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サイケアウツ・ゴースト

『VIKALPA』
サイケアウツがサイケアウツ・ゴースト名義で帰ってきたよ。サイケアウツは大阪のクラブ好きだったら1回くらいは名前を聞いたことくらいありそうだけど、90年代からジャングルやガバ、ドラムンベースなどをベースに、「うる星やつら」や「ゼビウス」などアニメやゲームの大ネタをサンプリングしまくって破天荒なサウンドを鳴らし続けてきた大橋アキラのソロユニット。これまでに確認しきれないくらい多くの作品をリリースしてるんだけど、その大ネタな(無断)サンプリングの関係でちゃんとした流通に乗ったことはほとんどないと思われるんで大阪以外の人はあまり知らなかったりするのかな?小西康陽プロデュースのルパンのリミックス盤にも何故か参加してたりしたんだけどね。とにかくバカ全開にぶっ飛んだお祭りダンスミュージックで楽しいし、それでいてひたすらかっこいいんだよね。

そのサイケアウツが長い沈黙を経て2004年にJOSEPH NOTHINGやKID606をリリースするROMZレーベルから新しい作品をリリース。攻撃的な高速ブレイクビーツと腰にくる重低音、その上をカラフルな上ものが飛び交う。攻撃的でぶっ飛んだサウンドなんだけど、疲れることなく心地良さまで感じさせる絶妙のプログラミングは長年こういうサウンドをやってきたサイケアウツだからこそ成せる業なのかも。職人芸だね。やっぱりひたすらかっこいいです。

ただ、ROMZからの全国流通ということもあってか、これまでのサイケアウツ名義の作品と比べると大ネタっぷりが若干控えめなのが残念といえば残念。今作でも「火曜サスペンス」のテーマをサンプリングしたダブ・ドラムンベース『T.SUS』なんて曲もあって、そういうのがやっぱり大好き。もっとこういうのが聴きたかったなあ。

坂田学

『MUSIC FOR NYANCOS〜HELLO! OUR BRILLIANT FUTURE』
2003年に発表されたアニメーションDVD『ニャンコス』のサントラ。演奏、アレンジ、録音を全て坂田学が行ってます。また今度、坂田学名義で作品をリリースするみたいけど、坂田学名義でこれが初音源になるね。結果的にリリースされたのはポラリス脱退後になっちゃったけど、作られたのはポラリス在籍時・・・ということでポラリスっぽい音を想像してたんだけど、ポラリスとは少し近いようでやっぱりまた違った音世界が広がってました。

ふわふわ夢見心地なサウンドスケープに優しいメロディ、柔らかくカラフルなビート。チルアウトな感じです。特に小難しいことや変わったことはしてないです。BGMとして流してたら心地良いかなあ。寝る前に聴く分にはいいかも。これはこれで坂田学ぶらしい音だとは思うけど、全体的に打ち込みの要素が強いんで、坂田学のポラリスでのドラミングは期待しないほうがいいかと。
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さかな

『MY DEAR』

バイオリンと共同プロデュースに勝井祐二を迎えた作品。

アコースティックなブルース。今作はジャズの要素が強い。

疾走感あるアコギのカッティングとドラムが気持ち良いM-6『MARIA MARI』、めちゃくちゃカッコいいブルースM-10『CHOCOLATE』が良かった。

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さかな

『リトルスワロウ』

前作『MY DEAR』に比べて凄くポップな作品。ミックスはZAK。ポコペンの歌、西脇さんのギター、勝井祐二のバイオリン、POP鈴木のドラムがZAKの空間的なミックスでより素晴らしいものになっています。凄く気持ち良い。

『リトルスワロウ』、『ロッキンチェア』、『ジプシー』、『ファン』が良かった。またボーナストラックでJIM O'ROURKEのリミックスが2曲入っていて、それがまた凄く良い出来です。

EGO-WRAPPIN’が好きな人にお薦めです。
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さかな

『WELCOME』

活動暦の長いさかなの中でも最もポップな作品。現在はボーカルのポコペンさんとギターの西脇さんの二人編成でアコースティックな音作りをしているんだけど、このアルバムはROVOの勝井さんやドラムを加えたバンド編成による作品です。ポコペンさんの”うた”を聴くと見たことのない風景がどこまでも広がっていきます。西脇さんのギターや勝井さんのバイオリンも素晴らしく、最高のブルースを作り上げています。

このアルバムは名曲揃い。全曲カッコいいです。大好きなアルバム。名盤です。まず、さかなを聴くならこのアルバムから聴くのがいいと思います。

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さかな

『BLIND MOON』

前作『WELCOME』とは打って変わって、ポコペンと西脇の2人だけで、アコースティックな作品。ほとんどポコペンの歌とアコギの音しか出てきません。

音が凄く生々しいくてポコペンの歌がストレートに響いてきます。M-2『MISS MABOGANY BROWN』、M-3『BLIND MOON』、M-4『知識の樹』、M-9『19』、M-10『遠くへ』などが良かった。

アルバムの空気感は凄く良いんだけど、個人的にはバンドアレンジの前作のほうが好きかなあ。

さかな
(POCOPEN & NISHIWAKI)

『SUNNY SPOT LANE』
さかなのポコペンと西脇が「さかな」ではなく、POCOPEN & NISHIWAKI名義でリリースしたアルバム。アコースティック・ギターとポコペンの歌だけで作られた作品です。

13曲中、9曲が“うたもの”。4曲がインスト。やっぱりポコペンの歌の表現力が素晴らしくて、アコースティックギターと歌だけとは思えないほど、豊かな響きを持っています。ポコペン節も全開で、いい歌がいっぱい詰まった作品。

『BLIND MOON』が好きな人は気に入るんじゃないかな。個人的な好みでは『WELCOME』には敵わない。

さかな

『LOCOMOTION』
さかな名義では前作から4年ぶりとなるフルアルバム。前作『BLIND MOON』はドラムは入ってなかったんだけど、今作はPOP鈴木のドラムを全編に配しています。そのせいか感触は前作よりもちょっとポップかな。

地味ながらも気の効いたリズム隊に繊細ながらもブルーズ感の効いたギター、そしてソウルフルでパンチの効いたポコペンのボーカル。前作をきっかけにさかなを好きになった人も安心してください。ドラムが入ってバンドサウンドになっても、やっぱりさかなはさかなです。ブルーズもソウルもブラジリアンも音響系も飲み込んで、心にじわりじわりと染み入る素敵ポップスを展開しています。さかなと同じような方向性のバンドも最近は結構見かけるけど、この深みみたいなものは、なかなか若いバンドには出せないよなあ。
坂本真綾

『少年アリス』
こう書くと変な偏見を持つ人がいそうで、あまり書きたくないけど、声優や女優としても活動する坂本真綾の4枚目のアルバム。偏見を持った人もこう書くと、少し見方が変わってくるかもしれない。彼女の曲の作曲、プロデュースを行っているのは菅野よう子。菅野よう子が最も多く手を組んでいるボーカリストが坂本真綾だ。きっと天才、菅野よう子も彼女の歌声に魅力を感じてるんだろう。彼女の声は時には力強く、時には優しい。そして、いつも美しく澄んでいる。歌い方に少し癖があって、その辺が駄目な人は駄目かもしれないけど、凄く魅力的な声だと思う。個人的には特に英詩の曲での歌声が好きだ。

曲調はビートルズ・ライクなポップス、アグレッシブなロック調、トラッド風、アンビエント風、フォークなど様々。菅野よう子が手掛けてるだけあって、アレンジや楽曲の出来は優れてて、驚くほどに完成度が高い。そして、坂本真綾の歌の説得力や表現力は決して菅野よう子の楽曲に負けていない。曲順も素晴らしく非常に良く出来たポップ作品だと思う。声優だとか、女優だとか、そういうことは関係ない。ただ、数曲で少し歌とバックトラックに距離感が大きいように感じた。と言うよりボーカルが前に出すぎなのかな。もうちょっとボーカルを控えめなミックスにしても良かったような気もしないでもないな。
坂本龍一

『CHASM』
坂本龍一の企画盤的な作品を除くと約9年ぶりとなるオリジナル・フル・アルバム。最近の坂本龍一には正直あまり興味がなかったんだけど、何気なく観ていた「ニュース23」で演奏されていた今作からの先行シングル『undercooled』には凄く惹かれるものがあった。このアルバムにも1曲目に収録されている『undercooled』は盟友SKETCH SHOWなんかにも通じるような北欧エレクトロニカと、二胡が奏でるオリエンタルな響き、そして韓国語ラップが美しく、悲しく、何かを訴えかけるように交わる。SKETCH SHOWの2人やコーネリアスこと小山田圭吾と共に作り上げた見事なサウンド・プロダクション、YMO時代の名曲『東風』を思わせるような東洋的なメロディ、そして、エレクトロニカとオリエンタルな要素、韓国語のラップをミックスさせるというアイデア、実験的ながらも普段ヒットチャートばかり聴いてるような人にも十分響き得る絶妙なポップ感、どれもとっても素晴らしい出来の名曲だと思う。

ただ、『undercooled』みたいな音を期待して聴いた人は2曲目の『coro』でこの作品を放り出してしまうかもしれない。『coro』は小山田圭吾とのコラボによる4分間のノイズ・コラージュ。サウンド・プロダクションは素晴らしいし個人的には結構かっこいいと思うんだけど、美しいメロディもなければアイデアも大したことなく、ポップ感なんて皆無。普段、ノイズや音響的なものを聴かない人にとっては騒音以外の何者でもないような曲だと思う。

それ以降も、六本木ヒルズのテーマ曲としてお馴染みなM-10『the land song - music for Artelligent City / one winter day mix』、ゲーム「Seven Samurai 20XX」に使われたM-14『Seven Samurai - ending theme』などではオリエンタルで美しいメロディが見られるものの、大半の曲はアンビエントでミニマルなエレクトロニカ曲が多く、『戦場のメリークリスマス』や『Energy Flow』みたいなメロディアスな曲を求めてる人には、ちょっと物足りない作品かも。

では、エレクトロニカ的側面から見るとどうか。SKETCH SHOWや小山田圭吾らの協力も受けつつ作り上げたサウンド・プロダクションはやっぱりそれなりに素晴らしい。だけど、まんまSKETCH SHOWな曲があったり、どこかで聴いたような曲があったりと、どうも借り物感が拭えない。とりあえず遅れながらも流行を取り入れてみましたみたいな。個人的には、M-8『only love can conquer hate』、M-8『break with』、M-11『20 msec』、M-12『lamento』あたりのアンビエント・ナンバーはそれなりに好きなんだけど、別に坂本龍一じゃなくてもいいじゃん・・・みたいな。こっち方面の音だったら、他にもっと良いのもあるよ。もっと坂本龍一ならではの絶妙のポップ感と美しいメロディが欲しかった。
サキノハカ

『THE END OF THE WORLD』
下北で人気らしいサキノハカの初のフルアルバム。「サキノハカ」っていう言葉は宮沢賢治の詩に出てくる言葉です。そういえば「クラムボン」も宮沢賢治だなあ。まあ、音のほうは全然違うけどね。このサキノハカはバンプとかシロップとか、古くはピロウズとか、そういう感じのギターロック・バンドです。文学系?下北系?まあ、よくある感じです。曲は普通に良く出来てるし、こういう系が好きな人は好きでしょう。ボーカルの声というか歌い方はちょっとクセがあるんで好き嫌い分かれるかも。あとベースが全体的にかっこ良かったです。基本的には歌を聴かせるバンドだと思うけど、ベースも十分に主役級だね。

・・・って思ったら、このアルバムを出した後、ベースの人が脱退しちゃったんだって。うーん、残念。
ザ・クロマニヨンズ

『ザ・クロマニヨンズ』
ブルーハーツ、ハイロウズを経たヒロトとマーシーの新バンド、クロマニヨンズのデビューアルバム。リズム隊は変動するらしいけど、今作では元SADSの小林勝、ガーゴイルの桐田勝治が担当。民謡っぽい曲からディスコっぽい曲まで色々やってたハイロウズ後期から一転、非常にシンプルな8ビートのロックンロールを聴かせてくれます。曲も短い、短い。歌詞を読むと、分かるようで、分からないようで、音と一体になったら分かったような、やっぱり分からないような。まあ、細かいことは気にしないで音に身をまかせれば心躍る、体踊る!

ポップでキャッチーな先行シングル『タリホー』は『トレイン・トレイン』、『青春』ばりの名曲だと思います。『歩くチブ』いいなあ。『夢のロッケンロール・ドリーム』もいいなあ。キーボードなしのシンプルなロックンロールで、マンネリはちょっと心配だなあ。僕は土星より人にやさしくいたいなあ。
サザンオールスターズ

『海のYEAH!!』
98年に発売されたサザンの2枚組ベストアルバムです。ここまでの代表曲をほぼ時系列ごとに収録しててサザン入門編にピッタリの作品になってます。僕もほぼサザン初心者だったんだけど、サザンってバンドなのに打ち込みっぽい音が多いんだね。人間臭さがないというか薄いというか。今、聴くとどうしても古臭さを感じちゃいます。

でも、多くの人の心を魅了するメロディと他にはない独特の言葉使いと歌声、突き抜けた遊び心はさすがとしか言いようがないです。『勝手にシンドバッド』みたいな遊び心いっぱいのアホアホポップソングがあると思いきや『いとしのエリー』みたいなお涙頂戴なバラードもあるみたいなヒットアーティストのコツは最近のオレンジレンジやケツメイシ、大塚愛なんかにも引き継がれてるね。

個人的には唯一、僕が持ってるサザンのシングル『愛の言霊』が一番好きかな。ラテンもジャズもロカビリーもヒップホップも民謡もサザン流にミクスチャー。言葉遊びや音遊び、曲展開やアレンジ、リズム、絶妙のポップ感、イントロからアウトロまでどれをとっても完璧だと思います。歌謡ミクスチャーの最高峰だよ、これは。サザンをバカにしてるような人にも是非、聴いてもらいたい1曲です。てか、『希望の轍』って初めて聴いたけど、いい曲だなあ。『エロティカセブン』や『マンピーのG★SPOT』のバカっぷりも最高です。
サザンオールスターズ

『キラーストリート』
オリジナルアルバムとしては約7年ぶりとなるサザンオールスターズの30曲2枚組アルバム。もうとうの昔にサザンの個性ってのは確立されてると思うんです。歌謡曲、ロック、ブルースを基調にしたサウンドに韻を踏んだ遊び心いっぱいの歌詞、誰が聴いても一発で分かる桑田佳祐独特の歌唱法と歌声。バカソングと夏ポップス、そして泣きのバラードみたいな(今作はあまりバラードないけどね)。前作『さくら』の頃にリリースされた『愛の言霊』や『イエローマン』(オリジナルアルバムには未収録)なんかはそこから少し飛び出した感があったけど、今作は凄く予想範囲内の音だと思います。良く言えばサザンらしい作品、悪く言えば無難というかマンネリというか。

決して悪い作品じゃないと思います。2枚通して聴くのはしんどいけど、オリジナルアルバムなだけあってアルバム全体の流れも良く出来てるし、桑田圭介のソングライティングやスタジオミュージシャン的な演奏もバッチリ。ただ、『涙の海で抱かれたい〜SEA OF LOVE』、『君こそスターだ』、『夢に消えたジュリア』、『愛と欲望の日々』、『BOHBO No.5』などなどシングル曲もいっぱい収録してるけど『TSUNAMI』とか『エロティカセブン』、『愛しのエリー』なんかに比べるとどうしても小粒感があるというか。サザンの作品を全部聴いてるわけじゃないけど、最高傑作!お薦め!とはちょっと言えないかなあ。
サニーデイ・サービス

『24時』

サニーデイ・サービスの5thアルバム。この作品は2枚組でトータル80分を超える大作。

今までのアルバムに比べると、楽曲の幅が広がっている。シングルにもなった軽快なM-1『さよなら!街の恋人たち』みたいな曲もあるけど、全体的に暗くて凄く内省的なんで、前作までを好きな人にはきついかもしれない。個人的には前作までより、今作のほうが良かったけど。いい曲がいっぱい詰まってる良質なアルバム。

ただ、ちょっと長すぎかな・・・

サニーデイ・サービス

『MUGEN』
サニーデイ・サービス、6枚目のアルバム。前作と違い、今作はアルバム全体のバランスが良い。

歌が凄く良い。楽曲の質も凄く高い。メロディも今までのアルバムで一番良いと思う。本当に名曲揃い。全曲いい。
『スロウライダー』は、このアルバムのバージョンより、シングルに収録されていた、SUGIURUMNのリミックスのほうが良かったかな。でも、アルバムの流れを考えると、このバージョンで良かった。

個人的には、このアルバムが、サニーデイ・サービスの最高傑作だと思う。名盤。はっぴいえんどや、二ールヤング、『さよならストレンジャー』期のくるり、羅針盤なんかを好きな人は是非、聴いてみてください。
サニーデイ・サービス

『LOVE ALBUM』
サニーデイ・サービスの7枚目にして、ラスト・アルバム。

アルバムジャケットからも分かるように、色彩豊かな作品。題名どおり「LOVE」に満ちた作品になっている。サウンド的には打ち込みが大幅に導入されて、ダンス・ミュージックの要素が強くなった。

今作も前作と同じくらい完成度の高いアルバムです。ただ、今作はもうサニーデイ・サービスでは無くて、曽我部恵一の実質的ソロ作品になってしまっているように思う。サニーデイ・サービスという括りを無視して、アルバム内容だけで見ると、僕はこのアルバムのほうが好き。

「LOVE」なインスト曲もいいし、完全にダンスミュージックを吸収した『夜のメロディ』、『魔法』、ソウルフルな『LET'S MAKE LOVE』、『パレード』なんかもいいし、細野晴臣のカバー『恋は桃色』もいい。
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サワサキヨシヒロ

『DR YS & COSMIC DRUNKARDS』

DJでは演歌とドラムンベースを混ぜてプレイしたりするユーモアのあるアーティスト、サワサキヨシヒロの初のアルバム。プログレやドラムンベース、ボサノヴァなどあらゆる要素を融合したダンスミュージック集です。

ゲストに曽我部恵一、セイジ(ギターウルフ)、クリス・ペプラー、キャプテン・ファンク、田中知之などを迎えてバラエティに富んだアルバムになっています。

何と言っても、このアルバムは1曲目。なんと岡田眞澄をゲストボーカルに迎えた祝福に満ちた曲。ドラマチックなトラックに岡田眞澄がゴージャスでエレガントなボーカルを聞かせてくれます。
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サンガツ

『サンガツ』

シカゴの鬼才、ソニックユースやステレオラブのプロデュースでも知られるジム・オールクのプロデュースで登場した日本のポストロックバンド。ツインギター、ベース、ツインドラムという編成の5人組。3曲で40分以上あります。初め聴いた感想は”TORTOISEっぽいなー”でした。特に新しいところはないんだけど、とにかくメロディがいいです。演奏もうまい。目新しさを求めないんだったら、とっても良いです。

TORTOISE好きな人は是非是非。

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サンガツ

『波』

映画『波』のサウンドトラック。と言っても半分くらいの曲は映画の中で使われてないらしいです。

シカゴ音響系の音なんですけど、ほとんどの曲が2分以内と短いんで展開とかは無くて、ちょっと物足りなかったです。それでも、映像が頭に浮かぶような音はさすが。



サンガツ

『静かな生活』
前作『波』から3年半ぶりとなるサンガツの3作目。ミックスは益子樹と、トータスのツアーPAやリズ・フェアらのプロデューサー/エンジニアとして有名なケイシー・ライスが担当しています。

今作は「静かな生活」って題名がホントによく合う作品だね。1作目にあったようなロック的でダイナミックなサウンドは今作では大分、影を潜め、アコースティックな響きと心地よいリズム、清涼感のある美しいメロディを前面に出した柔らかく優しいサウンドになっています。無駄なものを省いて、ギターとベースとドラムというシンプルな構成で生まれる「静かな生活」。ポストかどうかと聞かれれば全然ポストじゃないけど、ただただ気持ちいいインストゥルメンタル。素晴らしいかどうか聞かれれば、もうとにかく素晴らしい作品だと思います。都会の賑やかな生活も楽しいけど、たまにはこの作品でもまったり聴いて「静かな生活」を味わってみては?


サンボマスター

『新しき日本語ロックの道と光』
2000年に結成された3ピース・バンド、サンボマスターのメジャーデビュー作。これはエモ?パンク?ハードコア?ソウル?ファンク?ギターロック?ポスト・エレファントカシマシ?ポスト・怒髪天?ポスト・ゴーイングステディ?ポスト・ブルーハーツ?ポスト・ナンバーガール?・・・違う違う、ただただロックンロール。最高にロックンロール。

以前にリリースされたインディーズ盤『キックの鬼』が視聴したんだけど個人的にイマイチだったこともあって、立ち読みした雑誌で「ジャパニーズ・ロックの救世主(うろ覚え)」的なことを見たときは、もうそういう宣伝文句には騙されませんよ・・・なんて思ってサンボマスターは聴かず嫌いでいた。でも、ごめんなさい。これは「ジャパニーズ・ロックの救世主」と言っても大げさじゃないかもしれないね。圧倒的にロックンロールだし、タイトル通りに「新しき日本語ロックの道」になりうる作品だ。光り輝いている。

ただただエモーショナルに疾走するロックンロールにガーーーーっと頭を真っ白にされたかと思ったら、ソウルフルに歌い上げるスロウ・ナンバーにホロリと涙。もうとにかくボーカルの山口隆のちょっとハスキーで熱すぎる歌声が最高なんだ。真っ直ぐな歌詞や間奏での山口隆の叫び(語り?)もホントにグッとくる。ロック好きならM-7『さよならベイビー』でのロックンロールな叫びに涙必死だよ。山口隆の圧倒的なパワーの影に隠れてしまいがちだけど、演奏のほうも素晴らしい。純粋に上手いし、熱く激しい中にもジャズやソウルが感じられるのがいいね。

全10曲、捨て曲なんざありません。この後にリリースされたシングルは残念なことにCCCDだったけど、これは普通のCDです。いや、最高にロックンロールなCDです。名盤です。日本のロックの最高峰だね。エレファントカシマシ、怒髪天、ゴーイングステディ、ブルーハーツ、ナンバーガール、ガガガSP、ソウルフラワーユニオン・・・そのあたりを好きな人は聴いといたほうがいいと思うよ。外国の偉大なロックンロール・バンドにも全然負けてない。“日本語”を取って『新しきロックの道と光』っていうタイトルでも良かったかもね。
サンボマスター

『サンボマスターは君に語りかける』
サンボマスターの2作目。このアルバム、オリコンチャートでなんと初登場5位です。いかにもロックな感じの轟音ギターに熱い叫び、青春パンクに通じるような分かりやすいメロディと疾走感に椎名林檎にも通じるような歌謡臭、根本にあるのは大人の人も惹きつけるようなソウル魂。前作と比べるとアレンジも綺麗にまとまってポップ度もアップ。そこにロックの救世主的なマスコミの持ち上げ方と大量のCMオンエア、人気アニメのタイアップなんていう商業的な要素や民放のコント番組でもパロられた独特なキャラクター性も加わって、そりゃ売れるわなあ。

個人的には衝撃的で暴発的だった前作と比べると綺麗にまとまり過ぎてる感じがして、前作ほどは盛り上がらなかったかな。ちょっとマンネリな感じもしないでもない。でもやっぱり響いてくるんだよね。やっぱり何度も何度も聴いちゃう。一緒に叫びたくなっちゃう。気持ちが暴れ出す。サンボマスターは売れてる売れてない以前にかっこいいね。
サンボマスター

『僕と君の全てをロックンロールと呼べ』
サンボマスターの3作目。アホみたいに絶叫したり狂ったように演奏したりしてるけど、サンボスターって実は凄くかしこくて前作や前々作も、ただガムシャラに、衝動に身を任せて音を鳴らしてたんじゃなく、計算するところはちゃんと計算して作られてたんだと思う。まあ、それは僕の妄想で実際はそんなことないのかもしれないけど、そう思っても仕方ないくらい前作、前々作はよく出来た素晴らしい作品だったと思う。

今作は正直ちょっと何か物足りない。なんか計算しすぎな気がするんだよね。めちゃくちゃ個人的な話だけど、ちょっとしたブリッコは可愛いと思うけど、計算しすぎると可愛くない。今作はサンボマスターはこうでなけりゃ、ここでこう新しいサンボマスターを見せようっていうのもミエミエであざといというか。あと無駄に曲が多いね。ロックンロール作品として70分は長すぎるし、何曲か削ってもっとコンパクトな作品にしても良かったような。まあ、かしこい人たちだし、このままじゃ終わらないでしょう。次の作品に期待!


椎名林檎

『無罪モラトリアム』
今や、知らない人はいないであろう椎名林檎。彼女の記念すべき1stアルバム。最近、発売されたシングル『りんごのうた』がこれまでの椎名林檎の区切りシングルということで改めて、この1stアルバムをレビューしてみようと思う。

こんなことをここで書くべきじゃないかもしれないけど、僕が当時、最も好きだったミュージシャンが椎名林檎のデビューシングル『幸福論』のリリース直前にいなくなってしまった。大げさに思うかもしれないけど、当時の僕は御飯もノドを通らないし、他に何もする気なんて起こらなかった。大好きな音楽を聴く気にすらならなかった。心に空いた穴はホント大きかった。その大きく穴の空いた僕の心を埋めてくれたのが、たまたま見かけた椎名林檎の2ndシングル『歌舞伎町の女王』のPVだった。ホント衝撃的だった。なんて言うか音楽の素晴らしさを再認識した。そのままレコード店に直行して『歌舞伎町の女王』と『幸福論』を購入。ちょっと前まで音楽を聴く気を失ってたはずだったのに馬鹿みたいに聴きまくった。個性的な演出、歌謡曲とグランジやパンクとの融合、キャッチーなメロディ、日本語を大切にした歌詞。今思えば、いなくなった某ミュージシャンと通じる部分が多くあるような気がするけど、当時はそんなこと関係なしに椎名林檎の音に、ただただのめり込んだ。前置きが長くなったけど、何が言いたかったかというと、それだけ椎名林檎の音には人の心を引き付ける強い力があったっていうこと。

そして数ヵ月後に発売されたこのアルバム。もう文句なしの出来だった。間違いなく、この年に最も聴いたアルバムで、最も好きだったアルバムだった。そんな大好きだったアルバムも長いことCD棚から取り出してなかったんだけど、このレビューを書くために久しぶりに聴いてみた。いい。やっぱり椎名林檎はこの作品が今のところダントツで最高傑作だ。歌謡曲とロックの奇跡的な融合。M-1『正しい街』は発売されてから4年以上経った今でも新鮮に響いてくる。最近じゃ、椎名林檎フォロワーとも言える歌謡曲とロックの融合みたいな音をやってる人がいっぱいいるけど、本家の足元にも及んでないことも再確認。M-2『歌舞伎町の女王』は言わずと知れた名曲。歌謡曲的なメロディと歌詞の文体ばかりが注目されてる気がしないでもないけど、生き生きとしたグルーヴ感もポイント。ベースが素晴らしい。転調の仕方なんかも本当に絶妙。M-3『丸の内サディスティック』は踊るようなピアノとブルースハープをフィーチャーした椎名林檎流ブルース。後半の椎名林檎のスキャットとピアノ、ブルースハープのぶつかり合いが半端なくカッコいい。言葉遊びによる歌詞も素晴らしい。まあ、「ベンジー、あたしをグレッチで殴って」って部分はちょっと狙いすぎな感じはするけど。M-4『幸福論(悦楽編)』はデビューシングルのポップ・ナンバーのグランジ・バージョン。暴走暴走凶暴なんだけど、どこかポップ。M-5『茜さす 帰路照らされど・・・』は椎名林檎節全開のバラード。メロディが極上なのは当然、生々しいアコギの音色や効果的に使われた打ち込みのビートなど細かいところまで作りこまれた名曲。M-6『シドと白昼夢』はスペーシーで浮遊感のある打ち込みパートと攻撃的なロック・パートを行き来する実験的な曲。こういう曲って下手すると数年後にはダサく感じてしまうことが多いと思うんだけど、今聴いても十分新鮮。M-7『積木遊び』は攻撃的なグランジ・ナンバーなんだけど、ただの真似事には終わらず、ジャパニーズ・トラッドなパートが挿入されたりして遊び心満天。M-8『ここでキスして』は力強く感動的なバラード。この曲で彼女のことを知った人が多いと思うけど、個人的にはこのアルバム中の順位は下位。メロディは素晴らしいんだけど、アレンジがちょっとベタすぎ。M-9『同じ夜』は悲しげなバイオリンが印象的なバラード。音数は少ないけど内から来るエモーションが半端なく泣ける。M-10『警告』は打って変わってグランジ・ナンバー。一見、凄くストレートで荒々しいんだけど、ブレイク部分のコーラスアレンジなんかを聴くと実はじっくり作りこまれたものだと分かる。M-11『モルヒネ』は口笛も入ったポップ・ナンバー。この曲で程よい切なさと程よい爽やかさ、そして余韻を残してアルバムは終わる。

全体的に歌謡曲とロックの融合のバランス、実験性の度合いが絶妙。その辺が僕がこの作品を彼女のここまでの最高傑作だと思う所以だ。それぞれの曲のクオリティは本当に高いし、アルバムの流れも良い。これは名盤と呼んでも十分余りある作品だと思う。
椎名林檎

『勝訴ストリップ』
椎名林檎の2ndアルバム。M-1『虚言症』は前作に通じるよな力強いロック・ナンバーなんだけど、次のM-2『浴室』が衝撃的。同じ年に発売されたRADIOHEADの『KID A』を予言してたような全編4つ打ちによる実験的で無機質な曲。今聴いても面白いサウンドだ。でも、面白いと良いは直結しない。この曲以降もM-6『ストイシズム』M-10『サカナ』など実験性の高い曲があるけど、面白いことは面白いんだけど、曲の出来全体で見るとイマイチな曲ばかりだ。前作のレビューで「実験性の度合いが絶妙」って書いたけど、今作の大半の曲は実験性の度合いが過剰すぎる。比較的、ストレートなアレンジだったシングル曲、M-4『ギブス』M-12『本能』なんかが良かっただけに残念。シングルになってないアルバム収録曲では、轟音ギターと椎名林檎のエモーショナルなボーカルが一体となって聴く人の心を揺さぶるM-9『月に負け犬』、サビでポップにバーストするグランジ・ナンバーM-11『病床パブリック』、6分以上に渡るドラマチックなミディアム・バラードM-13『依存症』は良かった。曲をそれぞれ単体で見れば、そこそこ良い曲もあるんだけどな・・・。やっぱり前作にあった良さは確実に減少してるし、今作での新しい部分もいいとは思えない。残念ながら、アルバムとしてはちょっとクオリティの低い作品だと思う。

椎名林檎

『唄ひ手冥利
其の壱』

椎名林檎のカバーアルバム。亀田誠治が編曲した「亀pact」と、森俊之が編曲した「森pact」の2枚組み。「亀pact」のほうは亀田誠治らしい派手なオルタナ・アレンジ。「森pact」のほうはエレクトロニカ、ジャズの要素が強め。どっちのDISCもそれぞれいい感じ。
あと、ゲストとしてスピッツの草野マサムネ、松崎ナオ、宇多田ヒカル、椎名純平が参加している。

個人的には、「亀pact」では、浮遊感のある四つ打ちポップでカバーしたアンディ・ウィリアムズ『MORE』、ジャジーなマリリン・モンロー『I WANNA BE LOVED BY YOU』、松崎ナオとのデュエットによるスペーシー打ち込みロックな太田裕美『木綿のハンカチーフ』、荒っぽいガレージロックなビートルズ『YER BLUES』、チープなリズムボックス&ギターのトラックのキュートな『野ばら』が良かった。
「森pact」は、全部好き。ちょっと東京ザヴィヌルバッハ周辺の音を思わせるようなトラックがかっこいい。

全体的に質の高いカバーアルバムだと思う。亀田誠治と森俊之でDISCを分けたのも正解。
ただ、個人的にはゲストボーカルは必要なかった気がする。(レコード会社の策略で参加したのかもしれないけど)
あと、欲を言えば、ユーミンの『翳りゆく部屋』の名カバーも収録していると嬉しかったな。

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椎名林檎

『加爾基 精液 栗ノ花』

椎名林檎のオリジナル・フルアルバムとしては3枚目のアルバム。今作は亀田誠二はノータッチ、前作までとは違い、バンドサウンドではなく、椎名林檎の宅録によるパーソナルな作品。メロディなんかは今までどおりの椎名林檎なんだけど、アレンジが濃い。ストリングスや琴、シタールからディジェリデゥなどあらゆる楽器を駆使して、ロック、ジャズ、エレクトロニカ、現代音楽などのあらゆる音楽を吸収し、「椎名林檎」という唯一無比な音楽を作り出している。

M-1『宗教』はミディアムテンポで、壮大なストリングスとノイズが共存する、ひたすら美しい曲。M-2『ドッペンゲルガー』はストリングスに変則ぎみなビートの曲。M-3『迷彩』はウッドベースとバイオリンを使ったアップテンポでジャジーな曲。M-4『おだいじに』は美しいピアノの弾き語りに、歪んだギターの音が絡む曲。M-5『やっつけ仕事』はサントラ的なストリングスを使ったアレンジ。このアルバムの中ではかなりポップでキャッチーな曲。M-6『茎』はシングルとは違って、日本語バージョン。アレンジも少し違う。映画的な曲。M-7『とりこし苦労』はコーラスや様々な楽器を使った変わったアレンジの曲。男性コーラス、女性コーラスの使い方や、最後の転調が面白い。M-8『おこのみで』はちょっと『無罪モラトリアム』の頃を思わせるような曲。結構ポップ。M-9『意識』はディジェリデゥとフルートを使った曲。この曲もポップな感じ。間奏がかっこ良かった。M-10『ポルターガイスト』は優雅な感じのストリングスに椎名林檎の唄が絡む曲。M-11『葬列』はアレンジが凄い。インド音楽に始まって、ノイズを挟んで、教会音楽、アカペラ、そして最後は怒涛の轟音ノイズ。もう圧倒的。

個人的には『宗教』、『おだいじに』、『茎』、『とりこし苦労』、『意識』、『葬列』が良かった。アルバム・タイトルとCCCDなのは残念。アルバム全体の評価もやっぱり『無罪モラトリアム』と比べると・・・。

椎名林檎

『りんごのうた』
なんでも椎名林檎はトレードマークでもあった黒子を取っちゃったらしい。そして、今作は今までの活動の集大成をコンセプトにしたシングル。M-1『りんごのうた』では「たったいまわたしのながわかりました あなたがおっしゃるとおりの「りんご」です」と意味深な内容を歌っている。この歌詞にこれからの活動のヒントが隠されてるんだろうか。って考えさせられてる僕はまんまと椎名林檎の戦略にはまってるのかな(笑) サウンドのほうはパーカッションとストリングス、そしてアコーディオンをフィーチャーしたルンバ調歌謡曲。ロックな要素は皆無で純粋な歌謡曲になってる。これまでの椎名林檎にありそうでなかったサウンド。これは好き嫌い分かれるんじゃないかな。曲が悪いわけではないし、むしろ良い曲なんだけど、面白くない。2ndアルバム『勝訴ストリップ』のレビューでは面白いんだけど良くないって書いた。今作はその全く逆。良いんだけど面白くない。1stアルバム『無罪モラトリアム』のレビューでも少し書いたけど、僕が好きなのは「歌謡曲な」椎名林檎じゃなくて、「歌謡曲とロックの融合をした」椎名林檎なんだよな・・・。

M-2『la salle de bain』『勝訴ストリップ』に収録されていた実験的な4つ打ちナンバー『浴室』のフランス語題英語バージョン。『浴室』の実験的で無機質なサウンドから一転、オーケストラをフィーチャーして有機質なポップスに生まれ変わっている。これも「面白い」かた「良い」に変わった。あえて、この曲をここに持ってきたっていうことは、これからはこういう路線で行くんだろうか。

そしてM-3『リンゴカタログ〜黒子時代再編幕〜』黒子時代再編幕という副題からも分かるとおり、これまでの活動をまとめたような曲。なんとバックトラックはこれまでのアルバムの収録曲(全曲?)をハードディスク上で1回ギタギタにしてツギハギしたもの。そして歌詞は、これまでのシングル・カップリング曲の歌詞をツギハギしたものになっている。この歌詞がツギハギとは思えないくらい、ちゃんと繋がってて唸らされる。バックトラックは何十曲もツギハギしただけあって、とても実験的。ブレイクコアにも通じるようなゴチャゴチャっぷり。だけど、その上に乗る歌はめちゃくちゃキャッチー。「面白い」と「良い」が両立した素晴らしい曲だ。これまでの実験的な曲で一番いいかも。でも、今までの曲をまとめた曲をこういう曲調にして節目シングルに収録したってことは、もうこういうサウンドとはオサラバってことかなって思ったり。やっぱり実験的な部分やロックな部分は排除して行くのかなっていうのが『りんごのうた』以降の椎名林檎に関する僕の予想です。間違ってたらゴメンなさい(笑)

このシングル、3曲入りでクリップの入ったDVD付きで1700円。最近の他のDVD付きの作品に比べて高くない?しかも今作もCCCDだし。CDDAと比べた分けじゃないしDVDのほうが音がいいのは当たり前なんだけど、CCCDとDVDの音の違いに唖然としたよ。できればCCCDもこの作品を節目に辞めてもらいたいところ。
宍戸留美

『RUMI ROLL』
アイドルとしてデビューして、矢沢あい原作のアニメ「ご近所物語」の主人公、幸田実果子役など声優としても活動。歌手としても活動する宍戸留美の4年ぶりとなる3作目の音楽作品。ジャケットは矢沢あいの書き下ろし。

僕も声優やアニメにはあまり興味がないんだけど、これはそれらや彼女に興味がない人でも楽しめる良質のポップ作品だと思う。サウンド・プロデューサーを務めたのはタートルズの松本タカヒロ。レコーディング・エンジニアはシロップ16gやART SCHOOLなどを手掛ける岩田純也。作家陣にはTOMOVSKY、及川光博、元YOUNG PUNCHの福井隆史、演奏に椎名林檎や矢井田瞳のバックも務める西川進、同じく椎名林檎やあとクラムボンのバックも務めていた皆川真人、そして東京スカパラダイスオーケストラの大森はじめ などなど好きな人にはたまらない豪華な布陣。

宍戸留美のちょっと危うげでとびっきりキュートなアイドル然とした歌声と、ギターロック、ブラスポップ、ハワイアン、テクノポップなどカラフルなサウンドがポップに融合。80年代のアイドル・ポップを現代のインディーロックでコーティングしたようなサウンドになっています。松本タカヒロ作曲によるビートルズの『オブラディ・オブラダ』を思わせるようなピアノが印象的なテクノポップ・ナンバーM-8『YES, NO NO, YES』が個人的にベストトラック。他にも、TOMOVSKY作曲によるUSインディーを思わせるようなローファイ・ポップ・ナンバーM-5『SEX FRIEND』、福井隆史作曲による『フューチャラマ』期のスーパーカーを思わせるようなエレクトロニックなミディアム・ナンバーM-9『HER FINE LITTLE HANDS』なんかも好きだな。隠れた良作です。
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篠原ともえ

『スーパーモデル』

篠原ともえの1stアルバム。プロデュースは石野卓球。ゲストでピエール瀧、砂原良徳、CMJK、近田春夫、サーフコースターズ、中原昌也、濱田マリなどの豪華メンバーが参加してます。

卓球プロデュースということで全編コミカルなテクノポップになっています。サーフコースターズらしいテケテケギターが登場する曲や、昔の子供向け番組『クレクレタコラ』の主題歌のテクノカバーなどバラエティに富んでいて楽しいアルバムになっています。

M-1『クルクルミラクル』、M-11『チャイム』はほとんど電気グルーブの曲みたいで名曲です。他の曲も良くてお薦めのアルバムです。

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篠原ともえ

『MEGAPHONE SPEAKS』

篠原ともえの2nd。山本精一、岡田徹のユニットya-to-i、小西康陽、GEODEZIK、ROM=PARI,さかな、BUFFALO DAUGHTERなどの驚くべきメンバーが参加しています。作詞はほとんど、作曲は半分を篠原本人が手掛けていています。参加メンバーからはアヴァンギャルドな音が想像されるけど、いい意味で良質なアイドルポップになっています。

個人的にはya-to-iによる『PURE ATOM BOY』が一番のお気に入りです。ふわふわ甘い極上のポップソング。気持ち良くてクセになります。それにしても篠原、歌がうまいなー。

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篠原ともえ

『DREAM & MACHINE』

篠原ともえの3rdアルバム。今作も豪華ミュージシャンが参加している。

ya-to-iプロデュースの極上ポップチューン。浮遊感があって気持ちいい名曲M-1『A FUNNY FEELING』。BUFFALO DAUGHTERプロデュースのキュートなニューウェーブM-2『トーキョータワールドTV』。少年ナイフ、プロデュースのムーグがいい感じのアップテンポなギターポップM-3『アリゲーター』。まんまチボマットなM-5『ラストティーン』。これまた、まんまジッタリンジンの『20回目のバースデイ』などが良かった。

柴咲コウ

『蜜』
RUI名義で発売した『月のしずく』の大ヒットも記憶に新しい柴咲コウの1stアルバム。今作にもボーナストラックとして収録されている『月のしずく』は作詞、SATOMI、作曲&編曲、松本良喜という中島美嘉の名曲『雪の華』を作り出したコンビによるもの。古典的な和の雰囲気を全面に出したバラードでメロディ、歌詞、アレンジ共に本当に素晴らしい曲だった。元はじめ以降の古典的和風サウンドにCOCCOが持っていたような叙情性をプラス、それをキャッチーに感動的に昇華させた名曲だと思う。作られたヒット曲というより必然としてのヒット曲。

ただ、その次に柴咲コウ名義でリリースされたシングル『眠レナイ夜ハ眠ラナイ夢ヲ』は売れ線を狙ったけど失敗しました的な曲だったし、その次にリリースされた中島みゆき作詞作曲による『思い出だけではつらすぎる』はオーケストラをバックにした壮大なバラードなんだけど個人的にはアレンジが過剰すぎて駄目だった。ちょっと前にリリースされたシングル『いくつかの空』はこのアルバム用の曲のほとんどを手掛けているJIN NAKAMURAが作曲、秋元康が作詞、編曲をCHOKKAKUが行っているバラード。これまたストリングスを導入した売れ線の壮大なバラードで、売るためには悪くないかもしれないけど聴いても残るもののない曲だった。そんなこんなで、アルバムには全然、期待してなかったんだけどCD屋で1曲目を聴いてコロっとやられた。

その『FANTASISTA』は柴咲コウが作詞、作曲と編曲は『いくつかの空』と同じコンビによる曲なんだけど、エレクトロニカ〜ハウス以降のエレポップ・ナンバーでとにかくトラックが絶妙。浮遊感があって程よく疾走感もあり、気持ちよさのツボをしっかり押さえたトラック。遊び心もしっかりあって、さすがCHOKKAKUと思わずにはいられない。いい仕事してます。メロディもいい感じ。歌詞はどうってことないけど、この際それは目をつぶろう。

そして2曲目の『浮雲』は『眠レナイ夜ハ眠ラナイ夢ヲ』のカップリングだった曲なんだけど、『月のしずく』に通じるような和の雰囲気を持ったミディアム・バラードで個人的には結構、好きな曲。JIN NAKAMURAの切なく和を感じるメロディと松本良喜によるパーカッションやアコギ、水の音や鳥の鳴き声をうまく使ったアレンジが秀逸。『眠レナイ夜ハ眠ラナイ夢ヲ』がリリースされたときは、なんでこっちがリードトラックじゃないのか不思議でならなかったよ。

次の『輝石』もJIN NAKAMURA作曲によるバラードでメロディは悪くないんだけど、田辺恵二によるアレンジがベタベタすぎて個人的には微妙。『眠レナイ夜ハ眠ラナイ夢ヲ』を挟んで、5曲目『祈り』はJIN NAKAMURA作曲、松本良喜編曲によるスパニッシュ・ナンバー。シングルになるような曲ではないけどアルバムの中に置いとくのはちょっと勿体無い佳曲。中島みゆきによる『思い出だけではつらすぎる』を挟んで、7曲目の『深愛』も『輝石』と同じようなタイプのJIN NAKAMURA作曲によるバラードなんだけど、アコーディオンの使い方やリズムが絶妙でなかなか聴けるものになっている。作曲・JIN NAKAMURA&編曲・松本良喜のコンビは良いね。次の『忽忘草』は『月のしずく』以外で唯一、松本良喜が作曲した曲なんだけど、個人的には田辺恵二のアレンジがベタすぎてどうも駄目な感じ。

そして、渡辺未来の作詞作曲、CHOKKAKUのアレンジによる9曲目『忘却』はヘヴィーなギターと様式美を感じさせるストリングス、柴咲コウの力強い歌声が印象的なゴシック・ナンバー。ちょっとMUSEやラルクを思わせるような感じでアルバムの中では異彩を放ってるんだけど、なかなか素晴らしい出来。こういう柴咲コウも悪くない。シングル『いくつかの空』を挟んで、11曲目の『冬空』はバラードがほとんどを占めるこのアルバムにありそうで他にはなかったピアノ弾き語りによるバラード。そして名曲『月のしずく』でこのアルバムは幕を閉じる。

正直、柴咲コウの歌自体は可もなく不可もなくって感じで、とりたて魅力があるものではないけど、とにかく曲とアレンジがいい。安易なアレンジな数曲のバラードは個人的にはイマイチだけど、1曲1曲のクオリティ、特にアルバム用の曲のクオリティが非常に高い。バラードが多めなのも、曲順が良いおかげであまり気にならないし、よく出来たアルバムだと思うな。僕は柴咲コウって人に特別な感情は全然ないけど、そんな僕でも楽しめる立派な音楽作品。
柴咲コウ

『かたちあるもの』
柴咲コウ、アルバム以降初となるシングル。タイトルトラックは人気ドラマ「世界の中心で、愛を叫ぶ」のエンディングテーマになってます。これまでにリリースされたシングル、『月のしずく』や『いくつかの空』に通じるような古語を交えた神秘的な歌詞と切ないメロディ、ストリングスを配した感動的なアレンジ。もう柴咲コウの専売特許と言っても良さそうなバラードになっています。分かりやすくてドラマの内容とリンクした切ない歌詞にキャッチーでやっぱり切ないメロディー。ストリングスもバーンっと入ってストレートに感動的なアレンジ。それで人気ドラマのタイアップ。これはもう売れないわけがないね。実際に売れてます。オリコンチャートの推移を見てもロングヒットの予感。

ちなみにカップリングの2曲もバラード。それぞれタイトルトラックとは作曲、編曲をしてる人が違うんだけど、やっぱり柴咲コウ独特の世界になってるのはちょっと凄いね。もちろん柴咲コウの歌の力もあるんだろうけど、周りの大人の人たちが頑張ってるなあって感じ。よく出来てます。
柴咲コウ

『ひとりあそび』
大ヒットシングル『かたちあるもの』は未収録な柴咲コウのセカンドアルバム。最初、違う人のCDかと思ったよ。前作や『かたちあるもの』は和風×生演奏のイメージが強かったんだけど、今作はほとんど全編打ち込みでハウスっぽい曲が多いんです。和風の曲はあるけど、やっぱり打ち込み。ここに『かたちあるもの』が入ってたら浮いてただろうなあ。複数の作家陣が手掛けてるとは思えないくらいアルバム全体の統一感はあります。

てか、音が凄くいいね。ハウスと言っても多くのJ-POPアーティストがやってるような感じじゃなく、全体的に音数を少なく抑えたのも正解だと思う。良質のガールズポップ作品に仕上がってます。ただ、『月のしずく』や『かたちあるもの』みたいな柴咲コウを期待してる人にはあんまりお薦めできません。あと、今作では音にあわせて歌い方を変えてるけど、個人的には従来の歌い方のほうが声に合ってたような気がするなあ。
志人/玉兎

『HEAVEN'S 恋文』
降神の志人の初のソロ作品。叙情的なトラックにメロディアスなフロウ、そして最大のウリである独特の詩世界。

志人のラップは上手い!って感じではないけど、不思議な魅力を持ってる。トラックは特に目新しさはないけど、詩世界を最大限に活かしてると思います。トラックと詩、声が見事に調和して美しい物語を構築してます。音楽を聴いてるというより、小説を読んだり映画を観たりしてるような感覚になるのは僕だけかな?

Temple ATSの面々も参加してるんで、降神好きな人はチェックしてみるといいかもしれないですね。ただ、個人的にはソロと降神を比べると、やっぱりなのるなもないと1+1=∞な魅力がある降神のほうが好きかなあ。
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渋さ知らズ

『渋祭』

東京の江古田「バディ」での95年12月(総勢26名)と96年10月(総勢22名)のライヴ録音による渋さ知らズ通算5枚目のアルバム。

今作は前作までに比べて音が凄くいい。もう祭り。演奏凄すぎ。楽しすぎ。最高です。嫌なこととかパ〜っと吹き飛んでいきます。

とにかく聴いてみたほうが早いです。オススメ!

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渋さ知らズ

『渋龍』

渋さ知らズ、通算6枚目のアルバム。98年4月東京新宿ピットインと江古田バディでのライヴ録音を収録。

今作は祭りっぽさは、ちょっと控えめで実験的なフリージャズ的なサウンドになっているんだけど相変わらずメチャクチャかっこいい。

アップテンポな曲ももちろん良かったけど、遅めのテンポで女性ボーカルの入ったM-8『DADADA』が凄く良かった。もう鳥肌もの。

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渋さ知らズ

『渋旗』
ROVOの勝井祐二なども所属する大御所自由音楽バンド『渋さ知らズ』のベスト的選曲のライブレコーディング作品。疾走感、パワーがありユニークで楽しいバンドです。ジプシーブラスのようなジャズのようなトランスのような…。ジャンル分けは難しいですが”祭り”のような音楽。ライブではダンサーなども加わり、ステージ上に50人なんてことも。まさに”祭り”です。このアルバムはライブレコーディングということもあって、その”祭り”の勢いを封じ込めたピースフルで楽しいアルバムです。


渋さ知らズ

『渋星』
日本が誇るお祭りジャズ楽団、渋さ知らズの通産8枚目となるアルバムは『BE COOL』以来、8年ぶりとなるスタジオ録音作品。前のスタジオ録音作品『BE COOL』はライブに比べると迫力不足な感じが否めなかったけど、今作はライブと同様、いや、それ以上の迫力。各楽器もライブ以上に各自、暴れまくっていて非常にカオティック。音の密度は高く、聴けば聴くほど新たな発見があります。渋さ知らズのメンバー29人にSUN LAからサン・ラのマーシャル・アレン、マイケル・レイ、エルソン・ナシメントの3人もをゲストに加えて繰り出す、とんでもない迫力と密度の音世界。ホントにこの作品には“とんでもない”って言葉がピッタリ。

バカ騒ぎのお祭りナンバーばっかりと思いきや、渋く落ち着いた雰囲気のジャズ・ナンバーもあったりしてアルバムとしての完成度も高いです。何も考えずにハイテンションにぶっ飛ぶも良し、複雑に構成されたアンサンブルをじっくり聴き込むも良し、最高に楽しめる快作。特に新しいことをやってるわけではないんで、今までと一緒じゃんって思う人もいるかもしれないけど、こんなに個性的でハイテンションかつ緻密な音は渋さ知らズにしか出せないよ。


首里フジコ

『LUA E SOL』
沖縄出身のシンガーソングライター、首里フジコのデビュー作。古いジャズやボッサの名曲のカバーにオリジナルの楽曲を織り交ぜた全9曲。時には島唄の唄い手のように、時にはジャズ・ボッサ・シンガーのように、歌い上げても良し、軽快なスキャットも良し。表情豊かに響く首里フジコの歌声がとにかく素晴らしいです。それを援護するサイゲンジやシネマ・ダブ・モンクスの2人などによる演奏やアレンジも秀逸。

沖縄の子守唄をアコースティックにジャズっぽく仕上げた『ベーベー』、『月ぬ美しゃ』、まるで海の中にいるような不思議な音響空間の中で彼女の歌声がふわふわゆらゆらと泳ぐオリジナル曲『私はサカナ』、日本情緒いっぱい哀愁いっぱいのオリジナル・ボッサ『フジサン』、佐良直美の名曲を歌謡ボッサで軽快にカバーした『私の好きなもの』、哀愁漂うメロディーに英詩の渋い渋いオリジナル・サンバ『CHOVE CHUVA SABADO』、原曲の作られた時代にタイムスリップしたような錯覚を覚えるような古いジャズ曲のカバー『EAST OF THE SUN』、ゲストのサイゲンジの弾くギターも冴え渡るオリジナル・ボッサ『月と太陽の唄』、電車の音のサンプリングとウッドベースのみで作られた不思議なトラックをバックに首里フジコの歌声が美しく響き渡るオリジナル曲『夜明け前』。

オリジナルとカバーが半々くらいの割合だけど、違和感は全然なし。カバー曲は首里フジコのオリジナルみたいに聴こえるし、オリジナル曲もカバー曲に全然見劣りしない。歌が演奏を、演奏が歌を引き立てて、何ともいえない素敵な音世界が広がっています。沖縄音楽もボッサもジャズ歌謡も好き!っていう人はきっと気に入るんじゃないかな。エゴラッピンとか畠山美由紀あたりを好きな人にもお薦めです。傑作。
首里フジコ

『STORMY WEATHER』
沖縄出身のシンガー、首里フジコの2作目。古いジャズや昭和歌謡、日本の民謡、沖縄の労働歌などをジャズ〜ボッサでしっとりとカバー。前作は割と沖縄の気候みたいにカラっとした曲が多かったと思うんだけど、今作は雨っぽいイメージのしっとりとした曲が多いです。あと今作は真面目にワールドミュージックをやってるというか凄くキチっとしてるというか、前作にあったようなミクスチャーな遊び心や“ゆるさ”が控えめに感じたんだよね。その辺は前作にハマった人も好き嫌いが分かれちゃうかも。

川崎巽也の素敵なアコースティックギターの音色とシネマダブモンクスのガンジー西垣による軽妙なウッドベース、そこに時にはジャズシンガーのように、時には島唄の唄い手のように変幻自在に人の心を揺らす首里フジコの歌。今作は今作でやっぱり素敵で、ワールドミュージック好きな人には是非、聴いてもらいたい傑作だと思うけど、個人的には前作のカラッとしてゆる〜い空気のほうが好きかなあ。
湘南乃風

『湘南乃風〜RIAL RIDERS』
「MONSTER baSH 2004」や「横浜レゲエ祭2004」にも出演が決まってる湘南出身の4MC、湘南乃風のファースト・フルアルバム。日本語のダンスホール・レゲエです。ダンスホールっていうと結構ゴリゴリなイメージがあるかもしれないけど、この人達の音は凄くキャッチー。ラップに歌心ありまくりです。お洒落なカフェで流れたりクラブでDJが流すより、ギャル服の店で流れたりカラオケで歌われるのが似合うダンスホールって感じかな。楽曲はそれなりによく出来てて、うまく宣伝すればオリコン上位にも入れそうな感じ。

ただ正直に言うと、個人的にはちょっと苦手な感じです。ガンガンに踊りたい人にお薦め。
ショコラ

『CHOCOLATE NOTES』
可愛いのに、ニール&イライザに「あのひと達インチキ臭くありません?」、カジヒデキには「あぁ あのへなちょこねっ」、SUPERCARのミキには「スーパーカーのミキちゃんはショコラのしもべですからね」、ファンにも「うるさい!」、「眼鏡かけたオタクっぽいやつは出入り禁止!」、「この田舎もんがぁ」などと言い放つ(私設ショコラ・ファンページ参照)、渋谷系(死語?)の女王様、ショコラの4枚目のアルバム。、毎回豪華なゲスト陣が話題になる彼女だけど、今作のゲストも本当に豪華。夫でもある片寄明人に、SPANOVA、REI HARAKAMI、LOW IQ 01、中村ジョー、高井康生(DCPRG)、さらにはPREFUSE73ことスコット・ヘレンまで。ホント素敵な人選。

サウンドのほうは渋谷系サウンドを今風のエレクトロニカでコーティングしたような感じ。音楽についてこういう言葉を使うのは好きじゃないんだけど、とっても“オシャレ”な感じ。高井康生のプロデュースでリック・アストリーの名曲をカバーしてたり、SPANOVAの曲をREI HARAKAMIがプロデュースしてたり、スコット・ヘレンがプロデュースしてたり、はたまたLOW IQ 01の曲を片寄明人がプロデュースしてたり・・・ゲスト陣を知ってる人にとっては凄く面白いことになってます。彼女の歌声は、いい意味で主張があまりなくて、非常に個性の強いトラックにも自然にマッチ。クオリティ高いです。ゲスト陣の音が好きな人は聴いてみてもいいかも。ただ、どうしてもこの“オシャレ”臭が鼻に付いてダメって人もいるだろうな。
水中、それは苦しい

『復活ののろし』
水中、それは苦しいの前作から7年振りとなる通産3作目。15分強のライブCD-Rです。ジョニー大蔵大臣の歌とアコギ、セクシーパスタ林三のバイオリンによる変則的な構成。客は歓声より笑い声のほうが多い?「醤油があれば何でも食える!」って叫んでみたり、しょうもない掛詞を叫んでみたり、コミックバンド寸前。ボーカルスタイルは対バンしたり、本ライブ中のMCにも登場する銀杏BOYZの峯田くんに通じるところがあるかな。メロディは意外すぎるほどポップ。そして切な〜いメロディアスなバイオリンがいい味出してます。

笑えるんだけど、何故か不思議とグッと来る。オシリペンペンズもそうだけど、音楽理論うんぬんより直感で楽しめ!って感じですかね。ゴイステよりも銀杏BOYZが好きって人にお薦めです。
水中、それは苦しい

『顔にやさしく』
銀杏BOYZのレーベル、初恋妄℃学園からリリースされた、水中、それは苦しいのフルアルバム。今作はスタジオ録音です。相変わらずのぶっ飛びサウンド。暴走バイオリンも変態ボーカルも大爆発。

聴きどころは何と言っても『安めぐみのテーマ』。ハードコアな曲調から一転、甘〜いフォークソングに。歌詞は笑えるんだけど、熱いラブソング。これ名曲です。『ますだベーションおかだ』なんて曲もあり。コミックバンドみたいなんだけど、メロディがしっかりしてるのとバイオリンを前面に出した実験的?なサウンドがポイント。楽しいです。
推定少女

『16 -SIXTEEN-』
リノ(東京出身)&リサ(大阪出身)、16歳の2人によるアイドルユニット、推定少女の1stアルバム。
全12曲中、今までのシングル収録曲が10曲。1枚目にしてベスト盤みたいな感じ。ジャケ写は常盤響。

TVに出たりするときはいつも制服でミニスカート、パンチラも当たり前な勢い、凄く奇抜なアイドルって感じだけど、曲のほうは至って正統派。普遍的なダンス・テイストのポップス。ユニゾンによるボーカルや、メロディやトラックの質は普通に高くて、どの曲も普通にいい。捨て曲はなし。良質なアイドル・ポップ・アルバムだと思う。たぶん今年出たアイドルの作品ではトップクラスの出来。ただ、これは僕の個人的な好みだけど、あまりに普通すぎて面白くない。もっと遊び心があっても良かったような気がするな。

ちなみに既発曲以外の2曲のうち1曲のM-12『あの日何か言いかけたキミをまだ覚えているよ』はビートルズ・ライクなミディアム・バラードなんだけど、作曲がなんとスネオヘアー。彼はYUKIのアルバム『COMMUNE』でもいい仕事してたけど、ここでもなかなかいい仕事してます。スネオヘアーのファンの人も聴いてみるといいかも。
杉本卓也

『ピアノ・ア・ラ・カルト』
WEB、凪、URAURA、サマンサなど、様々な名義で活動してきた、杉本卓也の初の本人名義での作品。リリースはSPOTLIGHTから。

題名どおり、ピアノを多用したクリックハウス作品。時には切なく叙情的、時にはジャジーで踊るようなピアノに、クリックビートやヒップホップビートの雨。デジタルシンセ1台で作られているとは思えないくらい音のバリエーションは豊か。とにかくピアノの響きとクリックビートの組み合わせが新鮮です。

M-2『BRAVERY VOYAGE』なんて、ホント最高。ついつい体が動いてしまいます。良質のエレクトロニカ、クリックハウス作品です。
クリックハウス好きから、REI HARAKAMIやCHILDISCを好きな人にお薦め。それにしても、SPOTLIGHT作品のジャケットはいいな。
スチャダラパー

『スチャダラ外伝』
94年に出たスチャダラパーのコラボ曲でまとめたミニアルバム。小沢健二とコラボした『今夜はブギーバッグ』、あと藤原ヒロシ、ゴンチチとのコラボも収録。

個人的にこのアルバムの一番の聴きどころは『今夜はブギーバッグ』じゃなくて、4曲目の『GET UP AND DANCE』だと思います。スチャダラパーのアッパーな曲の中ではこれが一番好き。東京スカパラダイスオーケストラのファンキーな生演奏にLB(スチャダラ周りの強豪たち…東京No.1ソウルセット、四街道ネイチャー、脱線3、キミドリ、ホフディランなどなど)総出演による怒涛のラップリレー!これカッコ良すぎ!ちなみにポンキッキーでオープニングにボーズがラップしてた「ポンポポンポポンキッキー!」って曲の元ネタはこの曲だったりします。
スチャダラパー

『東芝クラシックス 95-97』
スチャダラパーのベスト盤って言ったら『ポテン・ヒッツ』っていうソニー時代のシングルコレクションのほうが有名な気がするけど、個人的にはこの東芝時代のベスト盤のほうが好きです。僕はこの時期のスチャダラパーがヒップホップらしさ、ポップさ、力の抜き加減が一番バランスいいと思うんだよね。思わず体が動いちゃう、思わず口ずさんじゃういい感じのヒップホップがたっぷり楽しめます。同じ曲のリミックスが結構入ってるのは損したって思う人もいるかもしれないけど、名曲『サマージャム95』なんかはどのリミックスも「格別なのよ〜」。

ボーナストラック的な感じで『今夜はブギーバッグ』も収録してます。個人的にはスチャダラパー初心者にはまずこのアルバムを聴いてもらいたいな。日本のヒップホップをバカにしないでね。ジブラみたいなのやシーモみたいなのしか知らない人も聴いて楽しんでください。ヒップホップって楽しい音楽なんです。
スチャダラパー

『THE 9th SENSE』
説明無用、日本のヒップホップ界のパイオニア、スチャダラパーの4年ぶり、9枚目となるオリジナル・フルアルバム。マクドナルドのCMではラップは流れるし、AFRAは富士通のCMでヒューマンビートボックスを披露。アイドルまでがラップを歌い、ヒットチャートにリップスライム、キック・ザ・カン・クルー、ケツメイシ。ちょっとアングラなほうに目を向けるとブルーハーブやSHING02、降神。NUJABESやFORCE OF NATUREなど世界にも通用するようなヒップホップ・トラック・メイカーも登場。すっかり日本にもヒップホップというものが定着してきたように思う。

前作『ドコンパクトディスク』がリリースされた頃とは大分、状況も変わってきてる。だけどスチャダラパーはやっぱりスチャダラパーだった。ボーズとアニの小気味良いラップにシンコの心地良いトラック。細かく見るとトラックがハウス寄りになってたりとか変化してる部分はあるんだけど、基本的にはなんも変わってない。

ちょっと力の抜けた心地良い良質ヒップホップ。スルっと聴けて、ついついリピートリピート。ラップもトラックもそれぞれのバランスも絶妙でホント心地良いの。さすがスチャダラパー。全体的に低音が効いてるのもいいね。これぞアンセム!って感じの曲はないし、名盤!って感じでもないけど、CD棚にあるとちょっぴり生活が楽しくなるような。そんな作品かな。これまでのファンの人は問題なく気に入ると思う。普段は重いヒップホップばかり聴いてる人も、たまには今作みたいなのを聴いて心地良く体を揺らしてみるのもいいんじゃないかな。
スチャダラパー

『CON10PO』
スチャダラパーの10作目。どう聴いてもスチャダラパー以外の何者でもないんだけど、リリックもトラックもちょっとシリアス。こんな時代だし、スチャダラパーがこうなるのもしょうがないのか。いや、時代のせいじゃなくてスチャダラパーが大人になったのかな?

先行シングル『DISCO SYSTEM』はモロにディスコテイストな音作りだったけど、今作は全体的にエレクトロな色が強い。電気グルーヴとコラボした影響?個人的にはあのコラボは全然いいと思わなかったし、もっとオールドスクールなほうがスチャダラパーの声やライムに合ってると思うんだけどなあ。名曲『サマージャム95』を彷彿とさせるようなメロウナンバー『5 CUPS』は好きだけどな〜。でも、『サマージャム95』とはやっぱなんか違う。まあ、あれは95年に、スチャダラパーだからこそ生まれた名曲なんだよね。この作品は今、今のスチャダラパーだからこそ生まれた作品。そんな感じ。
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スッパ・マイクロ・パンチョップ

『目の前にあったよ』

チャイルディスクより。チャイルディスクらしいキュートでチープで、どこか懐かしい感じのするエレクトロニカ。おもちゃ箱みたいに次から次へと面白い音が飛び出して凄く楽しい。おどけた様な子供の声が歌ってる曲もあったりしてて、凄くバラエティに富んでいるんで全然飽きない。

ジャケットの絵もいいし、曲名も『あさがお』『パフェ』『あとにしてわかること』『赤青白黄ミドのダンス』『キ・ラ・ラ・スコープ』『どこにも行かない木、どこへでも行く木』『蛇口のテーマ』など素敵な曲名が多い。

チャイルディスクの中でもカナリの名盤だと思う。

スッパ・マイクロ・パンチョップ

『カエルに会えてよかった』
スッパ・マイクロ・パンチョップの2ndアルバム。前作とは違って、“うたもの”エレクトロニカ・アルバムになってます。

前作同様の遊び心いっぱいの楽しくて不思議な生音系エレクトロニカなトラックに、 ファルセットぎみの暖かい歌。ヘンテコでキュート。ちょっとFISHMANSにも似た、ふわふわした“うたもの”から、不思議なスキャットの曲、イルリメを思わせるようなヒップホップ・テイストな曲、ヘンテコなインチキ・ファンク、ヘンテコなハワイアン、スッパ流ボイスパーカッション・・・。次から次へと不思議で楽しい曲が飛び出してきてメチャクチャ楽しいです。独特の詩の世界も最高。

お薦めの“うたもの”エレクトロニカ作品です。CHILDISC、竹村延和を好きな人から、FISHMANS、七尾旅人、ヘンテコなポップが好きな人にお薦め。
スッパ・マイクロ・パンチョップ

『GOO』
スッパ・マイクロ・パンチョップの3rdアルバム。

今作は約80分の大作。前作までのチープさや遊び心は少し減って、ストイックなエレクトロニカ作品。竹村延和に近い感じの音になっています。ボーカル曲も少なめ。

今作のほうがクオリティは高いんだけど、個人的には前作のほうが個性もあって、楽しくて好きかな・・・
ストレイテナー

『LOST WORLD'S ANTHOLOGY』
ボーカル&ギターのホリエアツシ、ドラムのナカヤマシンペイのベースレスな2ピース・バンドとしてインディーズで活躍してきたストレイテナーのメジャー1stフルアルバム。今作は元ART-SCHOOLで現ZAZEN BOYSの日向秀和をサポートに迎えての作品となっています。これまではオルタナ、グランジ、UKロック、メロコア・テイストの曲を2ピースでやってるのが彼らのウリだったと思うんだけど、今作はベースが入ってる分、これまでのファンは好き嫌い別れるかも。僕がインディーズ盤と聴き比べた印象ではベースが入ったほうが断然、深みが増して良くなったと思うけどね。

どの曲もシングル・カットしてもおかしくないくらいにメロディーがキャッチーだし楽曲のクオリティも高いと思う。同じような方向性のサウンドであるART-SCHOOLなんかと比べると聴きやすさもあると思うし、メジャーシーンでも売れる可能性は十分にあるんじゃないかな。ただ、もうすぐアレンジに深みが欲しい。ギターの音色とかほとんど一緒で面白くないし、アレンジや曲展開もベタすぎる。あと、個人的にはもっと毒みたいな要素もあるといいな。ソング・ライティング能力は本当に高いと思うし、その辺がもうちょっと成長したら面白くなりそう。
ストレイテナー

『TITLE』
ストレイテナーの2作目。相変わらず、パワーポップやエモ、メロコアなどの影響を受けたような哀愁ギターロックを聴かせてくれます。前作のレビューでストレイテナーならではの部分があったらいいのにって書いたけど、残念ながら今作からもあまりそういう部分は感じられなかったかな。

でも、今作はちょっとかっこいい。もともとメロディはいい感じだったんだけど、それを活かす演奏や歌が良くなってるんだよね。特に演奏。フェスで観たときにも思ったんだけど、とんでもない勢いで成長してる。前作はまだ日向秀和が正式加入して間もなかったせいか、まだスタジオミュージシャン的な演奏になってたように感じがしたんだけど、今作は完全にバンドの一員になったように感じるんだよね。いい感じにポップな哀愁メロディとガッチリとしたタフな演奏がうまく噛み合ったバンドならではの作品になってます。
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砂原良徳

『LOVEBEAT』

電気グルーブを脱退したまりんの3rdソロアルバム。

アンビエントでスロウテンポの音数少な目のテクノ。ちょっとクラフトワークっぽかったりする。

特にタイトル曲『LOVEBEAT』が凄く良かった。凄く気持ちいい傑作。

ACOの『悦びの花』でのまりんの仕事も好きなんで、あんな感じのも聴きたいな・・・

スネオヘアー

『スネスタイル』
渡辺健二の1人ユニット、スネオヘアーのメジャー1stアルバム。

聴く前は、何故かローファイっぽい軟弱なギターポップなイメージだったんだけど、ノイジーなインストに次いで、流れてくるM-2『パイロットランプ』は、そんじょそこらのバンドなんて相手にならない耳をつんざくような轟音ギター。そこにスネオヘアーの力強くてポップなボーカルが乗る。このノイジーさとポップさのバランスが絶妙。かっこいいです。クレジットを見ると演奏でMONOが参加していた。納得。

続くM-3『訳も知らないで』は、U2の影響大のポップロック。中村一義の『キャノンボール』や『セブンスター』を思い出した。メロディは極上。その後もアップテンポな曲からバラードまで、ポップで遊び心のあるロックが続いていきます。でも僕的には、M-2『パイロットランプ』、M-3『訳も知らないで』の2曲が良すぎて、それ以降の曲はその2曲にッ比べると、ちょっとイマイチだった。M-9『アイボリー』なんかも良いんだけどね。
中村一義の『キャノンボール』や『セブンスター』とか、BUMP OF CHICKENなんかが好きな人は気に入りそうな感じかな。
スネオヘアー

『A WATERCOLOR』
スネオヘアーの2ndアルバム。M-1『のびたテープ』は、「スネオ」ヘアーだけに「のびた」テープ?浮遊感のあるミディアム・チューン。M-2『ピント』は、スネオヘアーお得意のU2っぽい曲。M-3『ウグイス』は、シングルにもなった曲だけど、アルバム・ミックスで収録。ムーグも入ったパワーポップ・チューンなんだけど、凄くいい曲。メロディがいい。WEEZERとかJELLY FISHとか好きな人は気に入ると思う。M-4『DRIVE』は、軽やかなギターポップ。ベースをLITTLE CREATURESの鈴木正人が弾いてたりするこの曲はシンプルだけど普通に良い曲。M-5『ニュータウンへ続く道』と、M-6『打ち上げ花火』、アコースティックでシンプルなバラード。M-7『セイコウトウテイ』は、アップテンポでキャッチーなロック・チューン。スネオヘアーはバラードよりやっぱり、こういう曲が良い。M-8『アオイソラ』と、M-9『スピード』は、美しいミディアム・バラード。M-10『終りね』は、浮遊感ある弾き語り。M-11『ウグイス(裏)』は、M-3『ウグイス』のバラード版。やっぱりいいメロディ。

とにかくM-3『ウグイス』が良かった。M-4『DRIVE』もいい曲。スネオヘアーって前のアルバムもそうだったけど、良い曲とそうでない曲の差が激しい気がするな・・・
スネオヘアー

『東京ビバーク』
2ndアルバム『A WATERCOLOR』から短いインターバルでリリースされたミニアルバム。フルアルバムよりももっとアコースティックな側面を前面に出した番外編的な作品です。インディーズ時代の名曲『冬の翼』のセルフカバーとYUKIちゃんに提供した『コミュニケーション』のセルフカバー、新曲3曲と、30秒くらいのインタールード的な曲を4曲収録。

とにかくM-2『冬の翼』が良い。ちょっとストリングスが大げさな気もしないでもないけど、ホントに感動的な名曲バラード。ちょっとOASISっぽいかな。個人的には今までのスネオヘアーの中で一番好きかも。あと新曲のM-7『2(TWO)』も凄くいい曲。今までのスネオヘアーでは『訳も知らないで』や『ウグイス』みたいなアップテンポの曲が好きだったんだけど、バラードも凄くいいじゃん。そして『コミュニケーション』のセルフカバー。YUKIちゃんのバージョンも良かったけど、これがまたいい。どれもアレンジが凄いってことはないんだけど、メロディが純粋に良い。ちょっとインタールード的な曲はいらないような気もするけど、充実のミニアルバムだと思う。『A WATERCOLOR』よりもいいと思う。

ちなみに初回盤には、漫画家、本秀康の原作をアニメ化したDVDが付属。このアニメは『冬の翼』に合わせてストーリーが展開していくんだけど、内容が凄く面白い。切なくて笑える感じ。ミルクちゃんとかの笑いが好きな人はこのDVDのほうも観てみて欲しいな。


スネオヘアー

『フォーク』
地上波でも「ロックなめんなよ!」言っちゃったスネオヘアーのサードアルバム。個人的にこれまでのアルバムはシングルは良いのにアルバム曲はちょっとイマイチって感じで、今作の先行シングル『ヒコウ』、『ストライク』、『テノヒラ』に関してはそこまで惹かれることもなく、このサードアルバムもあまり期待してなかったんだけど・・・いいじゃないの!曲の出来はもちろん、アルバム全体の流れが凄く良くて何度も何度も聴きたくなる。微妙だなって思ってたシングル曲もアルバムの流れで聴くとことごとく良いです。特に『ヒコウ』が感動的。シングルのときには過剰に感じてたストリングスもこの流れで聴くと、いいアクセントになってるんだよね。

今作は疾走パワーポップだったり、レゲエのビートを取り入れてたり、アコースティックだったり、ピコピコだったり、フィッシュマンズ風だったりと曲調はバラエティに富んでるけど、これまでのどの作品よりもいい意味で歌が前に出ていて直球ポップ。歌詞も際立って聴こえるね。ボーナストラックのアンチCCCDソングも最高!特に目新しさみたいなものはないけど、直球なギターロック、ギターポップが好きな人は是非是非。スピッツ好きな人にもお薦めです。
スネオヘアー

『カナシミ』
スネオヘアーの4作目。いままではセルフプロデュースでやってきたんだけど今作は半分くらいの曲で外部プロデューサーを起用しています。プロデューサー陣の名前を見ると、池田貴史、根岸孝旨、會田茂一といういかにもスネオヘアーと相性の良さそうなメンツ。外部プロデューサーを起用して大きく変化するんじゃなく、スネオヘアーの良い部分をグンと引き出したような印象です。あらきゆうこ、高桑圭、白根賢一、恒岡章(ハイスタ)、松下敦(ザゼン)、アズミ(ワイヨリカ)などなど参加ミュージシャンも豪華!てか、YUKIちゃんや木村カエラの作品でもお馴染みのメンツだね。彼女たちの作品が好きな人にもお薦めですよ。スピッツやくるり、バンプ好きな人も是非是非。

マンネリに感じる人もいるかもしれないけど作品自体はよくできてると思います。何かが飛びぬけて良いってのはないけど、歌詞とメロディが普通に良い。いい意味で普通にね。良質の日本語ポップロック作品。
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スパナ

『000321』

関西のスパナの1stアルバム。

ニューウェーブを基調としてテクノ、ダブなどを取り入れたサウンド。女性ボーカルなんだけど舌足らずなロリータ声でメチャクチャかわいい。今作は2ndよりキャチーな曲が多くて凄くポップです。ポップなんだけど音響処理などが素晴らしくて、いい感じです。山本精一も推薦しています。

ダブ・テクノなトラックにローリータ・ボイスが乗るM-8『シェル』が良かった。

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スパナ

『010421』

関西のロリータダブ?バンド、スパナの2ndアルバム。

テクノ、ダブ、ヒップホップ、音響系を通過したトラックにメチャクチャかわいいロリータ・ボイスが乗って、独特の音を作り出しています。前作よりダンサブルになっています。リミックスでSOLEX、山本精一、BRIGHT EYES、NASCA CARが参加していて、それぞれ良いんですけどオリジナルのM-1『ROUND & ROUND』、M-2『コスモス』がすごく良いです。特にM-1のほうは音響系ロリータ・ハウスって感じでメチャクチャ気持ち良いです。

スパナ

『011007』
2001年リリースのスパナ3作目。ダブでテクノでハウスでガールズポップ。思わず体が動いちゃうようなダンス・トラックにダブ経由の心地良い音響処理。その上を浮遊するハルコちゃんの激キュート・ボイス。マニアックすぎず、ポップすぎずな絶妙のポップ感。

テクノともハウスともダブとも少し違うスパナ流のダンスミュージック。ひたすら気持ち良く踊れます。前作よりもさらに音響要素が強まって1作目みたいなキャッチーさはないんで、その辺は賛否両論あるかもしれないな。それにしても、この作品は全然話題にならなさすぎ。1作目はポリシックスやモトコンポなんかの東京ニューウェーブの流行りに乗って、そこそこ話題になってたし、2作目は山本精一やブライトアイズのリミックス参加で話題になってたのにね。個人的にスパナって、もっと評価されてもいいバンドだと思うんだけど。
スピッツ

『スピッツ』
誰でも名前くらいは知ってるであろうスピッツの記念すべきメジャーデビュー作品。

可愛いけど、ちょっと毒のあるギターポップが11曲。甘酸っぱい極上メロディはこの頃から健在だし、なによりも草野マサムネ独特の詩世界がとっても素敵です。
「タンタンタン 石の僕は空を切り取った」「プラスチックでがっかり 言葉だけ無邪気になる ほらまただまされてた」「ゆがんだ天国の外にいて ずるい気持ちが残ってるから」「カボチャとナスは仲良しか それもいいや」「真っ赤なセロファンごしに見た秘密の庭を 今も思い出してるよ」・・・こんな素敵な言葉たちはどうやったら出てくるんだろ。とてもデビューアルバムとは思えないくらいの才能に驚かされる作品です。

ベスト・トラックはM-6『テレビ』。詩もメロディもアレンジもスピッツにしかできない曲。それでいて素晴らしい。あと、インディーズ時代にはブルーハーツみたいなバンドを目指してたスピッツならではのストレートなビートロック・ナンバーM-9『トンビ飛べなかった』M-11『ヒバリのこころ』、「うめぼし」と「会いたい」という全く関係のなさそうなものの間にあるドラマを歌ったアコースティック・バラードM-10『うめぼし』など、良曲揃い。
スピッツ

『名前をつけてやる』
スピッツの91年にリリースされた2ndアルバム。前作にあったスピッツの魅力、素朴で暖かい、可愛いけど毒がある、甘く切ないメロディ、独特の抽象的な詩世界。それらを全部そのままグレードアップさせたような感じの作品です。

弾けたビートロック・ナンバーM-2『日曜日』M-5『ミーコとギター』M-8『待ち合わせ』、ほのぼのポップなM-3『名前をつけてやる』M-7『胸に咲いた黄色い花』M-11『魔女旅に出る』、後のヒット曲を思わせるような切ないメロディのミディアム・ナンバーM-6『プール』M-10『恋のうた』などなど、派手さはないけど純粋に良い曲が良い順番で詰まってる良作。最後の『魔女旅に出る』のオーケストラがいい映画のエンドロールみたいで泣ける。パンク好きな人からフォーク好きやギターポップ好き、ポリス好きからティーンエイジファンクラブ好き、あとスミス好きな人まで。みんな大好きでしょ、これ。とくにアコースティックな感じのスピッツを求めてる人にはお薦め。
スピッツ

『惑星のかけら』
92年発表のスピッツの3rdアルバム。1曲目のイントロのヘヴィなギターサウンドを聴いた時点で気付くけど、前作までより音がタフになって、この作品では全体的な印象がロックっぽくなっている。前作も前々作も捨て曲らしい捨て曲なんてなかったんだけど、今作も捨て曲なし。個人的にはここまでのスピッツの初期3部作の中では、この作品が一番好きかな。

M-1『惑星のかけら』で、これまでのスピッツにはなかったヘヴィでノイジーなギターサウンドの上を
「二つ目の枕でクジラの背中にワープだ!」「骨の随まで愛してよ 僕に傷ついてよ」なんて極上メロディで歌われたら、もう好きって言わざるを得ないでしょ。とにかく、この作品はM-1『惑星のかけら』〜M-5『アパート』の流れが素晴らしい。M-2『ハニーハニー』はディストーション・ギターが軽快にリズムを刻み、メロディアスなベースも歌うポップなギターロック・ナンバー。この曲は彼らとしては珍しく(唯一?)「ハニハニー IT'S SO BRILLIANT!!」っていう風に英詩が登場するんだけど、それも違和感は全然なくて、響きも凄く良い。そして、何気にこの曲が個人的には、初期のスピッツで一番好きだったりする。M-3『僕の天使マリ』は、ハンドクラップも入った明るくて楽しいカントリー調のポップ・ナンバー。そしてM-4『オーバードライブ』はちょっと奥田民生っぽいけだるい歌い方が印象的なスピッツ流ロックンロール。間奏で急にハードロック全開のギターソロが登場したと思ったら、またまた突然サンバになったりして凄く楽しい曲。続く、M-5『アパート』はLA'Sなんかを思わせるような切なくて、透き通るようなアコースティック・ナンバー。もちろん、これ以降の曲も良いんだけど、ここまでの流れはホント完璧。曲調はバラエティに富んでいながらも「惑星」というテーマでしっかりと繋がりがある。

アコースティックなものを求めてる人には前作『名前をつけてやる』がお薦めだけど、ロック好きな人はこれを聴いてみては?アコースティックでもロックでもスピッツはスピッツだし、やっぱりどっちも良いのです。傑作。
スピッツ

『CRISPY!』
93年に発表されたスピッツの4thアルバム。今作では初めてプロデューサーに笹路正徳を迎えて、ストリングスやブラス、キーボードなどを大幅に導入。より多くの人に向けた(売れ線?)サウンドになってて、その辺に関しては凄く好き嫌いが分かれるところだと思う。

個人的には、M-4『君が思い出になる前に』M-6『夢じゃない』での味付け程度のピアノの使い方なんかは良かったと思うんだけど、M-2『夏が終わる』や、M-3『裸のままで』M-5『ドルフィン・ラブ』M-10『黒い翼』なんかでのブラス、ストリングス使いはちょっと過剰に感じた。せっかくの、草野マサムネの作る素晴らしい歌詞とメロディを邪魔してるような気がしてならない。ちとオーバープロデュースぎみ。やっぱり僕はバンドサウンドのM-8『タイムトラベラー』みたいなのが好きだな。今作で好きなのは上述したM-4『君が思い出になる前に』、M-6『夢じゃない』、M-8『タイムトラベラー』くらい。メロディーに関して言えば、これまでのアルバムの中では1番良いと思うのにな。

まあ、ホントにその辺は好き嫌い分かれるところで、華やかな音が好きな人には今作はお薦めかも。


スピッツ

『空の飛び方』
94年発表のスピッツの5thアルバム。前作に引き続き、笹路正徳がプロデュースを行ってるんだけど、バンドとプロデュースが全然かみ合ってなかったように思われる前作がウソのようにスピッツの魅力を十二分に引き出したプロデュースになっています。

とりあえず最初に言っとくけど、この作品は名盤。M-1『たまご』M-2『スパイダー』M-3『君が思い出になる前に』M-5『恋は夕暮れ』M-10『青い車』など名曲がいっぱい。その他もアッパーなギターロック・ナンバーM-6『不死身のビーナス』なんか凄くカッコいいし、初期モータウンを思わせるようなソウルフルなブラスをフィーチャーしたM-7『ラズベリー』も 今作では笹路正徳とのコンビネーションがバッチリなことを証明する良曲。あと、個人的に隠れた名曲だと思ってるのはスピッツ流のサイケ・ロック・ナンバーM-4『迷子の兵隊』。これを聴いたらスピッツはポップ・バンドじゃなくて、やっぱりロック・バンドなんだなって思える。

 メロディはどれも極上だし、アレンジもバッチリ。厚みの増した演奏もいい感じ。歌詞も「かわいい君が好きなもの ちょっと老いぼれてるピアノ」っていう可愛い感じの歌詞があるかと思えば、「
おかしいよと言われてもいい ただ君のヌードを ちゃんと見るまでは僕は死ねない」なんていうちょっと毒のある歌詞も登場したりしてスピッツらしさは相変わらず。これを名盤と言わずして何と言う!って感じ。
スピッツ

『ハチミツ』
95年発表のスピッツ、6枚目のオリジナル・アルバム。先にリリースされたシングル『ロビンソン』がミリオンセラーの大ヒットを記録。続くシングル『涙がキラリ☆』もスマッシュ・ヒット。そして、本作は200万枚というセールスを叩き出し、一躍有名アーティストの仲間入りを果たした。とは言ってもスピッツの独特の世界観は健在。メロディはやっぱり極上だし、歌詞も相変わらず素晴らしい。それに加えて、今作ではリズム隊がこれまでよりもレベルアップしていて、よりグルーヴィーなサウンドになっています。

おかしな恋人 ハチミツ溶かしてゆく」という歌詞が印象的な可愛いアコースティック・ナンバーM-1『ハチミツ』、「
浴衣の袖のあたりから 漂う夏の景色 浮かんで消えるガイコツが 鳴らすよ恋のリズム 」と夏の雰囲気がたまらなくノスタルジックなM-2『涙がキラリ☆』、ボッサっぽいリズムがリズム隊の進化を感じさせるM-4『ルナルナ』、ノスタルジックなムーグの音色とメロディ、歌詞が最高に切ない、切なすぎるM-5『愛のことば』(個人的にはスピッツの中でもベスト5に入るくらいの名曲)、WEEZERに通じるようなパワーポップ・サウンドに「君は今 誰よりも とがっている とがっている とがっている とがっている」というスピッツ独特の歌詞が乗っかるM-6『トンガリ95』、説明無用の名曲M-7『ロビンソン』、透明感があってふんわりとしたバラードM-8『Y』、泣きメロ・ギターポップ・ナンバーM-10『グラスホッパー』などなど名曲揃いで、200万枚のヒットに恥じない素晴らしい内容。

ただ、全体を通して聴くとなんかパッとしないんだよね。前作が良すぎたせいかな。それとも、曲順なのかな。M-6『トンガリ95』の位置とか凄く微妙だと思うし。これが彼らの代表作のひとつであることは間違いないんだけど、個人的には笹路正徳がプロデュースした4作の中では前作の『空の飛び方』が一番
スピッツ

『インディゴ地平線』
96年に発表されたスピッツの7枚目のアルバム。今作も笹路正徳がプロデュース。前作が「陽」な感じだったのに対して、今作は「陰」な感じ。そこで今作の好き嫌いは大きく分かれてしまう気がする。演奏に関してはバンド以外の音は極力排して、初期の3枚に近い感じになってるんだけど、音の力強さや広がりは段違い。スピッツの成長を感じられる作品となっています。

ただ、個人的に今作は、跳ねるピアノと切ないメロディがばっちりマッチしたM-2『初恋クレイジー』、力強く広がるようなロック・サウンドでスピッツの成長を一番感じられる タイトル・トラックM-3『インディゴ地平線』、インディーズ時代からスピッツのお得意な曲調なんだけど、よりグルーヴィーになった演奏に成長を感じられるギターロック・ナンバーM-9『バニーガール』くらいしか好きな曲がないんだな。最後に収録されてるヒットシングルM-12『チェリー』も取って付けた感があって駄目。シングルで聴いたほうがグッとくる。

ポップな曲も突き抜けた感がなくて中途半端、打ち込みを導入したM-4『渚』もイマイチだし実験的な部分も中途半端。決して駄作ってわけではなくて、それなりに良い曲が並んでるんだけど、ググッとくるまでには至らない。僕にとってはそんな感じの作品です。
スピッツ

『フェイクファー』
!98年にリリースされたスピッツ、8枚目のアルバム。『CRISPY!』から4作は笹路正徳にプロデュースしてもらってたんだけど、今作はスピッツと元カーネーションの棚谷祐一と共同プロデュース。サウンド的には『惑星のかけら』の頃を思わせるようなスピッツ流ロックから『名前をつけてやる』の頃を思わせるようなフォーキーなナンバー、『CRISPY!』の頃を思わせるような華やかなナンバー、『ハチミツ』の頃を思わせるようなキャッチーなポップ・ナンバー、そして『インディゴ地平線』の頃を思わせるような広がりのあるロック・ナンバーまであって、まるでこれまでのスピッツのおさらいみたいな印象。

ただ、おさらいとは言っても、草野マサムネの書く歌詞に関しては今作から少し変わってきたように思う。これまではずっと“内”に向かった抽象的な歌詞が多かったけど、今作では分かりやすく、“外”に向かってる歌詞が増えた。その辺はやっぱり好き嫌いが別れそう。

内容的には、スピッツの作品は割とそういうことが多い気がするけど、今作もアルバム前半の流れが素晴らしい。浮遊感のあるシンセの上で草野マサムネの美しい声が泳ぐイントロ的な曲M-1『エトランゼ』に続いて、ハードなギターリフが鳴り響き、STONE ROSESなんかを思わせるようなグルーヴィーなロック・ナンバーM-2『センチメンタル』に突入。決して洋楽のロック・バンドの物真似に聴こえないのは、やっぱり草野マサムネの声と詩によるものが大きいのかな。彼の声が鳴り響けば、ハードロックをやろうがフォークをやろうが一瞬でスピッツのサウンドにしてしまう。そして、この曲の余韻が冷めやらぬうちに切なさ全開のアコースティック・ナンバーM-3『冷たい頬』、広がりのあるロック・ナンバーM-4『運命の人』と極上メロディの名曲2曲が続いていく。

あと、後半は個人的にはあまりパッとしないんだけど、M-6『楓』M-9『謝々!が良かった。前者は必要最低限のアレンジで極上のメロディーがググッと響いてくる名曲バラード。歌詞にしてもアレンジにしてもスピッツ独特のドンガった感じは皆無で、スピッツらしくない曲なんだけど、純粋に良い曲だと思う。そして、後者のM-9『謝々!』はソウルフルなホーンとゴスペル・コーラスをフィーチャーしたポップ・ナンバー。「
終わることなど無いのだと 強く思い込んでれば 誰かのせいにしなくても どうにかやっていけます」という歌い出しで始まるこの曲はどこまでも前向き。落ち込んだときに聴くと元気になれる、何かにつまずいたときに聴きたい名曲です。

全体をトータルしてみると「名盤!」ってくらいのパワーはないけど、安心して聴ける良曲が揃っている良作って感じの作品かな。スピッツを好き、または興味がある人は聴いて損をするってことはないんじゃないかな。
スピッツ

『花鳥風月』
99年にリリースされたスピッツのアルバム未収録曲を集めた編集盤。シングルのカップリングに収録されていた曲を9曲、インディーズ時代の幻の作品『ヒバリのこころ』からの2曲、そして辺見えみりに提供した『流れ星』とパフィーに提供した『愛のしるし』のセルフカバーを収録。

まず、M-1『流れ星』がメチャクチャ良い。辺見えみりに提供してたとは言え、メロディと歌詞はスピッツそのもの。メロディから歌詞、ギター音色、そして、うっすらと入った電子音まで、どれもがたまらなくノスタルジック。胸がキューンってなります。ホント名曲。M-2『愛のしるし』は遊び心いっぱいの楽しいアレンジに。M-1『流れ星』とは対象的な曲だけどこっちも良い感じです。こういう楽しい曲と切ない曲を両方できるってのがスピッツの大きな魅力のひとつだと思うな。

カップリング曲の中ではM-3『スピカ』が断トツで名曲。メロディやアレンジ、転調も完璧だし、「
割れ物は手に持って運べばいいでしょ」っていう歌詞も素晴らしい。ブライアン・メイばりのギターオーケストレーションによるギターソロも含めて大好きなポップ・ナンバー。あと、M-5『俺のすべて』は初めはそんなに好きじゃなかったけどライブを見て好きになった曲。軽快なパーカッションとギターが心地よすぎなスピッツ流ロックンロール。転調するところのメロディも絶品です。この曲はライブ・バージョンもかっこ良いんで、ライブDVD『放浪隼純情双六』のほうも是非是非。あとは、草野マサムネにしか書けないエロティック全開な歌詞が印象的なアコースティック・ナンバーM-6『猫になりたい』も地味ながらも凄く良い曲。スピッツ流のビートパンク・ナンバーM-11『鳥になって』も名曲でシングルA面にならなかったのが不思議なくらい。

そしてインディーズ時代の2曲も凄く良い。M-12『おっぱい』はモロにブルーハーツなメロディ、アレンジ、歌い方に「
君のおっぱいは世界一」という歌詞が乗るスピッツの変態性が強く出た隠れた名曲。M-13『トゲトゲの木』は“たま”なんかを思わせるポップ・ナンバー。どちらも敢えて、再録してないのはメンバーの楽曲に対する自信の表れかな。どっちも10年以上経った今、聴いても全然色褪せてない。

M-1『流れ星』M-3『スピカ』M-5『俺のすべて』M-6『猫になりたい』などの隠れた名曲がいっぱい。B面ベストみたいな感じの作品だけど、名曲率が高くて下手なオリジナルアルバムよりずっと良い。これは買っても損しないんじゃないかな。個人的にはちょっと曲順はイマイチな気がするけど編集盤だし、その辺は目をつぶろう。それと、あと強いて言えば草野マサムネがchappieに提供した『水中メガネ』もセルフカバーして欲しかったなあ。


スピッツ

『ハヤブサ』
2000年発表のスピッツ通産9枚目となるアルバム。今作はスクーデリア・エレクトロの石田小吉をプロデュースに迎えて、これまでとは違う新しいスピッツの世界に飛び立った作品になっています。アルバム全編に渡って鳴り響く、攻撃的なディストーション・ギター、グルーヴィーなリズム隊、効果的に挿入されるスペーシーな電子音。最初、違うバンドのCDをプレーヤーに入れてしまったって思うくらいに、これまでとは違ったロックな音が鳴ってる。スピッツは『ロビンソン』や『チェリー』のヒットのせいで爽やかポップっていうパブリック・イメージが付いてしまっているけど、もともとロックなバンドだった。でも、今回はそのロックな針の振り切り具合が半端じゃない。もう圧倒的にロックな作品だ。前作『フェイクファー』でセルフプロデュース時代の第一期と、笹路正徳プロデュース時代の第二期を纏めておさらい。そして、この作品でスピッツの第三期が始まった。

サウンドが大きく変わっても草野マサムネの極上メロディは健在。いや、今作ではメロディにこれまで以上、磨きがかかったように思えた。演奏のほうも、スピッツは草野マサムネのワンマン・バンドじゃないぜ!と言わんばかりの音を聴かせてくれます。

WEEZERやU2なんかに通じるような疾走するギターロック・ナンバーM-1『今』M-2『放浪カモメはどこまでも』M-7『8823』M-11『メモリーズ・カスタム』、大幅にエレクトロニクスを導入したデジタル・ロックM-3『いろは』、美しくエモーショナルなミディアム・ロック・ナンバーM-4『さらばユニヴァース』M-9『ハートが帰らない』M-12『俺の赤い星』、美しいアルペジオが幻想的なM-5『甘い手』M-8『宇宙虫』M-10『ホタル』、シャッフルのリズムを取り入れたり、ハンドクラップが入ったりして軽快なポップ・ナンバーM-6『HOLIDAY』M-14『アカネ』、切ないメロディとアルペジオ、そして胡弓に泣かずはいられない弾き語りナンバーM-13『ジュテーム』などなど名曲だらけ。・・・って全曲じゃん(笑) そう、今作は名曲だらけの大名盤。攻撃的な曲と幻想的な曲のバランスも良いし、曲順も良くてインスト曲M-6『宇宙虫』や弾き語り曲M-13『ジュテーム』なんかの配置も絶妙。スピッツの数多い名盤の中でも今のところ最も僕が好きな作品です。

今作はWEEZER好きな人や、RADIOHEAD好きな人、くるり好きな人、もしくはそれらのバンドに影響を受けたような下北系のインディーバンドを好きな人にも、この作品は気に入るんじゃないかな。『ハチミツ』の頃のスピッツしかしらない人は、きっとスピッツのロック具合に驚くはず。
スピッツ

『三日月ロック』
02年発表のスピッツ通産10枚目となるオリジナルアルバム。今作は椎名林檎、クラムボンの『ドラマチック』などをプロデュースなどで知られる亀田誠治と共同プロデュース。前作に比べるとちょっとポップになった印象だけど、やっぱり今作もロックなスピッツを聴かせてくれる。

今作はM-3『さわって・変わって』M-6『ローテク・ロマンティカ』M-9『エスカルゴ』M-13『けもの道』など、全体的にWEEZERを思わせるようなアッパーで疾走感のあるパワーポップ・ナンバーが多いんだけど、それらはどれも本当にかっこいい。特にM-3『さわって・変わって』M-13『けもの道』は名曲です。そして、ピアノループを導入した透明感のあるナンバーM-1『夜を駆ける』、打ち込みによる四つ打ちを導入した、くるり『ワンダーフォーゲル』以降のポップ・ナンバーM-5『ババロア』など、これまでにない新しい要素の曲も素晴らしい。個人的にはこのアルバムではM-1『夜を駆ける』がベストトラック。

あと、その他では初期を思わせるような可愛いポップ・ナンバーM-4『ミカンズのテーマ』や切ないメロディに涙必死なフォーク・ナンバーM-8『海を見に行こう』、内省的なバラード・ナンバーM-11『ガーベラ』など良曲揃い。そして、その間をシングルになってるM-2『水色の街』M-7『ハネモノ』M-10『遥か』の3曲が巧く繋いでるって印象。この3曲ってアルバムの流れ上は必要だけど、わざわざシングルにするような出来じゃないって思うのは僕だけ?いらないお世話かもしれないけど、アルバム中にはもっといい曲があるんだから、そっちをシングルにすれば良かったのにって思う。僕みたいに、それらのシングルが駄目で、このアルバムを敬遠しちゃう人がいるかもって思うと悔しい。シンセの音、打ち込みなどに亀田誠治色がやっぱり出ているんで、彼のプロデュース作が嫌いな人は駄目かもしれないし、全体的にアッパーな曲が多いんで、しっとりとしたスピッツを求めてる人には駄目かもしれないけど、今作も本当に傑作なのにな。WEEZER、U2、TRAVIS、COLDPLAY、くるり、中村一義、スネオヘアーなんかを好きな人は気に入るはず。
スピッツ

『スターゲイザー』
『三日月ロック』から1年半ぶりのシングルは人気バラエティ「あいのり」のテーマ曲用に作ったもの。これまでに「あいのり」主題歌と言えば、GLAY、EVERY LITTLE THING、I WISHなどが手掛けていて、いずれも大ヒットを記録している。この『スターゲイザー』も発売前に番組に問い合わせが殺到してたらしいし、おそらくヒットするだろう。スピッツは笹路正徳をプロデュースに迎えた売れ線とも言える曲調の『ロビンソン』やドラマ「白線流し」の主題歌『君が思い出になる前に』が大ヒットしたもの、それ以降はそれに反発するように売れ線を意識しないマイペースな音楽活動を続けていた。その間、これと言ったヒット曲もなくて世間では「まだスピッツいたの?」ってくらいの認識だったんじゃないかなって思う。そのスピッツが今、一番効果があるであろう番組タイアップにってことで、その情報を知ったときは驚いた。

そして届いた曲は、うねるようなリズムと広がりのあるギターサウンド、透明で艶やかな伸びのあるボーカル、そしてメランコリックな極上メロディ、『運命の人』や『ホタル』なんかに通じるようなミディアム・ロック・ナンバー。サウンド面では本当にこれまで通りなんだけど、歌詞がこれまで以上に“外”に向かった歌詞になっている。8thアルバム『フェイクファー』の頃からそういう傾向はちらほら見られてたんだけど、ここまで真っ直ぐで“外”に向けた歌詞は初めてなんじゃないかな。そして、それに加えて、この曲は前作『三日月ロック』に引き続き亀田誠治との共同プロデュースになんだけど、『三日月ロック』では感じられた亀田誠治独特のアクの強さはほとんど感じられず、より“外”に向かったアレンジとなっている。

そう、今作は“外”に向けた作品。スピッツの特徴のひとつである“毒”みたいなものは感じられないけど、その分、より多くの人の心に響く名曲になっている。以前からのスピッツ・ファンの中には売れ線に走ったように思えて嫌かもしれないけど、多くの人が求める王道の名曲をここまで完璧に作ってしまうのは、やっぱり凄いよ。

カップリングの『三日月ロック その3』は“毒”もあるスピッツ王道のギターロック・ナンバー。歌詞も曲調も昔のスピッツを思わせるような感じの良曲。最初は僕も驚いたし、嫌だっていう人の気持ちも分かるけど、「あいのり」効果でこのシングルを買った人がスピッツ王道のカップリング曲を聴いたり、これを聴いて『スターゲイザー』以上の名曲がいっぱい詰まった過去のアルバムを知るきっかけになると考えたら、売れ線の曲を出すのも悪くはないなって思う。スピッツはもっと多くの人に聴かれるべき音をずっと鳴らしてきてるんだから。
スピッツ

『色色衣』
1999年以降のオリジナル・アルバムに未収録のシングル収録曲にインディーズ時代のデモテープに収録されていた『僕はジェット』を加えた全14曲収録の企画盤。以前に発売された『花鳥風月』の第2弾って感じかな。

『花鳥風月』を聴いたときにも感じたことだけど、スピッツの曲に捨て曲はないなっていうのが一番の印象。大半の曲がシングルのカップリング曲なんだけど、こっちがA面でも全然おかしくないクオリティの曲ばかり。曲順もいい感じだし、企画盤なんだけどオリジナル・アルバムと比べても遜色ないよ。『僕はジェット』もとても10年以上前のものとは思えない出来だし、やっぱりスピッツは凄いよって思わされる。

ボーカルの草野マサムネのインタビューなんかを見てると洋楽ロックからハスキン、メレンゲ、B-DASH、大塚愛、そしてZAZEN BOYSまで結構幅広く音楽を聴いてるみたいだけど、このアルバムにもWEEZER直系のパワーポップからCOLDPLAYなんかに通じるようなアコースティック・ポップ、ブルースハープも入ったロックンロール、ラテンを取り入れた曲やダブを取り入れた曲まで幅広い音楽性が見られる。それでも難しくはならず、メロディーは極上であくまでポップ。ポップと言っても、その辺の歌謡ロック・バンドよりもずっとグルーヴィーでロック。草野マサムネにしか書けない独特の詩世界は秀逸だし、どの曲をどう聴いてもスピッツ以外の何者でもない。いやはや、スピッツは凄いバンドだよ。改めて、そう思わせてくれる作品。欲を言えば『晴れの日はプカプカプー』も収録して欲しかったな。
スピッツ

『スーベニア』
スピッツの11枚目。いきなり1曲目『春の歌』からマサムネ全開の名曲だったんでワクワクしながら聴いたんだけど、通して聴いてみると個人的には少し微妙な感じ。いや、ちょっと言い方が悪いかもしれないけど腐ってもスピッツ。決して悪くはないです。いい曲ばっかりです。シングルカットできそうな曲が盛り沢山。新境地と言える沖縄民謡を取り入れた『ナンプラー日和』、レゲエ・ビートを取り入れた『自転車』も普通に良いです。やっぱりグッドメロディ、いい歌声。たぶん売れるでしょう。でも、なんか違うんだよなあ。

まず『ありふれた人生』や『正夢』、『会いに行くよ』なんかで見られる過剰なストリングス。どれもいい曲なのに捻くれた僕はこの過剰なストリングスで冷めちゃうんだよね。こんなベタに感動を煽るようなアレンジにしなくても十分、聴き手を感動させれるような力量がスピッツにはあるのにね。ビートロックな『ワタリ』、『ほのか』もなんかヒネリが足りないというか、一昔前のビジュアル系バンドのシングル曲みたい。ビートロックっぽい曲でもフィルスペクター的サウンドを取り入れた『ほのほ』は凄く良いのになあ。あと、これは全体的に言えることなんだけど、歌詞がいつになく素直でストレートなんだよね。僕はもうちょっとひねくれたマサムネさんが好きなんだけどなあ。

ストリングスにしても大衆的なビートロックにしてもストレートな歌詞にしても、一般受けはここ数作の中で一番いいかもしれないね。まあ、もともとスピッツって過小評価されてると思うし、スピッツをただの『ロビンソン』の一発屋としか思ってない人や青春パンク世代の若い子を振り向かせるいいきっかけになるといいな、なんて思う今日この頃です。
スピッツ

『魔法のコトバ』
映画「ハチミツとクローバー」主題歌になった通産31枚目のシングル。『スターゲイザー』とか『正夢』とか最近のスピッツはこういうモードなの?タイアップだし、ベスト盤リリース直後だし、レコード会社の戦略?ストリングスも入って、キラキラしてて、胸キュンメロディで、世間の持ってるスピッツのイメージそのままなミディアムバラードになってます。

スピッツのライブにも何度も足を運んで、アルバムも全作聴いた僕なんかは本当のスピッツはカップリングの『シャララ』にこそあると思うんだけども、どうなんでしょ。いや、『魔法のコトバ』もそれなりにいい曲なんだけどね、すぐ飽きちゃうし、僕は『シャララ』のほうが好きさ。もうそろそろ亀田誠治と別れてもいいんじゃない?
スロウキャンプ

『WARMIN'』
名古屋のダブポップ・バンド、スロウキャンプの初音源となる5曲入りミニアルバム。公式サイトに名古屋発!ダブ&ギターポップな新感覚バンド」なんて書いてあったけど、まさにそんな感じの音。どっちかって言うとギターポップがベースで、初期SUPERCARを思わせるような甘酸っぱいギターポップに後期FISHMANS的なダブポップ要素をプラスしたような感じ。SUPERCARよりも幻想的にゆらめき、FISHMANSよりも甘く軽やか。切なさ全開。

SUPERCARの初期の傑作「スリーアウトチェンジ」のあの青さや甘酸っぱさ、切なさを追い求めてるような人にはビビッ!とくるかも。ただ、ギターポップの要素は控えめでダブの要素が強めなM-2『クリスタル』、M-5『星になった人』に関しては、もうちょっと演奏力が欲しいかな。楽曲は良いと思うんだけどね。こういうモロにFISHMANSやPOLARISみたいな曲よりも、それ以外のギターポップとダブがいい具合に交じり合った曲が良かった。M-1『WORLD』やM-5『ヒカリ』とか好きだよ。
スロウキャンプ

『ENSEMBLE』
スロウキャンプの2作目。基本は前作の延長線上。ダブ経由の太いベースにゆらゆらギター、優しくふわふわしたボーカル、そして甘い甘いメロディ。初期スーパーカーとポラリスとキセルを足して3で割ったようなそんな感じかな。その辺の音が好きな人は聴いてみるといいかもね。

前作にはなかった新しい要素としては思わず体が動いちゃうようなアップテンポでダンサブルなナンバーが登場したりも。フルアルバムはまだ先みたいだけど、こんな感じでもっともっとどんどん曲のバリエーションを増やしていくといいと思う。まんまポラリス、まんま