GOT A BRAND NEW PIGBAG』は日本でもCMで使われたりしたんで聴いたことあるって人は多いかな。ポストパンクのファンクの融合が絶妙すぎる名曲。最高に踊れます。

LOSALIOSはインプロ要素を高め、重みを増したカバーを披露。これはこれでめちゃくちゃカッコいいけど、まるで笑ったまま怒ってるような狂い具合を持った原曲のほうが個人的には好きかも。いや、どっちも好き。
09 GANG OF FOUR
『TO HELL WITH POVERTY!』


収録アルバム
『なし』
画像は
『ENTERTAINMENT!』


MO'SOME TONEBENDER
GANG OF FOURは英国はリーズ出身の4人組。キレ味抜群な鋭いギターリフに重低音ベース、ドカドカドラムという彼らのスタイルは後のポストパンク・リバイバルなバンドやナンバーガールなんかにも多大な影響を与えた。この曲をカバーしたMO'SOME TONEBENDERも彼らに影響を受けたバンドのうちのひとつ。

原曲は7インチで出ていたものでオリジナル・アルバムには未収録。原曲は聴いたことないけどGANG OF FOURへのトリビュートは強く感じられるカバーだった。凶暴性は本系以上。ちなみに彼らのデビュー作『ENTERTAINMENT!』(レビューはこちら)は名盤なんでナンバーガールやMO'SOME TONEBENDERあたりを好きな人は是非是非。
DISC2
01 RYUICHI SAKAMOTO
&
THOMAS DOLBY
『FIELD WORK』

収録アルバム
『FIELD WORK + STEPPIN IN ASIA + ARRANGEMENT』

半野喜弘
坂本龍一&トーマス・ドルビーによるシンセ・ポップを半野喜弘がカバー。坂本龍一については僕が説明しなくても誰でも知ってると思うけど元YMO。トーマス・ドルビーは70年代後半からフォリナー、デフ・レパードなど数多くのアーティストと共演してきたシンセ奏者。ここでカバーされた『FIELD WORK』はアルバム『音楽図鑑』の前にリリースされたシングルで『音楽図鑑』には未収録。今はその頃のシングルをコンパイルした編集盤で聴くことができます。

原曲はちょっとロマンチックな雰囲気のシンセ・サウンド全開な歌物ポップ・ナンバー。半野喜弘はこの曲を女性ボーカルをゲストに迎えてフォークトロニカ風に料理。このトリビュート盤の原曲とは全く違う味付けのカバーの中ではダントツの出来です。
02 BOW WOW WOW
『I'M NOT A KNOW IT ALL』

収録アルバム
『SEE JUNGLE! SEE JUNGLE! GO JOIN YOUR GANG, YEAH, CITY ALL OVER! GO APE CRAZY!』

CLAMMBON 
BOW WOW WOW(日本のBOW WOWとは別物)は、マルコム・マクラレンのプロデュースでデビューしたポストパンク・バンド。ジャングルビートを多用しているのが彼らの特徴。2枚目のアルバム『I WANT CANDY』の表題曲は日本でもCMに使われたり、映画『200本のたばこ』に使われてたりと聴いたことがある人が多いと思う。ここでカバーされてる『I'M NOT A KNOW IT ALL』は1枚目のアルバム『SEE JUNGLE!〜(略)』に収録。このアルバムはこれ以降の作品よりもちょっとヤンチャな感じがして、個人的にはBOW WOW WOWの作品の中で一番好き。アナベラのヌード・ジャケットもいいね。

クラムボンはミニマルでプリミティブな原曲をよりミニマルな人力テクノに料理。これまでのクラムボンのオリジナル曲には見られないタイプの曲だけど、ミニマルでぶっといビートの上をシーケンサーとピアノ、原田郁子の声が浮遊してとんでもない高揚感を生み出してる。かっこ良すぎ。クラムボンをただのポップバンドだって思ってる人はこのカバーを聴くときっと驚くはず。このトリビュート盤の中でもベストトラック。
03 CABARET VOLTAIRE
『EASTERN MANTRAS〜WESTERN MANTRAS』

収録アルバム
『THREE MANTRAS』

EYE
CABARET VOLTAIREは、イギリスの人たちらしいんだけど1回も音を聴いたことなくて詳しいことはあまり知りません。とりあえずポストパンク全盛期にテープ・コラージュやサウンド・エフェクト、反復ビートを基調とするサウンドをやってたみたい。EYE(ボアダムス)は彼らの80年にリリースされた2トラック・アルバム『THREE MANTRAS』に収録されている2曲をカバー。

どこかの民族のお祭りみたいな雰囲気のミニマルなインストに仕上がっています。そんなに高揚感があるわけでもなくチルな感じもあまりない。原曲を知らないから何ともいえないけど、個人的にはソロのEYEじゃなくてボアダムスのときのEYEが好きだな。
04 BOW WOW WOW
『SINNER! SINNER! SINNER!』


収録アルバム
『THE BEST OF BOW WOW WOW』

saicobab
このトリビュート盤では、クラムボンもBOW WOW WOWをカバーしていたんだけど、サイコバブもBOW WOW WOWをカバー。原曲はシングルで出てた曲でクラムボンのカバーした曲も収録されている1枚目の作品にもインスト・バージョンとして収録されています。シングルのバージョンはベスト盤に収録。この曲はクラブでも何回か聴いたことあるんだけど、アフリカンでプリミティブなダンス・ナンバーでやたらとかっこいいです。

サイコバブのカバーは原曲の民族性をより高めた感じで、高速タブラ&シタールにエレピとアグレッシブなボーカルが絡み合い、凄まじいまでの高揚感と疾走感を生み出す気持ちよすぎな3分間。サイコバブの演奏ももちろん素晴らしいんだけど完全に選曲の勝利だと思う。これ以上、サイコバブに向いてる曲はないかもってくらいに。
05 YOUNG MARBLE GIANTS
『SEARCHING FOR MR.RIGHT』


収録アルバム
『COLOSSAL YOUTH』

SUPERCAR
DISC1の1曲目でBUFFALO DAUGHTERもカバーしていたヤング・マーブル・ジャイアンツ。アルバムは1枚しか発表してないんで収録アルバムも一緒です。SUPERCARはそのアルバム『COLOSSAL YOUTH』の1曲目に収録されている曲をカバー。

アレンジ的には原曲とあまり変わってないんだけど原曲にはなかったエレクトリックなノイズが全編に乗っかっている。カバーの方法論はBUFFALO DAUGHTERのそれにちょっと近いかも。ちなみに原曲が女性ボーカルってこともあってかボーカルはミキちゃんがとってます。同日発売のSUPERCARのニューアルバムでは1曲しかミキちゃんが歌ってる曲がなかっただけにちょっと嬉しい。
06 THE SPECIALS
『A MESSAGE TO YOU RUDY』


収録アルバム
『THE SPECIALS』

HAIR STYLISTICS
スペシャルズは、スカとパンクを融合させた、所謂、2トーン・スタイルの立役者。ここでカバーされた『A MESSAGE TO YOU RUDY』も収録したエルヴィス・コステロのプロデュース作『THE SPECIALS』はスカとかニューウェーブとかパンクの括りには捉われない音楽史に残る名盤中の名盤。ここに収録された『CONCRETE JUNGLE』あたりはスペシャルズのことをあまり知らない人でも1回くらい聴いたことあると思う。

中原昌也のユニット、HAIR STYLISTICSは1曲目に収録されている『A MESSAGE TO YOU RUDDY』をカバー。原曲はほのぼのしたスカ・ナンバーなんだけど、ここで鳴ってるのはノイズノイズノイズ。何も知らずに聴いたら、まず原曲は分からないだろうってくらいに壊しまくってます。
07 STUMP
『EAGER BEREAVER』


収録アルバム
『A FIERCE PANCAKE』

WORLD'S END GIRLFRIEND
イギリスのヘンテコ・ポップ・バンド、スタンプの86年にリリースされたホルガー・ヒラースによるプロデュース作『A FIERCE PANCAKE』に収録の曲をワールズエンド・ガールフレンドがカバー。

原曲は聴いたことないんだけどノイジーでプログレッシブ、遊び心のあるエレクトロニカに料理。彼の曲って遊園地を思わせることが結構あるけど、このカバーは遊園地は遊園地でもお化け屋敷みたい。ちょっとおどろおどろしい感じ。
08 THE POP GROUP
『WE ARE TIME』


収録アルバム
『WE ARE TIME』

ROVO

ポップグループはRIP, RIG & PANICやPIGBAGのメンバーも在籍した伝説のバンド。彼らのデビューアルバム『Y』は名盤です。(レビューはこちら)。ここでカバーされてる『WE ARE TIME』は2枚目のアルバムの後に作られた編集盤に収録。原曲はメロディアスなベースラインと攻撃的なボーカル、壊れまくりなギターがダビーな音空間の中で暴れまくる名曲。

ROVOによるカバーは原曲の印象的なベースラインを核にバイオリン、エレクトロニクスなどを加えてROVO流にカバー。後半の高揚感が凄い。原曲も死ぬほどかっこいいけど、ROVOのカバーも半端ない。