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倍音S

『M.U.O.A.E.I.N.M』
倍音をテーマに、ホーメイ(トゥバに伝わる倍音唱法)、あらゆる民族楽器で、独特の音を構築する、倍音Sの2ndアルバム。

ホーメイ、口琴、ディジュリドゥ、タブラ・・・倍音の響きの豊かな声、楽器を使って、トライバルで不思議な音空間を作り出しています。独特の音世界。アグレッシブな曲はトリップできるし、静かな曲はチルできる。ホーメイも、トゥバ共和国ハンダガイテで行われたホーメイコンテストにおいてグループ部門第2位をとったらしく、本格的です。

それにしても、日本人でこういう音楽をやっている人はレベルが高いな。GOMAやサイコババ好きな人にお薦め。あと、このバンドのayayaはクラムボンの『eel restaurant』に参加してました。『eel restaurant』好きな人は聴いてみるといいかも。
ハイロウズ

『THE HIGH-LOWS』
伝説のバンド、ブルーハーツ解散後、ボーカルの甲本ヒロトとマーシーが結成したハイロウズの95年にリリースされたデビューアルバム。ブルーハーツ解散からたった半年で結成されたバンドだけど、ブルーハーツの頃の音とはちょっと違う。1曲目の『グッバイ』では「今までありがとう もうこれでお別れですよ」なんて言ってるしね。歌詞のメッセージ性はちょっと薄れてしまってユーモラス、曲のほうもブルーハーツの持ってたポップ性は控えめでロックンロールな感じ。プレスリーやチャックベリー、ストーンズ直系の痛快なロックンロールを聴かせてくれます。

ちょっと無理矢理ブルーハーツと違うことをやろうとした感が強くて、ぎこちなさも少し感じるけど、ロックンロールの初期衝動みたいなものはハイロウズのアルバムの中で一番強いかもね。この時期にこのメンバーでしか成し得なかったかっこ良さがあります。『ミサイルマン』、『スーパーソニックジェットボーイ』、『日曜日よりの使者』あたりは名曲だし、ハイロウズを聴くならはずせない作品なんじゃないかな。
ハイロウズ

『タイガーモービル』
96年発表のハイロウズのセカンドアルバム。突然ディープパープルみたいなハードなギターリフが登場したりしてビックリ。全体的に攻撃的でハードロック色の強い曲が多いです。ブルーハーツとも前作とも次作以降とも違う音で、ハイロウズの作品の中では異色と言える作品だと思う。ハイロウズの中でも最も好き嫌いの分かれる作品かもね。

個人的には歌詞もサウンドからもあまり深みが感じられなくて、どっちかというと好きな作品ではないんだけど、『俺軍、暁の出撃』、『相談天国』、『ロッキンチェア』などライブで聴くと気持ちが「うおおお!」って盛り上がる曲が多いのも事実。ハードでバリバリなハイロウズを体験してみたい人はこの作品を聴くと良いと思うのです。もうなかなか手に入らないだろうけど、フェイクファー仕様の初回盤はかっこいいよ。
ハイロウズ

『ロブスター』
98年発表のハイロウズのサードアルバム。目印はダウンタウンの松本人志による可愛いロブスターのジャケット。今作はハードロック的だった前作から一転、ポップで痛快なロックンロールを聴かせてくれます。ブルーハーツ時代を思わせるようなパンキッシュな曲もちらほら見られたり。3枚目にしてやっと変な意地やコンプレックスを捨てて、自然体になれたような印象かな。

ファースト収録の名曲『ミサイルマン』の流れを汲むような『不死身のエレキマン』、セカンドの流れにあるようなハードなナンバー『そうか、そうだ』、ブルーハーツ時代を思わせるような『千年メダル』や『真夜中レーザーガン』、そして中期ビートルズなサイケに挑戦した『有名』やフィル・スペクター・サウンドに挑戦した『風の王』などなど、バラエティに富んだ名曲たちを収録。全体的にポップで聴きやすいし、かっこ良いです。サラッと聴けてザクッと効く作品。


ハイロウズ

『バームクーヘン』
99年発表のハイロウズ、4作目。やっぱりロックンロール。前作よりももっと自然体。そんなハイロウズが楽しめる作品です。エンジニアに頼らず本人達が手掛けたという自然体な音はお世辞にも綺麗な音とは言えないけど、しっかりといい音楽になってるんだよね。なんていうかロックンロールの魔法だね、これは。

楽曲自体もロックンロールの魔法が効きまくり。心と体に響きまくり。捨て曲なんて皆無。『罪と罰』、『二匹のマシンガン』、『モンシロチョウ』、『ハスキー』、『ガタガタゴー』などなど名曲いっぱい。ハイロウズでのマーシー作曲としては初のバラッド『見送り』もいいね。ハイロウズ全編素晴らしい曲だらけです。アルバム全体の流れもバッチリ。日本のロックンロールアルバムの代名詞と言っても大げさじゃないかもね。大傑作です。
ハイロウズ

『RELAXIN'』
2000年発表のハイロウズ、5作目。前作が「痛快」だとしたら、こちらは「爽快」。全体的にしっとりとしてて爽やかな曲が多いです。切ない恋愛ソングが多いのもこの作品の特徴。アレンジではストレートなパンクからモータウン、レゲエ、ハードロック、フォーク、泥臭いロックンロール、そして切なくメランコリックなバラッドまで何でもアリな感じ。

このアルバムは何といっても『青春』と『岡本君』。このアルバム自体は個人的には微妙なんだけど、この2曲は別格。前者はブルーハーツ節全開な青春ロックンロール。細かい説明は不要、ただただカッコいい名曲。後者はマーシーが友達のことを綴った切ないバラッド。タイトルや「岡本く〜ん」っていう出だしだけ聴くと冗談みたいだけど、ホントに感動的な曲。歌詞もメロディもアレンジも演奏も全部泣ける。青春時代が頭をよぎって泣ける。これも名曲です。


ハイロウズ

『HOTEL TIKI-POTO』
2001年に発表されたハイロウズの通産6枚目のアルバム。プレイボタンを押すと、いきなり祭囃子が聴こえてビックリ。今作の1曲目の『21世紀音頭』はレゲエとロックンロールと沖縄民謡&音頭が祝福ムードいっぱいに楽しくクロスオーバーしたナンバー(これがもう最高に楽しい!) その後もハイロウズらしい痛快なロックンロールの中に紛れてディスコ風味のナンバーや7分を超えるヘンテコダブなんかが登場して前作で見せた何でもアリな感じを更にグレードアップしたような作品になっています。その辺はちょっとクラッシュの後期の作品に通じるところがあると思う。音的にはこっちのほうがずっと楽しい感じだけどね。

人によっては「ふざけすぎ!」って思っちゃうかもしれないけど、個人的には遊び心いっぱいに楽しみながらポップに弾けてる感じが大好きな作品です。メンバーたちが「どう?ロックンロールって楽しいもんだろ?」ってニヤニヤしてるのが頭に浮かんでくるよ。そう、ロックンロールって楽しいもんです。『14歳』って曲で「あの日の僕のレコードプレーヤーは少しだけ威張ってこう言ったんだ。いつでもどんな時でもスイッチ入れろよ。そん時はおまえ、かならず14歳にしてやるぜ」ってヒロトは歌ってるけど、この作品はホントに僕を14歳にしてくれます。ロックンロール最高!
ハイロウズ

『ANGEL BEETLE』
2002年リリースのハイロウズ、通産7枚目のアルバム。今作は割とシンプルなアレンジな曲が多いです。あと、パンキッシュな曲が少なくて、ゆったりとしていて切ない曲が多い。そういう意味では前作よりも前々作に近いような印象かな。ハイロウズ節全開な『TOO LATE TO DIE』はやっぱり楽しいし、ブルース・スプリングステーィンの名曲も引用しつつアメリカを皮肉りまくった『アメリカ魂』は痛快だし、可愛くてユーモラスなサウンドに乗せて毛虫のことを歌った『毛虫』は不思議とクセになっちゃう。それに「偶然でもいいけど、約束できたらな」なんてフレーズが素敵すぎるハイロウズ流のソウル・バラッド『映画』はめちゃくちゃ泣けちゃう。その他の曲も普通によく出来てて非の打ち所がない作品・・・と言いたいところなんだけど、なんかこうガツン!と来ないのはなんでだろう。

最高なロックンロールを鳴らしてたオアシスやストロークスがセカンド以降にそうなって行ったみたいに安定しすぎちゃってるのかな。それとも、マンネリってやつかな。その辺はよく分かんないけど、ずっとブルーハーツ〜ハイロウズを聴いてきた僕には少し物足りなさを感じちゃう作品でした。決して悪い作品じゃないし、『映画』は僕みたいな恥ずかしがりやな男の人には是非、聴いてもらいたい名曲だけどね。ちなみに、この作品を最後にキーボードの白井幹夫が脱退しちゃってたり。うーん、残念としか言いようがないです。
ハイロウズ

『DO!!THE★MUSTANG』
前作から約2年ぶりとなるハイロウズの通産8枚目。キーボードの白井幹夫が脱退しちゃったってことで、アレンジはよりシンプルに。アレンジ的にも7曲目のダブ・ナンバー『ブラジル』以外はほとんどギミックなし。シンプルでストレートな小気味の良いロックンロール作品になってます。全体的に凄くポップでアップテンポの曲も多いんで、これまでハイロウズにいまいちハマれなかった人にも受け入れられる作品かもね。

個人的には前作と同じような感想です。変な構えや難しい知識なんて必要のないオキラクな良質ロックンロール作品だと思うんだけど、少しサラッとしすぎてるっていうか、なんかガツン!と来ないんだよね。ハイロウズが結成されたときからキーボードを引いてた白井幹夫がいないのも、まだ違和感があるし、やっぱりなんか物足りないなあ。
ハイロウズ

『FLASH』
惜しくも活動休止を発表しちゃったハイロウズのベスト盤です。もっと入れて欲しかった曲もあるけど、CDの収録時間には限度があるわけでそんなことを言っても仕方ないわけで、とりあえず言えるのは全曲最高にロックンロールしてるってことです。シングルばかりなんでハイロウズのコアな部分は見えないけど、初心者にはもってこい、ドライブにももってこい、テンションあげるのにもってこい、キャッチーなロックンロールが多いんで、きっとブルーハーツは好きだけどハイロウズはちょっとって人にももってこいの作品なんじゃないかなって思います。

活動休止はホント残念だけど、正直、少しマンネリ感はあったと思うんで、またゆっくり休んで最高のロックンロールを聴かせて欲しいです。ちなみに僕がハイロウズで一番好きな曲は『千年メダル』。
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元ちとせ

『CHITOSE HAJIME』

元ちとせのインディー1枚目。(正確にはこのアルバムの前に奄美の島唄を歌ったアルバムがあるけど)

このアルバムはカバーアルバムで、BJORKの在籍してたSUGARCUBES、山崎まさよし、LOU REED、JIMI HENDRIX、あがた森男、CAROL KINGの曲をカバーしている。面白い選曲だ。

元ちとせ独特の島唄的な歌い方で全曲、完全に元ちとせの曲にしてしまっている。この人の声は本当に素晴らしい。曲のアレンジもアコースティックでシンプルなので、声がストレートに伝わってくる。

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元ちとせ

『コトノハ』

元ちとせのインディー2枚目。間宮 工、上田 現(レピッシュ)、ハシケンなどを作家に迎えた作品。前作はアコースティックなアレンジだったんだけど、今作ではシンプルなバンドアレンジになっています。

決して島唄ではないんだけど前作以上に奄美の匂いが感じられます。全曲凄く良いです。特にM-1『コトノハ』、M-3『竜宮の使い』は本当に超名曲。泣けます。

僕は妙に狙ったアレンジのメジャー1st『コトノハ』より、シンプルなアレンジのこのアルバムのほうが良かったです。このアルバムはお薦めです。

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元ちとせ

『ハイヌミカゼ』

鹿児島県奄美大島出身の元ちとせのメジャー1stアルバム。シングル『ワダツミの木』が社会現象になってたんで、みんな知ってるかな。ベタだけど、この人の声はやっぱり凄いです。凄いとしか言いようがない・・・。声だけですべて持っていける。それに付け加え、曲、トラックが良く出来ている。

まず、M-1『サンゴ十五夜』がかっこいい。ドラムだけにアカペラで始まり、途中からアコギのカッティングがところどころ入ってくる。これは凄い。M-2『ワダツミの木』はDUB風味。やっぱり名曲。M-8『ハイヌミカゼ』は初めは穏やかなレゲエ風味のリズムで歌い方も穏やかなんだけど、後半に向かうに連れて、トラックと共に歌も段々と情熱的になっていくカッコいい曲。他の曲も普通にいい曲が揃っている。大傑作。

いいんだけど、ちょっとレコード会社に作られてる感が強いかな。歌わされてるだけみたいな印象。もともと島唄の歌い手なんだし、もっとルーツ音楽に近い音をやってもいいと思うんだけどな。でも、これはこれで何気に聴きまくってたり。何気に好きだったり。オリコン上位に入るような曲なんて・・・っていう人にも是非是非聴いてもらいたいな。この声、歌は絶対聴く価値があると思う。

元ちとせ

『ノマド・ソウル』
元ちとせの2ndアルバム。作家陣は『ワダツミの木』などを作曲したレピッシュの上田現、インディーズ時代から元ちとせに関わってきた間宮工、COILの岡本定義、山崎まさよし、あがた森魚、そして松任屋由実まで。

個人的にはCOILの岡本定義が作詞作曲した、ほんのりビートルズ風味のバラード、M-04『いつか風になる日』が1番良かったかな。あとアコーディオン、ウッドベース、アコギによるシンプルなアレンジ、和風のメロディ。元ちとせの歌が1番活きていた、あがた森魚作詞作曲のM-9『百合コレクション』が良かった。松任屋由実作詞作曲のM-10『ウルガの丘』はメロディは思い切りユーミン節なんだけど上田現のほんのりダブ風味なアレンジが新鮮。元ちとせの歌も違和感なくハマっていて、いい感じだった。あと、この曲のドラムはROVOの岡部洋一でちょっと驚いた。

前作のレビューでルーツ音楽に近い音をやってもいいと思うって書いたんだけど、今作はより奄美のルーツ音楽からは離れた音になった。ダブやレゲエ風味も前作と比べると控えめ。だいぶポップス寄りにシフトしている。普通に曲は良いと思うんだけど、あまり元ちとせの歌声を活かしたアレンジではないような・・・。
あと作曲はともかく、作詞くらいは本人がやったほうがいいかもね。浜崎あゆみでも作詞したりしてるんだし。トータルしてみると個人的には前作のほうが好きかな。

ちなみにこのCDは初のCDとSACD(SUPER AUDIO CD)のハイブリッド盤。SACDっていうのはCDの後継候補の規格。このハイブリッド盤は普通にCDとしても聴けるし、SACD再生プレーヤーに入れると、より高音質なSACDで聴けるようになっている。こうやって段々、SACDに移行していくんだろうな。CDが終わっちゃうのは切ないけどCCCDなんかが広がっていくより断然良い。とりあえず、このハイブリッドにしていくやり方はいいんじゃないかな。突然SACDを発売しても普及しないかもしれないし。
元ちとせ

『ハナダイロ』
元ちとせの3作目。今、レビューを見返したら、結構あっさり書いててビックリしたけど『ワダツミの木』はダブ、レゲエ的な要素を大幅に取り入れつつも、和風でかつ、メロディは絶妙にキャッチー、そして元ちとせの癖があるんだけどホント神がかった歌声が奇跡的に交わった名曲だと思うんです。あれが生まれたのはアレンジ&作曲を手掛けた元レピッシュの上田現の力が大きいのはもちろん、デビュー曲だっていうのもあったんじゃないかな。それ以降は『ワダツミの木』を水で薄めたような曲を歌わされたり、ヒットを狙えるようなポップス的なものを歌わされたり。かと思ったらアルバムでは自称音楽通に向けた中途半端に小難しい曲を歌わされたり。

先行シングルだった『青のレクイエム』だってメチャクチャ良い曲だけど、あの元ちとせ独特の歌い方も控えめで、典型的な売れ線バラード的アレンジで『ワダツミの木』ほど奇跡的なものにはなってないなっていう。僕的には松任谷由実の曲も元ちとせに全然合ってないと思う。やっぱ上田現だよね。今作でも上田現が手掛けた、ちょっとレピッシュっぽい『羊のドリー』が抜群に良かったです。なんかセールスを無視したもっと自由な元ちとせを聴いてみたいなあ。
バタアシ☆キング

『バタアシ☆キング』
四国徳島で結成された4人組バンド、バタアシ☆キングの1stアルバム。

プールをプカプカのんびり泳いでるような心地よい浮遊感。アコースティックで暖かく切ない。優しい歌声。FISHMANSフォロワーなダブポップ。中期から後期のFISHMANSな感じ。演奏も歌も曲もかなりFISHMANSに近い。その分どうしても本家と比べてしまう。そうするとやっぱり・・・。音楽はどんどん引きつがれていくものだと思うし、FISHMANSをリスペクトしたサウンドを作っていくのはいいと思う。ただ、もっとバタアシ☆キングらしいところが欲しいところ。

ちなみに初回盤にはFISHMANSのキーボディストHAKASE-SUNの和風ダブなリミックスも収録。FISHMANS亡き今、FISHMANSみたいな音を求めてる人は絶対いると思うから、そういう人にはいいかも。
畠山美由紀

『DIVING INTO YOUR MIND』
PORT OF NOTES、DOUBLE FAMOUSなどで活動する、畠山美由紀のソロ1stアルバム。

このアルバムでは、ほとんどの曲を畠山美由紀自身が作詞・作曲、LITTLE CREATURESの鈴木正人が編曲を行っています。全編アコースティックな肌触りで、曲は70年代くらいのアメリカの女性シンガーソングライターを彷彿とさせるような感じ。歌謡曲ぽかったり、AORだったり、ジャジーだったり・・・味付けは様々だけど、どの曲もとにかくポップ。そして、ひたすら心地良い。こういう言葉は好きじゃないけど、癒し系な歌声。

いい演奏といいアレンジ、そしていい歌がある。上質のポップ・ミュージック。普遍のポップ・ミュージック。正直、面白みはあまりないんだけど、普遍的な分、長く聴ける作品。
畠山美由紀

『FRAGILE』
1stアルバムの後にリリースされた畠山美由紀のカバーアルバム。ローリング・ストーンズやノラ・ジョーンズ、ポリス、荒井由実(松任屋由実)、ノーラ・シモンなどの名曲をアコースティックにカバーしています。

アレンジャーとしてはLITTLE CREATURESの鈴木正人、青柳拓次、POLARISの坂田学や小沼ようすけ などが参加。音数少なめで歌を活かしたアレンジが多め。鈴木正人アレンジによる中田喜直の『夏の思い出』のカバーは泣けた。

でも、個人的には、ローリング・ストーンズの『悪魔を憐れむ歌』や、ポリスの『見つめていたい』のバンド・アレンジでのカバーが良かった。特にボサノヴァに生まれ変わった『悪魔を憐れむ歌』は素晴らしかった。

ちなみに、今作はCCCD。オリコン上位のしょぼいダンス・ポップがCCCDになるならともかく、こういういい歌、いい演奏の詰まった作品がCCCDになってしまっているのは残念で仕方ないな・・・
畠山美由紀

『WILD AND GENTLE』
カバーアルバム、富田ラボの作品、ローリング・ストーンズのトリビュート・アルバムなどの活動を挟んでの畠山美由紀の2ndアルバム。
カバーアルバムは残念なことにCCCDだったんだけど、今作はCD-EXTRAでCCCD回避。普通のCDでのリリースになっています。

今作は、WORLD STANDARDの鈴木惣一郎が4曲、ショーロクラブが3曲、富田ラボこと、冨田恵一が3曲、KAMA AINAこと、青柳拓次が1曲をプロデュース担当。また、数曲では松本隆が作詞を担当しています。
鈴木惣一郎はアコースティックでストリングスも多用した美しいアレンジ、ショーロクラブはアコースティックでブラジアンなポップス、富田恵一は富田ラブそのまんまなソウルフルでAORなポップス、青柳拓次はアコースティックでほんのり民族テイスト。それぞれの個性がよく出たアレンジになっています。

個人的には鈴木惣一郎がプロデュースした、M-1『HOW TO HEAL』、M-4『花は散り、雲は行く』、M-8『NAUSEOUS' CAUSE TOO HAPPY』、M-9『SO MANY PEOPLE OF THE LONELY NIGHT』の4曲が圧倒的に良かった。ストリングスを多用したアコースティックな演奏が、畠山美由紀の美しい歌と相乗効果を起こして素晴らしい音世界を作り出しています。相性抜群。そして、涙涙涙。
青柳拓次アレンジのM-7『UNKNOWN LANDSCAPE』もさすがの出来。ショーロクラブのアレンジ曲もなかなかの出来です。
ただ、冨田恵一の担当した曲は歌謡曲すぎて個人的にはちょっとイマイチかな。セールス的には冨田恵一の曲が1番かもしれないけど・・・

アレンジのことばかり書いたけど、
畠山美由紀の歌は言うまでもなく素晴らしい。素晴らしいアレンジ、演奏、歌が詰まったこの作品も言うまでもなく素晴らしい。


はっぴいえんど

『風街ろまん』
細野晴臣、松本隆、大滝詠一、鈴木茂という凄いメンバーが在籍していた、はっぴいえんどの2ndアルバム。まあ、僕が紹介する必要もないかもしれないです。名盤すぎて。言うまでも無く、日本のロック、日本語によるロックを切り開いた名盤。

M-1『抱きしめたい』は、大滝詠一の曲でブルージー。ギター、ベースも歌っていて最高のアンサンブルを作り出してる。M-2『空色のくれよん』は、ハワイアンっぽいスティールギターとヨーデルを取り入れたドリーミーなバラード。M-3『風をあつめて』は、説明する必要のない超名曲。アルペジオとハモンドオルガンがいい感じ。M-4『暗闇坂むささび変化』は、マンドリンの入った軽快な曲。題名もいいし、「ももんが〜♪」と歌うユニークな歌詞もいい。M-5『はいからはくち』は、8ビートのロックンロール。和太鼓〜外国人のナレーションっていうイントロも面白い。かっこいい曲。M-6『はいから・びゅーちふる』は、ちょっとビーチボーイズ風のコーラスによるSEっぽい曲。M-7『夏なんです』は、夏のまっ昼間みたいな雰囲気の曲。「ギンギンギラギラ」や「ホーシツクツク」など、擬音語のカタカナの歌詞が凄い。M-8『花いちもんめ』は、ハモンドオルガン、ギターがいい感じの曲。M-9『あしたてんきになあれ』は、ファルセット・ボーカルによるファンク・チューン。かっこいい。この曲は数年前に浅野忠信が出てたメンズノンノのCMに使われてたから聴いたことある人が多いかも。M-10『颱風』は、和風ブルースフィーリング。渋い。M-11『春らんまん』は、アコースティックで爽やかな曲。M-12『愛餓を』は、「あいうえお」って読む。言葉遊びによる小曲。

もう最初から最後まで、メロディもいいし、遊び心もあっていい。独特の歌詞も凄いとしか言いようがないです。はっぴいえんどに影響を受けているバンドが後をたたないのが納得できる、名盤中の名盤。くるり、中村一義、サニーデイ・サービス(曽我部恵一)、キリンジ、ハナレグミ、キセル・・・この辺を好きで、もし、はっぴいえんどを聴いたことない人がいたら是非、このアルバムを聴いて欲しいです。
羽鳥美保
(MIHO HATORI)

『ECDYSIS』
元チボマットのハトリミホのソロデビュー作。これまでにスモーキー&ミホ名義の作品なんかもあったけど、本人名義ではこれが初の作品になります。スモーキー&ミホ名義の作品はボサノヴァに限定してたけど、今作は民族音楽、ジャズ、ポストロック、エレクトロニカ、ヒップホップ、現代音楽、童謡、沖縄民謡、スパニッシュなどなど、あらゆる音楽をミクスチャーして本来のハトリミホ、もしくはチボマットらしい作品になっています。

てか、1曲目の始めの歌声・・・ビョークかと思ったよ。2曲目は一転して、ちょっと可愛らしい日本語の歌。3曲目は囁くように歌う。表情豊かなハトリミホの歌が楽しめます。トラックの出来も抜群。なんていうかミクスチャー具合が絶妙なんだよね。それでいてゆるく踊れる。トラックだけでも楽しめるね。

ポップなメロディで分かりやすい音を期待すると駄目かもしれないけど、ビョークとかUAとかエゴラッピンとかクラムボン好きな人は気に入るんじゃないかな。あと彼女も参加してたゴリラズ好きな人にもお薦めです。
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花電車

『HANADEN BLESS ALL』

BOREDOMSのHILAHによるバンド、花電車の2枚組の2ndアルバム。

DISC1は最近のUSのバンドにも通じるようなヘヴィロックから始まり、段々とサイケな世界に突入していきます。DISC2はジャズの要素も感じられるプログレがメインです。

ちょっと僕はボーカルが駄目でした・・・

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花電車

『NARCOTIC GUITAR』

花電車の3rdアルバム。

前作とは打って変わってサイケデリックでアンビエントなインストになっています。サイケすぎるくらいに、とことんサイケでヤバイです。

正直、前のアルバムは駄目でしたが、このアルバムは凄く良かったです。

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花代

『献上』

日本で芸者の修行を終えた後、ドイツへ渡り、ゴルチェのモデル、写真家、バンド、本の出版、パフォーマンスアーティストなどマルチに活躍する天才芸術家。このアルバムアレック・エンパイアのレーベルからのリリースです。

このアルバムを乱暴に説明すると”狂ったビョーク”。ちょっとビョークにも似た印象を受ける花代のボーカルはとても素晴らしく強烈です。さらにアレックやメルツバウやWOODMANも参加していてより強烈な世界を作り上げています。美しいのに完全にぶっ壊れています。メロディもしっかりしてるし、このアルバムは大傑作です。
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ハナレグミ

『音タイム』

SUPER BUTTER DOGの永積タカシのソロユニット、ハナレグミの1stアルバム。バックを固めるのはクラムボンから原田郁子(KEY)とミト(B)、POLARISからオオヤユウスケ(G)と坂田学(DR)。ゲストでNATHELIE WISEのBIKKEも参加。SDBでのファンクとは違った、暖かくて優しいアコースティックなサウンド。永積タカシの声もメロディも、バンドの演奏も凄く良い。

M-1『音タイム』は3拍子でハッピーな雰囲気な曲。名曲。M-2『雪の中に』は暖かいレゲエ・ナンバー。少しPOLARISっぽい演奏に暖かく切ないボーカルが乗っていて泣ける。M-3『明日天気になれ』は軽快なフォークっぽい曲。メロディがメチャクチャ良い。最高。M-4『家族の風景』は何回聴いても泣けるバラード。聴けば聴くほど染み入るバラード。歌も詩もメロディも演奏も本当に素晴らしい。本当にいい曲。M-5『JAMAICA SONG』はBOOKER Tのあの名曲のカバー。ドラム、ピアノがいい感じ。ハンドクラップやスタジオの声なんかも入って楽しい演奏の雰囲気が伝わってくる。めちゃくちゃハッピー。M-6『WAKE UPしてください』は古き良きブルースっぽい曲なんだけど浮遊感のある電子音なんかが入っていたり、ダブっぽい音響処理をしていたりして面白い。M-7『かこめ かこめ』は昔のアメリカのポップスみたいな曲。M-8『ナタリー』はバイオリンも入った感動的なバラード。永積タカシの歌自体が感動的なのに、さらにBIKKEのポエトリーリーディングも加わって本当に泣ける。M-9『一日の終わりに』はシンプルで凄く暖かい曲。

全曲、本当に歌が良い。永積タカシの声は素晴らしすぎるよ。演奏も素晴らしい。いい歌といい演奏。そしていい曲。本当にいいアルバムです。幸せな感じの音が聴きたいのなら、是非このアルバムを。これを聴くと優しくて幸せな気分になれます。SBDの『さよならCOLOR』やクラムボン、POLARISが好きな人は是非聴いてみてください。大推薦です。ホント名盤。

ハナレグミ

『レター/ハンキーパンキー』
アルバム・リリース後初のシングル。2曲入りで両A面。(2曲で1000円はちと高い気がしないでもない。)

M-1『レター』は、LITTLE CREATURESの鈴木正人がプロデュース。トランペットも入った陽気なバンド・サウンドで、ちょっと富田ラボと一緒にやってた曲を思い出すような感じの曲。シティポップっぽい。

M-2『ハンキーパンキー』のほうは、鈴木惣一朗(WORLD STANDARD)がプロデュース。こちらは『音タイム』に入っててもおかしくないような、しっとりとしたアコースティック・ナンバー。これまた名曲。こんないいメロディをこんないい声で歌われると堪んない。泣ける泣ける。『レター』のほうも良質で普通に良いんだけど、やっぱり僕はこの曲みたいな感じのほうが好きだな。

全く違うタイプの曲が2曲。『音タイム』は全曲ハナレグミ・バンドみたいにメンバーを固定して作ってたけど、このシングルを見ると次作は各曲にプロデューサーを立ててやるのかな。畠山美由紀みたいに。それはそれで面白いかも。
ハナレグミ

『さらら』
ハナレグミ3枚目のシングル。M-1『さらら』はハナレグミらしく、心の隙間にピッタリとはまり込むミディアム・バラード。ハナレグミの曲にハズレナシ。今回も本当に良い曲だ。M-2『EVERYDAY PEOPLE』はスライ&ザ・ファミリー・ストーンの名曲をカントリー風にカバー。良い。良いんだけど、スライ&ザ・ファミリー・ストーンと言えばファンク。ファンクと言えばSUPER BUTTER DOG。しっとりしたハナレグミも大好きだけど、そろそろファンキーなSUPER BUTTER DOGも恋しかったり。バンドのボーカルがソロ活動を始めちゃうとバンド本体のほうは解散ってパターンはよく見かけるけど、SUPER BUTTER DOGがそうなっちゃうのは勿体無さすぎる。ハナレグミとSUPER BUTTER DOG、両方を並行していって貰えると最高なんだけどな。

あと、別に音楽は売れるだけがすべてじゃないし、本人はそんなことは望んでないのかもしれないけど、ハナレグミの曲はもっと売れて欲しい。もっと多くの人に聴かれるべき音楽だと思う。山崎まさよしやスガシカオが売れるんだったら、ハナレグミは同じくらいか、それよりもさらに上にいけると思うんだけどな。


ハナレグミ

『日々のあわ』
みんな待ってたハナレグミ待望の2ndアルバム。シングルになった『レター』、『ハンキーパンキー』、『さらら』などの名曲たちに加え、デビューシングル『家族の風景』のカップリングに収められていた『マドベーゼ』や『心空』のバンド・アレンジによるバージョン、そして小泉今日子に提供した『きのみ』のセルフカバーも収録。前作は全編を原田郁子&ミト(クラムボン)、オオヤユウスケ&坂田学(ポラリス)というバンドメンバーで固定して統一感のある音を聴かせてくれたんだけど、今作はリトルクリーチャーズの鈴木正人とWORLD STANDARDの鈴木惣一郎という2人のプロデューサー、そしてセルフ・プロデュースを曲によって使い分け、ゲストには前作のメンバーに加え、BLACK BOTTOM BRASS BANDやROCKING TIMEのメンバーやASA-CHANG、青柳拓次、湯川潮音などを迎え、前作以上に色とりどりな音を聴かせてくれます。

アコースティック・ギターから、スティール・ギター、ウクレレ、ハモンド・オルガン、ブルース・ハープ、アコーディオン、スティール・パンなどの温かい音色と永積タカシの優しく包み込むような歌声。片時も離したくない歌声とメロディ。彼の歌声さえあればすべてOKってくらいに歌声が素晴らしいんだけど、それをサポートする演奏のほうも本当に素晴らしい。もう、“シンプルで純粋にいい音楽”っていうカテゴリーの中では最高峰の作品なんじゃないかな。

シングルになった『レター』、『ハンキーパンキー』、『さらら』がどれも名曲なのは、それぞれのシングルのレビューでも書いた通りだけど、それ以外にも名曲がいっぱい。その中でも前作でお馴染みの原田郁子、ミト、オオヤユウスケ、坂田学、そしてクラムボンのアルバム『imagination』でも素敵なブルースハープを聴かせてくれたCINEMA dub MONKSの曽我大穂と一緒にやったM-6『嘆キッス』とM-9『心空』の2曲が本当に素晴らしかった。前者はちょっとSUPER BUTTER DOGを思わせるような楽しく躍動感のあるブルースロック・ナンバー。歌詞には永積タカシらしい言葉遊びも登場して思わず笑顔で体を動かさずにはいられない。後者のM-9『心空』は前作の雰囲気に似た、暖かく切ない音色とメロディのバラード・ナンバー。とってもとっても切なくて泣かずにはいられない。

シングル収録曲が多いせいでシングルを全部買ってた人にとっては少し物足りなさもあるかもしれないけど、この作品自体は名盤と言っても申し分のない出来です。楽しいときも悲しいときもどんな時も、ずっとずっと側に置いときたい作品。そして、この作品は、M-3『マドベーゼ』で歌われてる“君”のように日々に色をそえていってくれる作品だと思う。こんな音がもっともっと多くの人に聴かれたら、世の中ももっともっと楽しく、もっともっと幸せになると思うんだけどな。ロック好きな人もパンク好きな人もフォーク好きな人も歌謡曲好きな人もソウル好きな人もファンク好きな人もレゲエ好きな人も、アングラな音楽ばっか聴いてる人にもヒットチャート上位しか聴かないような人も、そして子供もお父さんもお母さんもみんなみんな、ハナレグミの歌はググッと響くはず。
ハナレグミ

『帰ってから歌いたくなってもいいようにと思ったのだ。』
ハナレグミの3作目。今作は鈴木惣一朗、高田漣、クラムボンの原田郁子、元ロッキングタイムの今野英明など気心の知れた仲間達と自宅レコーディングということで、肩の力の抜けたほんわかとした作品になっています。笑い声や生活音も入ってて凄くリラックスした雰囲気。今作と同時期にリリースされた盟友、池田貴史も在籍する100sの大作『OZ』とは正反対な作品だね。あちらをフランス料理フルコースとすると、こちらはお茶漬け。どちらも美味しいんだけど、作り込んでて聴くのに少し体力のいるあちらに比べて、こちらはシンプルでサラリと聴ける。聴き終わった後にポカポカになれるところも、お茶漬けだね。

相変わらず素敵すぎる歌声なんだけど、作りこんでた前2作が好きだった人にも賛否両論はあるかも。音質がこもった感じなのも賛否両論ありそうね。個人的には『僕は君じゃないから』みたいな陽気でアップテンポな曲がアルバム後半にももう1曲くらい欲しかったかなあ。あと、スーパーバタードッグ『ボク・モード キミ・モード』、くるり『男の子と女の子』、ロッキングタイム『ありふれた言葉』などなど、今作はカバー曲も多く収録してて、どれもハナレグミの魅力いっぱいで素敵なんだけど、欲を言えばライブでもやってるスーパーカー『LUCKY』やボブマーリー『NO WOMAN NO CRY』あたりも収録して欲しかった。オリジナル曲の中では『明日へゆけ』が良いね。つーか、やっぱりこの人の声は最高だよ。なんだかんだ言って何度も何度もリピートしちゃってるもん。心に響く響く。名盤!っていうのとは少し違うかもしれないけど、ほんわか優しくてキュンと切ない良作です。
ハナレグミ

『HANA-UTA』
ハナレグミのベストアルバム。この人の曲は歌詞やメロディが特別ズバ抜けて素晴らしいってわけではないかもしれない。いやいや、十分素晴らしいんだけど、それをもっと特別素晴らしいと思わせてしまうような最高の歌声。彼はどんな曲も名曲にしてしまう素敵な歌声を持ってます。クラムボンやポラリスのメンバーたちによるバックの演奏もホントに素敵です。まだ聴いたことのない人は1回は聴いておいたほうがいいかもね。

これまでの作品を持ってる人もここでしか聴けない『フレルマインド』(ジャジーなミディアムナンバー)、『夢で逢いましょう』(ウイスキーのCM曲のフルバージョン)、それからコンピ収録曲『どれみれげえ』とか富田ラボとやった『眠りの森』、半野善弘とやった『夢の匂い』、ライブ音源『そして僕は途方に暮れる』(大沢誉志幸のカバー)も収録されてるんで聴いてみる価値はあるかも。個人的には『フレルマインド』はいまいちピンとこなかったし、他のオリジナルアルバム未収録曲も既に聴いてるものが多かったんで少し物足りなかったけどね。

ああ、これで一区切りも付いたし、そろそろバタ犬復活しないかなあ。
はなわ

『HANAWA ROCK』
『佐賀県』のあるあるネタ、毒舌ネタをパンク・サウンドに乗せて歌ったシングル『佐賀県』も大ヒット、ベース漫談、はなわの1stアルバム。TVで、つんく♂が「メロディのセンスがいい」って言ってたけど、この人はホントにいいメロディを書く。13曲収録してるんだけど、メロディはホント絶品。パンクっぽい曲もその辺のしょぼい青春パンク・バンドよりもずっといい。男の性を歌ったフォーク・バラード、M-9『Hな男の子』なんてメチャクチャ切ないメロディで泣けちゃう。いや、マジで。

TVではいつもベースの弾き語りだけど、アルバムでは全編バンド・アレンジ。アレンジは小林俊太郎が手掛けてるんだけど、パンク、スカコア、ロックンロール、フォーク調・・・本当にいい仕事をしてる。曲展開や構成もなかなか面白い。曲のストーリーの展開に合わせて、切なげなフォークとへヴィロックを行き来するM-4『親父』の曲展開なんてプログレッシブ。歌詞は笑えるし、これはお笑いプログレ・パンクってとこかな。

アルバムには色んなタイプのアレンジの曲が収録されているけど、やっぱりパンク調の曲がいい。M-3『千葉県』、M-5『埼玉県』、M-8『大阪府』、M-10『俺のきっかけ』あたりはブルーハーツ的なサウンドなんだけど凄く質が高い。変にクサイ青春を歌ってるバンドたちよりも、ずっとブルーハーツに対する愛を感じる。芸人ってことで敬遠されることもあると思うけど、なかなか良く出来たパンク・アルバムだと思うな。

サウンドのことばかり書いたけど、ネタのほうもなかなか面白い。初めて『佐賀県』を聴いたときの衝撃みたいなのはないけど、『佐賀県』で笑える人は普通に笑えるんじゃないかな。まあ、1年後に聴いてる可能性は低いかもしれないけど、借りたりして数回聴くには楽しいアルバムだと思う。

あと、余談だけどM-2『僕の名前』で「辞書で調べると、塙(はなわ)の意味は山のでっぱったところ」って歌詞があるんだけど、僕も昔、自分の名前「直人」を古語辞典で調べたことがある。意味は・・・「位の低い人」。出世は無理ですか。そうですか・・・。
浜崎あゆみ

『ayu-mi-x ll』
浜崎あゆみのオリジナルアルバムの中でも最もアルバムとしての完成度が高い作品のひとつ、『LOVEppears』収録曲を色んなアーティストたちがリミックスしましたよっていう作品。参加リミキサーは最近の浜崎あゆみの作品ではアレンジを手掛けたりもしている元電気グルーヴのCMJKや元ミュートビートのDMX、FPMの田中知之に福富幸宏、そしてラブライフや曽我部恵一まで幅広く豪華な感じ。

浜崎あゆみのあの曲がこの曲がハウスからトランス、アンビエントダブ、エレクトロ、ディスコ、ボッサ、スカなど表情豊かに生まれ変わっています。80年代エレクトロなラブライフのリミックスと福富幸宏のハウス、あとCMJKによるアンビエントダブなリミックスがいい感じ。全曲ボーカルをほぼそのまま使ってるってこともあって無難な印象を受けるリミックスが多かったかな。どうせなら、もっと遊びまくって欲しかったなあ。意外性という面では曽我部恵一のスカ・ディスコなリミックスは面白かったけどね。

てか、こういうリミックス盤って意味あるのかな。普段、浜崎あゆみを聴かないような人にアピールするんだったらボーカルをそのまま残す必要はないと思うし、普段、浜崎あゆみみたいなのしか聴かないような人の大半はリミックスなんて曲数稼ぎくらいにしか思ってないような。
浜田亜紀子

『キラリ』
GO!GO!7188のアッコこと浜田亜紀子のソロアルバム。

HEATWAVEのメンバーやSOUL FLOWER UNIONの奥野真哉、STEREO FABRICATION OF YOUTHの和田勉、宙ブラリの山口重之、THEE MICHELLE GUN ELEFANTのクハラカズユキなど豪華なゲストが参加したこの作品はGO!GO!7188の勢い全開サウンドとは一味違う、情感溢れるサウンドになっている。打ち込みを大幅に取り入れた曲なんかもあって音の幅も広い。本体のGO!GO!7188も歌い方や曲調、メロディなどで時々、椎名林檎を感じることがあったけど、本体の勢さ、パンクっぽさが薄い分、ますます椎名林檎っぽくなった印象。

ほとんどの曲を浜田亜紀子本人が書いてるんだけど、純粋に曲が良い。それ以外でも、STEREO FABRICATION OF YOUTHの和田勉が作曲したM-3『22』なんかも凄く良い。いいメロディがいっぱい。豪華ゲストによる演奏も当たり前のように良いし良質なポップ・ロック・アルバムだと思う。

ただGO!GO!7188みたいな転調に次ぐ転調っていうのもないし、その辺は本体のファンの人も好き嫌いが分かれるところかな。あと、本体のほうもデビューしてそんなに経ってないのに、このソロ活動のスタートは早くないかな?本体の方は大丈夫だろうかって心配になる。
原田郁子

『たのしそう かなしそう』
クラムボンのボーカル兼ピアノ担当、原田郁子のソロ・デビューシングルです。最初、ソロをやるって聞いたときは全部弾き語りでやるのかなって勝手に思ってたけど、そんなことはないみたい。タイトルトラックは躍るピアノとちょっと胸キュンな歌を前面に出しつつも、鮮やかでささやかなバックの演奏とのアンサンブルが素敵に心躍らせるようなポップ・ソングになっています。バックを担当してるのはポラリスからオオヤユウスケ(ギター)&坂田学(ドラム)、UAと浅井健一のユニット、AJICOでもベースを弾いてたTOKIE(ベース)。タイトルトラックの作曲・編曲、プロデュースは原田郁子とオオヤユウスケの共同になってて、サビのメロディーなんかはちょっとポラリスを思わせたりするんだけど、ピアノと歌を前面に出したポップ・ソングってことで初期のクラムボンも思わせたりも。

『id』や『imagination』の音響路線も悪くないけど、最近のクラムボンのライブを見てると、やっぱり初期のピアノを前面に出したシンプルなポップ・ソングが良いなって思うんだよね。最近、聴いてるのは『わちわび まちさび』ばっかりだし。そんな僕の欲求不満を満たしてくれるのがこの曲です。いい曲。ちょっとミトくんのベースが恋しくなるけどね。ちなみに、CD-EXTRAでは映像付きでタイトルトラックの弾き語りバージョンを聴くことができます。カップリングはブルグミュラーを弾いたインタールード『団地のピアノ』と映画『藍色夏恋』(レビュー)のイメージアルバムに収録されてた『風色夏恋』の弾き語りバージョン。これまた切なさ全開の名曲です。
原田郁子

『ピアノ』
クラムボンのボーカル、原田郁子の初のソロアルバム。最初、全体を通して聴いたときの印象は先行シングル『たのしそう かなしそう』は良くも悪くもシングルらしい曲だったんだなって。アルバム曲にあそこまで激ポップな感じの曲はないんで、もしかしたらFMなんかでシングルを聴いて原田郁子に興味を持った人にとってはガッカリな作品になっちゃうかもしれないね。それでも、素敵な歌とピアノ、バックの演奏に曲とアレンジで、聴けば聴くほど味が出る素敵ポップスが詰まった作品に仕上がってます。クラムボンとかポラリスとかハナレグミとか好きな人は何の問題もなく入り込めるんじゃないかな。

アルバム曲ではやっぱりオオヤユウスケ作曲の曲がいい感じ。オオヤユウスケが作曲した『なみだとほほえむ』、『流れ星』、『海からの風』あたりはクラムボンのとき以上に泣きモード全開。楽しく歌ってる原田郁子も大好きだけど、切ないメロディと彼女の歌声が合わさったときの泣かせ具合は半端ないね。原田郁子本人が作曲したピアノのインスト『ワルツ』もまた泣けます。ハナレグミ作曲による『トゥインクル』もホント良い曲。そして、個人的にアルバム曲で一番好きなのは『かじき釣り』。作詞を手掛けてる小説家いしいしんじのあの不思議で絵本みたいな世界観が原田郁子のキュートな歌声と絶妙にマッチ。演奏も笑顔いっぱいで楽しくマッチ。名曲です。でも、こういうのを聴くと、どうしても僕はミトくんのベースが恋しくなっちゃうなあ。それはアルバム全体にも言えることなんだけどね。
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半野善弘 meets MICK KARN

『LIQUID GLASS』

半野善弘と元ジャパンのミック・カーン。YOSHIHIRO HANNO meets MICK KARN名義でのアルバム。

アンビエント、ドラムン・ベース、クラシックなどを基調としたトラックにミック・カーンのベースが絡んで美しい世界を作っています。

アンビエントなドラムン・ベースが好きな人にお薦め。

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半野善弘

『詩人の肖像

-PORTRAIT OF A POET-』

世界的にも評価の高い半野善弘の本人名義での1枚目のアルバム。

クラシックや映画音楽、ジャズの要素の強いエレクトロニカ。ピアノ、アコーディオン、アコースティック・ギター、ヴァイオリンなどの生楽器、様々なサンプリングに変則ビート。非常に美しい。

女性ボーカルを使っている曲やスクラッチが暴れる曲もあったりして曲調もバラエティに富んでいて飽きない。しかも、メロディアスで聴きやすい。傑作です。

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半野善弘

『APRIL』

半野善弘名義では4枚目?のアルバム。

クリック&グリッチ・ノイズを使ったエレクトロニカ。竹村延和を少しクラシカルにしたような感じ。ノイズが多めでメロディアスさは控えめ。

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半野善弘

『APRIL REMIXES』

『APRIL』のリミックス盤。参加しているのは、OVAL、WORLD'S END GIRLFRIEND、SILICOM、HIDENOBU ITO、KAMA AINA、RYOMA MAEDA、TOMOYASU TAKANISHI、CHRISTOPHE CHARLESという豪華なメンツ。

どのリミックスもそれぞれ、らしいリミックスでかっこいい。特にOVAL、WORLD'S END GIRLFRIEND、SILICOM、HIDENOBU ITOのリミックスが凄く良かった。個人的には『APRIL』より、このリミックス盤のほうが好き。

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半野善弘

『PLATFORM』

ジャ・ジャンクー監督作品『プラットフォーム』のメイン・テーマを含む半野善弘の作品集。

このアルバムはエレクトロニカ的な要素はほとんど皆無。どの曲もビートは控えめで、管弦楽器を大幅に使用した作品。映画音楽っぽいんだけど、映像が無くても聴いていると頭に映像が浮かぶ。凄く幻想的。

半野善弘

『ANGELUS』
これまではほとんどインストでやってきた半野喜弘だけど、今作ではエゴ・ラッピンの中納良恵、クラムボンの原田郁子、ハナレグミ、坂本美雨、湯川潮音、細野晴臣などなど、豪華なボーカリストたちをフィーチャーして歌物メインの作品になっています。トラックはジャズっぽいのが多いかな。ところどころでグリッチノイズやカット&ペーストなど今風のアレンジもあり。今風というか、もう既に使い古された手法って感じもしないでもないけどね。

各ボーカリストの魅力も存分に出てるし、参加ボーカリストが好きなら聴く価値はあると思います。特にハナレグミ、原田郁子、湯川潮音の参加した曲は秀逸。細野晴臣もなかなかいい味出してたけど、そこに絡んでくる半野喜弘本人のボーカルはなくても良かったような。あと、ここまで歌をメインにするんだったら、もっとメロディもキャッチーで良かったような気がするなあ。
東川亜希子

『ナミナミ』
いきなりだけど、僕が一番好きなミュージシャンはクラムボンのミトくん。何と言っても音楽センスが抜群だし、ベース・プレイは最高。コンポーザーとしても本当に優れてると思う。それだけじゃなくて人柄も魅力的。そんなミトくんが「彼女の音を聴いて、音楽をやっててよかったと思った。」と帯でコメントしているんだから、これは聴かずにはいられなかった。シンガーソングライター、東川亜希子のファースト・ミニアルバム。

リズミカルかつ華麗に流れてくピアノと、いい感じに力が抜けてココロにスッと入ってくるボーカル。日常的だけど、可愛くて、ちょっぴりファンタジックな詞世界。ピアノも歌もメロディーも歌詞もみんな素敵。どの曲もほんと素敵だよ。ミトくんがあんなコメントをしたのも納得できるなあ。ぽかぽか暖かくて、うきうき楽しくて、るんるんハッピー。春の日曜日、昼下がりのランチ・タイムがよく似合う。ほんと幸せ。

クラムボンのポップな部分が好きな人はきっと気に入るんじゃないかな。矢野顕子を好きな人も是非是非。
髭楽団

『LIFE FOR RUDE BOY』
北海道のスカ・バンド、髭楽団の1枚目のミニアルバム。

オーセンティック度高めなネオスカ。北海道とスカ。意外な組み合わせだけど、なかなかカッコいい。攻撃的な暴走チューンから、ゆるゆるなチューン、日本語歌謡スカまで。個人的には、穏やかで、暖かく優しいM-5『SUNSET OF KINGSTON』が良かったかな。演奏はそんなに巧いわけじゃないけど全体的に曲がいい。

ちなみにシークレット・トラックで、ちゃんとしたミックスじゃないし、お遊びみたいな感じだけど『ONE STEP BYOND』のカバーも収録。スカパラ好きな人は気に入るんじゃないかな。
髭楽団

『フリフリ69-65'』
『LIFE FOR RUDE BOY』から7ヶ月後にリリースされたマキシなんだけど、演奏、曲ともに圧倒的に良くなっています。
ミックスも良くなってるかな。前作より雑多性が増して面白い。

とにかくラテン度満天、最高に踊れるM-1『フリフリ69-65'』が楽しい楽しい。
ついつい笑顔になる。地元のTVで使われてたっていうのも納得。
髭楽団

『SKA-WOO-ZOO』
U国に誇るスカ・バンド、髭楽団! 精力的なツアーで知名度、人気共に上昇中のノリノリなさなか届けられた今回の作品は、メンバー全員が曲作りをしたという本当の意味でのフル・アルバム。

2トーン、ネオスカ、オーセンティック、ダブ、ラテン……ルーツが違う9人が集まり持ち寄って出来たバラエティに富んだ作品。
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ピアニカ前田

『DOUBLE DREAM OF THE SUMMER』

ピアニカ前田のソロアルバム。

めちゃくちゃスウィートでドリーミー。気だるい感じのラウンジ、ボッサ、ラヴァーズロックで、哀愁漂うピアニカのメロディがいい感じ。とにかく心地良い。インスト曲もいいんだけど、唯一のボーカル曲M-2『ユーアー・アズ・ライト・アズ・レイン』がメチャクチャ良かった。名曲。

日暮愛葉

『BORN BEAUTIFUL』
コーネリアスのトラットリア・レーベルから作品をリリースし、海外での評価も高かった女性オルタナ・デュオ、SEAGULL SCREAMING KISS HER KISS HER(シーガル)の片割れ、日暮愛葉の初となるソロ作品。

シーガルの時とまず大きく変わったのが彼女の歌声。以前のトガった歌い方ではなく、非常に柔らかな歌い方になった。それと同時にサウンドのほうもシーガルのときみたいに突き刺さる感じじゃなくて、生々しい体温を持った等身大のポップ・サウンドになっています。歌詞のほうも人間のさまざまな感情をリアルに綴ったもので心に響いてくる。メロディも良質だと思う。

そして、この作品で何よりも重要な役目を果たしてるのが曲の制作から演奏までに深く関わっているdowny(ここでの名義は「wig wise」)の存在。日暮愛葉の歌やメロディは凄くポップで、パッと聴いた感じではUSインディーによくいそうな感じのガールズロックなんだけど、downy独特の音数が少なく緊張感のある演奏がダークな音世界を形成し、ポップなんだけど、どこか不穏な空気を感じるスロウコア的なサウンドになっています。IDAやLOWなど海外のスロウコア・バンドに比べるとポップ寄りで個人的にはそのバランスがツボだった。キャッチーなポップロックから次第にインプロ的に展開していくM-2『CHERRY(桜の咲くころ)』なんてカッコよすぎ。ZAKによるミックスも素晴らしい。もう、りリースする名義を「日暮愛葉&downy」にしても良かったんじゃないかってくらいに、この作品でdownyが占める割合は大きいように感じた。

スロウコア好きな人にはポップすぎるかもしれないし、ポップなのが好きな人はdownyの演奏が引っかかるかもしれないけど、個人的にはこの作品は大好きです。捨て曲はないし曲順も良い。downyの演奏は非常にカッコ良く、日暮愛葉のもたらすポップ感とのバランスも個人的には絶妙。そして全10曲で40分っていうトータル時間も繰り返し聴きたくなる、ちょうど良い長さ。シーガルやdownyよりもずっと好きだな。傑作。USインディーロックとか好きな人は是非聴いてみて欲しいな。全然あちらの音に負けちゃいないと思うし。あと、余談だけど、downy本体のほうでもこのくらいのポップ感が出たら、もっと良くなると思うんだけどな。
日暮愛葉

『PLATONIC』
日暮愛葉の2作目。今作はプロデューサーとしてASA-CHANG、元電気グルーヴの砂原良徳、DOWNYの青木裕、元チボマットの羽鳥美保、元スーパーカーの中村弘ニ、コーネリアスこと小山田圭吾、フィッシュマンズのミックスでもお馴染みのZAKが参加してます。プロデューサーそれぞれの色はもちろん出てるけど、基本は日暮愛葉色。まあ、YUKIとか木村カエラなんかと違って作曲は自分でやってるだし、当たり前っちゃ当たり前かもしれないけどね。セルフプロデュースの曲と並んでも全然違和感なかったです。

全体通して聴いた感じは今風の音作りに良くも悪くも日本っぽくない湿っぽさを持ったメロディのポップロックって感じかな。なんか落ち着いてます。落ち着きます。個人的にはもうちょっとキラーチューン的なキャッチーな曲があっても良かったような気がするなあ。
一青窈

『月天心』
大阪であった野外イベント「MEET THE WORLD BEAT」を観てから、ちょっと好きになった一青窈のファースト・アルバムです。セカンドでも見られた「和」を意識した歌詞、言葉遊び、独特の韻の踏み方などはこのころから健在。サウンド的にはアコースティックなバラードから、和風R&B、根岸孝旨をアレンジャーに迎えたハードロック、アコースティックとエレクトロニクスが交じり合ったフォークトロニカ的な曲などバラエティに富んでいます。

シングルヒットした『もらい泣き』も収録。ちなみに個人的には『もらい泣き』はメロディや歌詞、ボーカルは好きなんだけど、どうしてもアレンジやバックトラックが好きになれないんだよね。薄っぺらなリズムに中途半端なエレクトロニクス、安っぽいスクラッチみたいな音もいらない。まあ、このくらい派手で過剰な音作りだからこそヒットしたのかもしれないけどね。逆にそういう『もらい泣き』みたいな所謂J-POP的な音を期待してた人にとっては、意外と地味でマニアックな音作りが多いこのアルバムはちょっと物足りなく感じてしまうかも。

個人的に良かったのは1曲目の『あこるでぃおん』と7曲目の『ジャングルジム』。どちらもアコースティックを基調としたしっとりバラード。3曲目の「和」とアコースティックにエレクトロニクスが交じり合うちょっと不思議感覚のR&Bナンバー『SUNNY SIDE UP』、9曲目のエレクトロニカ以降のトラックとピアノと一青窈の歌が切なく絡み合うバラード『アリガ十々』なんかもちょっと好きだけど、ちょっとエレクトロニクスの使い方が微妙なんだよね。エレクトロニカちょっとかじってみました的な。これだったら、エレクトロニクスを廃してシンプルにアコースティックに徹したほうが良かったと思うんだけどなあ。僕が感動した「MEET THE WORLD BEAT」のライブもアコーディオンとアコギとパーカッションのみのシンプルでアコースティックな演奏をバックに歌ってたしね。これじゃ、J-POP的なものを求めてる人もビョーク的なものを求めてる人も食いつかないよ。
一青窈

『一青想』
デビュー曲『もらい泣き』がロングヒット、2003年の紅白にも出場した女性シンガー、一青窈のセカンドアルバム。『もらい泣き』を聴いた印象では、「ああ、元ちとせの2番煎じか」っていう感じしかなかったんだけど、ファーストアルバム『月天心』と父親の母国語の北京語の歌詞も登場するセカンドシングル『大家』などを挟んでリリースされたサードシングル『金魚すくい』を聴いて彼女に対するイメージが変わった。和太鼓の音色とエレクトロニックな打ち込みビートが印象的なR&Bという曲調にも驚いたんだけど、そこに乗っかる歌詞。金魚すくいをただのゲームとして無邪気に楽しんでいた自分から、どこか罪悪感を感じるようになった自分に変化。子供から大人への変化を和風の言葉で綴った歌詞なんだけど、その中で「さらさ らいや」、「えっちらとやったんしょ」など、ちょっと大人の象徴=エロスを感じるようなダブルミーニングをかけたりして凄く面白い。

次にリリースされたホーンを配した昭和歌謡的なポルカ・ナンバー『江戸ポルカ』でも言葉遊びを巧みに使った歌詞は健在。「手々とてとてとしゃん」、「まさか七日 十日すぎたのか」など韻の踏み方が秀逸で、下手したらベタベタの昭和歌謡に終わってしまうところにうまくリズミカルさを加えて一筋縄でいかない曲にしている。

5枚目のシングル『ハナミズキ』では言葉遊びこそないもの、9.11のテロをきっかけに作られた詩で「僕の我慢がいつか実を結び 果てない波がちゃんと止まりますように 君と好きな人が百年続きますように」と歌われる。表面上は恋愛の詩になってるんだけど、裏に込められた平和への想い。「永遠」じゃなくて「百年」。争いの果てない波が止まり、君とその好きな人までが百年続きますように。そんなグッとくる歌詞が『もらい泣き』を手掛けた作曲:マシコタツロウ&編曲:武部聡志のコンビによる感動的なメロディーやアレンジと相まって、ただただ涙を誘う。名曲だよ。

上述のシングル『大家』、『金魚すくい』、『江戸ポルカ』、『ハナミズキ』も収録した今作なんだけどアルバム用の曲でも彼女独特の言葉遊びやココロにグッとくる歌詞は健在。そう、一青窈の歌の魅力は歌詞にある。歌の表現力に関しては正直、元ちとせなんかに比べると劣ると思うんだけど、彼女の歌詞のセンスは本当に素晴らしいよ。曲調的にはお得意の和を感じさせるようなバラードから、アコースティックでノスタルジックなトラックにポエトリー・リーディングを乗せた曲、チェン・ミンによる二胡を配したエキゾチックな曲、やはり和を感じさせるようなR&Bナンバー、エレクトロニカ以降の電子音を交えたミディアム・ナンバー、アコーディオンも入った軽快なポップ・ナンバーまでバラエティに富んでいるんだけど、それぞれが彼女の歌詞の世界観をうまく表現しているように感じた。

個人的なベストトラックは井上陽水の作曲によるM-3『一思案』。柔らかいアコースティック・トラックに一青窈の郷愁の想いを綴るノスタルジックなポエトリー・リーディングと井上陽水による感動的なメロディーのサビ。泣けるなあ。『もらい泣き』や『ハナミズキ』みたいなバラードだけのイメージで聴くと、『金魚すくい』や『江戸ポルカ』みたいな不思議な曲にちょっと「アレ!?」ってなるかもしれないけど、なかなかいいアルバムだよ。
平井堅

『SENTIMENTALovers』
前3作はいずれもミリオン達成してるという今最も人気の男性シンガー、平井堅の通産6作目。04年の年間ランキングがトップになった『瞳をとじて』を含むヒットシングル4曲を収録。先行シングルは1曲を除いて全部バラードだったのとタイトルの“センチメンタル”からして、センチメンタルなメロディ全開の売れ線バラード集を想像してたんだけど、実際に聴いてみるとそんなことなくて、アメリカンポップスあり、ファンクポップあり、歌謡ハウスあり、R&Bありと意外にもバラエティに富んだ楽しい内容になっています。半分くらいはバラードなんだけど、アコギを基調としたフォーク風だったり、ストリングスもガンガンに入ってJ-POP直球バラードだったり、ビーチボーイズばりにアカペラだったり、ピアノの弾き語りだったりと飽きさせない作り。ただのシングル集になることなく、アルバムとしてちゃんと機能してるところが好感触。あまり語られてない気がするけど、実は半分くらいの曲は平井堅自身が書いててシンガーソングライターとしての才能も十二分に発揮しています。

それにしてもホントいい歌声してるなあ。歌うまいなあ。バラードばっかりじゃなくてアップテンポの曲と続けて聴くとそれが本当によく分かります。もっとシングルでもアップテンポの曲を出していけばいいのに。
平井堅

『POP STAR』
平井堅やってくれました!アップテンポのシングルです!なんかレコード会社の戦略か、R&Bとかバラードなイメージが付けられちゃってる平井堅だけどこういう槇原敬之の系譜にあるようなポップスポップスした曲が合ってるね。激甘な歌詞に胸キュンな歌声、超ポップなキラキラメロディに亀田誠治によるキラキラアレンジ、ハッピーなコーラスワーク。「ポップスター」っていうタイトルに恥じない完璧なポップソングだと思います。もうウキウキ。ヒットチャート音楽好きから、槇原敬之とかKANとかaikoとか好きな人、キュートなポップスが好きな人まで色んな人の心を掴むんじゃないかな。

ところでサビのところを「キラキラのパスタ〜♪」って空耳しちゃったのは僕だけ?(笑)
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ピラニアンズ

『ピラニアンズ』

プロのピアニカ吹きピアニカ前田率いるアコースティックバンド『ピラニアンズ』の1stアルバム。

ピアニカと言えばほとんどの人が小学校の時に触れたことがあると思います。あの甘酸っぱい匂いが心に残っているアレです(笑)

あのピアニカでジャズやジプシーや民族調の曲などを演奏していて、こんなにも色んな表現ができるのかと驚きました。他メンバーの塚本功、長山雄治、ASA-CHANGの演奏も素晴らしくて楽しいアルバムです。
広末涼子

『RH REMIX』
広末涼子のリミックス・アルバム。広末涼子の曲を、佐藤研二、曾田茂一、スカパラのNARGO&北原雅彦&GAMO&谷中敦&大森はじめ、くるりの岸田繁、SPANOVA、STEREOLABのTIM GANEがリミックス。

佐藤研二リミックスのM-1『向日葵』は、渡辺善太郎のatamiに通じるような叙情的なメロディの生音系エレクトロニカ。mumや、morr系のエレクトロニカが好きな人は気に入ると思う。正直、佐藤研二が何者か知らないんだけど、このリミックスは凄く良かった。
曾田茂一&スカパラリミックスのM-2『あのつくことば』は、ホーンやシロフォン(マリンバ?)をフィーチャーした暖かくノスタルジックなトラックに切ないメロディの歌。原曲は聴いたことなんだけど、歌やメロディとトラックが合ってって、メチャクチャ良かった。
岸田繁リミックスのM-3『大スキ!』は、エレクトロニカ風。これはトラックは良かったんだけど、ちょっと歌が恥ずかしかった・・・
SPANOVAリミックスのM-4『大人にならないように』は、子供達の声のサンプリングも登場するノスタルジックな生音系エレクトロニカ。これもmumっぽい。
曾田茂一リミックスのM-5『Majiでkoiする5秒前』は、シューゲイザーっぽい浮遊感のあるトラックに遠くで鳴る歌。
TIM GANEリミックスのM-6『明日へ』は、ステレオラブ風遊び心のあるエレポップ。

全体的に凄く良かった。morr系やmum、atamiなんかが好きな人は気に入ると思う。基本的に原曲の歌はそのまま使ってるリミックスばかりなんだけど、M-3以外はエレクトロニカなトラックによく合ってた。
瘋癲

『MUSIC IS EXPRESSION』
NAKED ARTZのMILI(MC)、exモンドグロッソのB-BANDJ(MC)、BEAT TRICKSのDJ SUWA(DJ)、多方面で活躍しているFUJITANI(ドラムス、トラックメイカー、エンジニア)によるヒップホップ・ユニット、瘋癲(FU-TEN)の1stアルバム。

ジャズを基調にした、ダークなトラックに、日本語&英語&フランス語による2MC。トラックも凄くかっこいいんだけど、外国語も日本語もスムースに交差するMCが圧倒的にヤバイ。かっこ良すぎ。
瘋癲

『FLIP HOP』
メンバーのFUJITANI氏が急遽してしまってどうなるのかと思ってたけど、残りの3人で2作目を作り上げてくれました。前作はジャズテイストのトラックが多かったんだけど、今作はディストーションギターをフィーチャーしたロックテイストのトラックからダブっぽいトラック、ディスコっぽいトラックまで、より幅が広がったような印象。

日本語〜英語〜フランス語を自由に操る2MCは相変わらず素敵。この人たち、ラップうますぎでしょ。女性コーラスとかの使い方も絶妙です。日本のヒップホップにありがちな歌謡曲っぽさはほとんど皆無だし、トラックもラップもストイックでクール。いい意味で日本らしくないヒップホップ作品だと思います。外国のヒップホップと並んでても、あまり違和感ないんじゃない?それにしても、故FUJITANI氏に捧げた『GOOD FRIENDS』は泣けるわ。
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藤田陽子

『スフィア』

『mini』や『Spring』や『Zipper』で活躍中のモデル。めちゃくちゃかわいいです。関西のFMで大量オンエアされ、大反響だったラフ&ピースの『ちょっときいてな』という曲で関西弁ラップをしてたのも彼女です。

このシングルではPAL@POPがプロデュースを担当。PAL@POP節全開、Chappie『Welcoming Morning』系のウルトラポップ。メッチャいい曲です。ストリングスの音の使い方が見事です。『大空にシナプスがまたひとつ消えて光になる「ボクはいま何を忘れたんだろう?」PAL@POPの空想的でノスタルジックな歌詞は大好き。

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藤田陽子

『あたいの涙』

CUITIEなどのモデルや映画『模倣犯』に出演などで知られるモデル藤田陽子の1stアルバム。シングル『スフィア』や参加したラフ&ピースの『ちょっときいてな』のキュートな関西弁ラップを聴いてアルバムも可愛い路線かと思ってたら。LITTLE TEMPOのTICOがプロデュース。エンジニアがDRY & HEAVYの内田直之。こだま和文、ピアニカ前田、HAKASE-SAN、バッファロードーターの大野由美子たちが参加。日本のレゲエ、ダブの大御所が大集合でダビーなアルバムになった。

昭和40年代のジャックス、高田渡、太田裕美のカバーもやってて、歌謡曲×レゲエ、ダブって感じでいい!他にもダブ・ブルース、和製ラヴァーズ・ロック、昭和歌謡パンクな曲、二羽高次とデュエットなどなどバラエティに富んだ内容。全体に和な雰囲気が漂ってて、全く新しいダブに。捨て曲なし。ダブ処理も素晴らしくてドップリはまれる。大名盤。

フジファブリック

『フジファブリック』
奥田民生のオープニングアクトも務めた5人組、フジファブリックのファーストアルバム。はっぴいえんどの系譜にある和風で文学的な歌詞に歌謡テイスト溢れるメロディ、様々なロックを柔軟に飲み込んだ演奏。ポップな楽曲の中に見え隠れする変態エッセンス。ボーカルの志村正彦の歌声はちょっとくるりの岸田繁に似てる感じ。

とにかくキャッチーなシングル曲に比べるとアルバム曲はちょっとマニアックかな。メロディ事態はどれもポップだけど、シングルみたいなカラオケでもガンガン歌えそうな曲ばかりを期待して買うと「あれ?」ってことになるかも。アルバム全体を見ると、昔の歌謡曲っぽい感じからドアーズばりの長めなオルガンソロに突入する『追ってけ 追ってけ』とか、「パジャマでパヤパヤ♪」なんて歌うポップなパートとイエスばりのプログレ・サウンドを行き来する『TOKYO MIDNIGHT』あたりの変態的な曲がいいアクセントになってると思うけどね。キャッチーな曲とマニアックな曲のバランスもいい感じ。まだまだ若い感じもあるけど、これからを期待せずにはいられないバンドだね。
フジファブリック

『銀河』
フジファブリックのデビューシングル「桜の季節」から4作を通しての“四季”シリーズの最終作となるシングル。どうせならファーストアルバムに4部作全部を入れてほしかった気もしないでもないけど、まあいいか。曲のほうは何ていうか変態な感じです。売れ線バンドはまずシングルにしないであろうマニアックな曲。曲展開がおかしい。転調もありえない。「タッタタラタタラタッタ♪」とかありえない。メロディもそんなにキャッチーじゃないし、こんなの気持ちいいはずはないんだけど、なんか気持ちいい。クセになる。

ダンスミュージック的な疾走感のあるタイトルトラックから一転、カップリングはゆったりとしたバラードナンバー。こちらもプログレチックな変な曲です。最近、同じような文学系ロックバンドが多いけど、この人たちは個性が強くていいね。ちょっと気になる存在。


フジファブリック

『FABFOX』
フジファブリックの2作目。濃いねえ。変態だねえ。でも結構ポップだねえ。やっぱりロックしてるねえ。

コード進行とか曲展開とか変態度全開で楽しいです。癖になります。レッドツェッペリンからイエス、ニルヴァーナ、そして最近のニューウェーブリバイバルのバンドまで古今東西新旧ロックサウンドがうまいこと吸収されてる感じでロック好きなら思わずニヤリとするような場面が盛り沢山。それでいて単なる真似事じゃなくて和風というか、志村流というか、フジファブリック独特の音になってるところが素敵です。

カラオケでいっぱい歌われるような感じではないし、きっとレミオロメンみたいに売れることはないんだろうけど、好きな人はとことん好きだと思います。僕は大好き。『図鑑』のころのひねくれたくるりが好きな人はきっとビンゴなんでは?ポップすぎる『NIKKI』に物足りなさを感じた人もきっと満足できるんじゃ?ただ変態なだけじゃなくて、ポップでしっかり歌物として機能してるし歌詞も独特かつ変態でカナリいい感じです。もう1曲くらいキャッチーなキラーチューンがあってもいいような気がするけど、よく出来た作品だと思います。
藤原大輔

『白と黒にある4つの色』
PHATのリーダー、藤原大輔のソロ1作目。

ジャズとエレクトロニクスの融合という点はPHATと一緒なんだけど、このソロ作品にはPHATの持っているグルーヴィーさは控えめ。ミニマルでアンビエントの要素が強いエレクトロニック・ジャズになっています。藤原大輔のサックスとシーケンサー、アコースティックピアノ、ドラムスのトリオ編成によって透明感のあるスピリチュアルなサウンドを生み出しています。踊れるような曲はないけど、凄く心地良い。リスニング向けの作品です。好き嫌いは分かれる作品かも。

基本はインストなんだけど、M-1『白い部屋』だけは、さかなのポコペンのボーカルをフィーチャー。ポコペンの独特で存在感のあるボーカルが藤原大輔の音世界と見事にマッチしていて素晴らしいトラックになっています。さかな好きな人は気に入ると思う。
フーバーオーバー

『ART NO.1』
紅一点のボーカル、岩沢正美キュートでちょっと不思議な感覚を持った歌声が印象的な4人組バンド、フーバーオーバーの1stフルアルバム。メロコアやパワーポップを基調としたストレートでキャッチー、とびっきりポップなサウンドを聴かせてくれます。メロディはとってもキャッチーでわかりやすく、岩沢正美のボーカルはとってもキュート。それでいて演奏がしっかりと力強くグルーヴィーにドライブしてるのが、このバンドの魅力かな。曲調もストレートなパワーポップからスカのリズムを取り入れた曲やオルタナ・テイストの曲、そして古き良きガールズポップまでさまざま。

メロディ、歌詞、演奏力などはどれも及第点。キュートでポップなギターロックが好きな人は普通に気に入ると思う。ジュディマリとか好きな人もきっと気に入るんじゃないかな。僕もCCCDってところを除くと普通に好きだ。ただ、僕は結構アマチュアのバンドのライブを見る機会が多いんだけど、こういうタイプのバンドってホントに多くて、このバンドと同じくらいのクオリティのバンドも少なくない。もうちょっとフーバーオーバーならでは!って部分や及第点よりもさらに飛びぬけた決定打みたいなところが欲しかったかな。
フルカワミキ

『MIRRORS』
解散してしまったスーパーカーのフルカワミキがリリースした初のソロアルバム。全曲、作詞作曲を本人が手掛けてます。サウンド的にはエレクトロニカ・ポップ的な曲もあり、シューゲイザーっぽい曲もあり・・・まあ、スーパーカー、特に『HIVISION』の頃のスーパーカー的な雰囲気。スーパーカーの未発表曲って言われても信じちゃうような。

僕はスーパーカーでもフルカワミキの歌ってる曲が好きだったし、スーパーカーのレビューでも、もっとフルカワミキに歌ってもらいたいって書いてたけど・・・

何か違うんだなあ。スーパーカーと同じ方向性なだけに、他のメンバーがいないことが浮き出ちゃってる。個人的には特にジュンジの歌詞がないのが寂しかった。素敵な声なことには変わりないし、次に期待だなあ。


古里おさむ

『ロードショー』
くるり主催のレーベル、NOISE McCARTNEY RECORDSから登場のシンガーソングライター、古里おさむのファースト・アルバム。手作り感いっぱいの宅録ポップを聴かせてくれます。ビートルズの『リボルバー』やビーチボーイズの『ペットサウンズ』、そしてベックの『シーチェンジ』を思わせるようなドリーミーかつサイケデリックな装飾を施したアコースティック・サウンドに、ホノボノとしててクリームソーダみたいに甘酸っぱい極上メロディー。くるりのレーベルってことが関係あるのかないのか、古里おさむの歌い方や歌声は、くるりの岸田繁にちょっと似ている。

この『ロードショー』、決してハナレグミみたいに声に強い魅力があるわけでもなく、ちょっと前のくるりみたいに特別面白いことをやってるわけでもないんだけど、なんだか癖になって何回も何回も聴いてしまう。サウンドの装飾具合が絶妙だったり、いい感じに力が抜けてるっていうのもあると思うけど、とにかく曲が純粋にいいんだよね。派手さはないんだけど、いい曲になるための要素がいい感じに詰まってる。捨て曲なんてないし、どの曲もホントに大好きだよ。素敵な素敵なポップソング集です。

くるりのポップな側面を好きな人や、エリオット・スミスやバッドリー・ドローン・ボーイ、ソンドレ・ラルケあたりを好きな人にはきっとストライクだと思うな。スネオヘアーとかキセル好きな人にもお薦め。
星井七瀬

『恋愛15シュミレーション』
3代目「なっちゃん」こと星井七瀬のデビューシングル。あちこちで話題になってたし、歌番組でも歌ったりしてたんで知ってる人も多いと思うけど、この『恋愛15シュミレーション』は普通のアイドル・ポップとは180度違う。ダウナーでスローテンポなブレイクビーツにハルカリをもっと脱力させたような、ゆる〜いラップ。フレーミングリップスやベータバンドを思わせるようなサイケデリックなトラックと彼女の危うさいっぱいのボーカルが絡み合って、不思議な音響感覚と奇妙なポップ感が生まれる。もう脳みそトロトロ。2003年で最も変態的なアイドルポップ。3曲目に収録されている、この曲のリミックス『恋愛15シミュレーション(berryXberry remix)』が変態さを残しつつもポップに心地よく消化したハウス・リミックスがまた素晴らしい。

2曲目の『ファーストステップ』はビックリするくらい普遍的で何てことないアイドル・ポップ。こんな曲があるのに、敢えて変態的で普段オリコンベスト10しか聴いてないような人には変な糞曲としか思われかねない『恋愛15シュミレーション』を1曲目に持ってきてるってことは完全に確信犯だな。まだまだ日本の音楽業界も捨てたもんじゃない。こういう試みがもっと増えていくとヒットチャートももっと面白くなってくると思うんだけどな。とりあえず、これを企画したスタッフとこの曲を作詞作曲したSPLASH CANDYってユニットに拍手。CCCDじゃなかったら、もっと良かったのになー。
星村麻衣

『SOUP』
島根出身のピアノガール、星村麻衣のピアノロックなメジャーデビュー・アルバム。ピアノガールって言われてるだけあって、ピアノを前面に出したポップロック。BEN FOLDS FIVEにaikoの歌が乗ってるような感じかな。歌い方やメロディも少しaikoっぽい。

M-1『STAY WITH YOU』、M-5『ふたり』、M-7『VACATION』、M-8『CHERISH』M-9『恋ノチカラ』などピアノを前面に出したポジティブでアッパーな曲が良かった。特にM-7『VACATION』はピアノ全開。スキャット、陽気なホーンや手拍子、ホイッスル・・・なんかも入って楽しい。

あと、M-2『LOVE IS TROUBLE』、M-4『A DAY IN THE LIFE』、M-12『ストーリー』など、ギターやストリングスが目立っててピアノは控えめの曲も結構あるんだけど、個人的にはもっとピアノをもっと前に出して欲しかったな。
シングルになった曲でめちゃくちゃキャッチーなM-3『GET HAPPY』も、ギターやストリングスが結構目立っててピアノは控えめのミックス。力強くて、どこまでも広がるようなメロディが大好きなんだけどな。あと間奏でピアノにスクラッチが絡むところとかが、ちょっとわざとらしいかな。なんだかんだ言って、この曲は好きだけど。

てか、クレジット見るとピアノは全部、星村麻衣本人が弾いてるわけじゃないんだな・・・。ピアノガールって言って売り出してるんだから、全部、本人が弾いてて欲しかったな。ピアノを前面に出した曲も、そうでない曲も全体的にソングライティングは秀逸。ただ、ピアノロックと言っても90年代くらいの歌謡曲っぽさがあって、BEN FOLDS FIVEを期待して聴くと、ちょっと駄目かも。あくまでJ-POP。aikoを好きな人はきっと気に入ると思います。
堀込奉行
畠山美由紀
ハナレグミ

『真冬物語』
松本隆が作詞、松任谷由美が作曲、富田ラボこと、富田恵一がプロデュースした曲を、キリンジの堀込奉行、畠山美由紀、ハナレグミが歌うという企画シングル。まず、2曲目に収録されてるインスト(カラオケ)を聴いても分かるけどトラックの出来が半端なく良い。アコギとピアノが軽快に鳴り響く80年代シティポップ・サウンドなんだけど、1音1音が活き活きしていて気持ちいいのなんの。これは、富田ラボの最高傑作なんじゃないかな。そして、ユーミンの作るメロディや松本隆の歌詞もさすがの出来で文句なし。

そこに堀込奉行、畠山美由紀、ハナレグミの3人の歌が乗るんだけど・・・これって3人で歌う意味あったのかな。それぞれのソロパートも合ったりするんだけど、全体を通して、聴こえてくる声はほとんど堀込奉行の声。後の2人は1回ずつソロパートがあって、あとは後ろでハモったりコーラスしたりしてるだけ。曲調ももともとキリンジっぽいし、ほとんどキリンジの新曲のように聴こえてしまう。これだったら堀込奉行をメインとして、残りの2人の中途半端なソロパートはなくして、あとはコーラスに徹してもらったほうがスマートで良かったような。曲自体は凄く良いんだけど、3人の魅力をうまく活かしきってるとは思えなかった。

あと、1000円でカップリングがカラオケだけなのはちょっと寂しいな。どうせなら、畠山美由紀がメインのバージョンとハナレグミがメインのバージョンも録って収録してくれたら最高だったんだけどな。

ポルノグラフィティ

『BEST RED'S』


『BEST BLUE'S』
シングルを出せば必ずベスト10入り、カラオケのランキングでも上位の常連。世間で大人気のポルノグラフィティのベスト盤です。ハードロックを基調としながらデジロック、ソウル、ラテン、レゲエまで意外にもバラエティに富んだ要素を取り入れた曲調に昔のアニメソングみたいなキャッチーで扇情的なメロディと伸びやかで芯のあるボーカル。ありそうであまりなかったポルノグラフィティならではのサウンドが目いっぱい詰まってます。

このベスト盤は「RED」と「BLUE」の2枚同時発売なんだけど、2枚通して聴いてみた印象は1枚で十分だなと。それなりに曲順なんかは練られてると思うけど、ヒットチャート向けによく出来た曲と、そうじゃない中途半端な曲が半々くらいなんだよね。それで、カナリ高い確率で前者はプロデューサーの本間昭光が作曲してる曲。『ミュージックアワー』、『サウダージ』、『アポロ』、『アゲハ蝶』、『メリッサ』あたりね。その辺は好き嫌いはさておき、宣伝の力がなくても売れちゃうくらいによく出来たポップソングだと思う。逆にメンバーが作曲した曲はちょっと物足りないなっていうのが正直な感想。曲数を絞って1枚にまとめたら、ヒットチャート向けのポップアルバムとしてもっと完成度&濃度の高いベスト盤になったと思うんだけどなあ。2枚に分けてお金さえ儲かれば、それでOKなのかね。

というか、クレジットを見ながら聴いてて思ったんだけど、きっとメンバーがやりたい方向とプロデューサーのやりたい方向にはズレがあるんじゃないかな。プロデューサー頼りというよりも、プロデューサーの言いなりでヒットソングを歌ってるような印象。完全に僕の妄想だけど、メンバーの中で一番多く作曲を手掛けてたTAMAがこのベスト盤を最後に脱退してしまったのも、その辺が関係あるのかもしれないね。ボーカルとギターの2人組になっちゃった新生ポルノグラフィティはこれからどうなっていっちゃうんだろう。

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